第五章 事情聴取!?
「あけましておめでとう! 今年も宜しくね、ゆみちゃん♪」
「おめでとういづみちゃん! 新年一発目気合い入れて頑張ろー!」
歩夢くんとの幸せな日々から現実に戻って来た仕事始め、初売りセールだから休みボケなんてしてられないわ!
……ん? ゆみちゃん、なんだかいやらしい目つきで私を見て、
「んー? おゃおゃぁ〜? いづみちゃんなんか生き生きとしてるねぇ〜♡」
「なっ、何よ! 初売りなんだから頑張らないとって思ってるだけよ!」
「んふふ、分かるんだからね! なんか女のフェロモン溢れ出てるもん!」
「嘘っ? 何処から出てるの? もぅ、そんなんじゃ無いからっ!」
普段と変わらないつもりなのに、やっぱり休み中いっぱいしてたからなのかな?
するとゆみちゃんは後ろから抱きついて来て、
「良かったね、いづみちゃん! 幸せになってね♡」
「……ありがと、ゆみちゃん」
「今日仕事終わったら詳しく聞かせて貰うから! いづみちゃんの奢りで!」
「なっ、なんで事情聴取なのに奢らなきゃいけないのよーっ!?」
「とか言って私に聞かせたいんでしょ? 惚気話♡ 奢って貰わないと割に合わないって!」
ニシシと笑いながら私のお尻に軽くタッチをして売り場に走って行った。ゆみちゃん、あなたいつからセクハラオヤジになったの?
※
「い、いづみちゃんっ!? …………それって十代の子達がやる回数よ?」
ゆみちゃんはジョッキを持ったまま固まっている。
仕事終わりにゆみちゃんに捕まり、近くの居酒屋で早速事情聴取が行われた。
「あははは、なんかそーゆーの久しぶりだったからつい……、それに歩夢くんも求めて来たし♡」
「だからそんなにツヤツヤしてたんだなぁ〜? でも意外だなぁ、歩夢くんって淡白な感じなのに凄かったんだねー!」
ここから先は二十代女子二人の生々しい下ネタが延々と続いて…………、ゆみちゃんも昔、結構遊んでたのね、年下なのに逆に色々教えて貰っちゃった。今度会った時試してみよう♡
「はぁーっ、いづみちゃんとは蓮さま関連の話ばっかりだったから、男関係の話するの新鮮で楽しかったなー♪」
「私もだよ! あーぁ、ゆみちゃんとここまでぶっちゃけた話出来る様になったのに、来月からほとんどバイト入れなくなっちゃうんだよね?」
ゆみちゃんのバンドはあの時の無料配信ライブでかなりの注目を浴びた様で、来月から前より規模の大きい所でのライブが立て続けにあるみたい。しかも全公演ソールドアウト!!
それに蓮さまが春に立ち上げる会社でメジャーデビューする予定なんだって! まだ内緒みたいだけど。
まさか最推しの元でデビューなんて、なんか不思議な縁を感じるわね。
「今のバンドで有名になるのが夢だったからね! やっとスタートラインに立てるって感じよ! でもいづみちゃんとこうして一緒に居る機会が減るのは寂しいな……」
「私、ライブも見に行くし、蓮さまや歩夢くんとか共通の人達も居るから案外疎遠にはならないと思うのよね」
「そっか、そーだよね! それにこーやってご飯ならいつでも食べに行けそうだし! 歩夢くん忙しいからいづみちゃんかまって貰えないでしょ?」
「ううっ、そーよ、月ニ、三回会えればいい方なんだから誘ってよね!」
「あははは♪ でも休み中あれだけしておいて、それしか会えないなんて悶々としちゃうよねー? まぁそれを言うならいづみちゃんよりやりたい盛りの歩夢くんの方が心配だけどねー」
そーよね。歩夢くんに言い寄って来る子が居て、あの時みたいにスイッチ入っちゃったらどーなるんだろう? ……やっぱり心配だな。
「でも歩夢くんって、いづみちゃんしか見えてない感じするから浮気とかしなさそうだよね!」
そーだといいんだけど……。するとゆみちゃんはバックからタブレットを取り出して向かいの席から私の隣に腰掛け、
「……ねぇいづみちゃん。もし二人が休み中に何も無かったら見せるのやめようと思ってたんだけどさー」
指を滑らせてある画像をタップした。そこには……、あの小日向のぞみさんが!
「休み中『バディーズ』関連のSNS動画漁ってたらさ、何故かおすすめでこんなの出て来て、ほら、この子今度歩夢くんと共演するんだってよ!」
……自宅で撮ってるのかな? 雑談配信? 小日向のぞみさんがほぼすっぴんに近い状態で、胸元を強調したラフな服装で何やら喋っている。なんかえっちよね?
『なんと! のんはこの度声優デビューする事になりましたぁ〜! はい拍手ぅ〜、パチパチパチパチ♪ 』
『でもぉ、ぶっちゃけ声だけなんて、顔も体も映らないからみんなつまんないよね〜?』
『なんかよく分かんないけど突然オファーが来たみたいで困っちゃうよ〜』
『アニメだってぇ〜、のん子供の頃は見てたけど今はほとんど見てないしぃ〜、ラブコメよりやっぱ今は恋愛リアリティーばっか見てるもん! あぁ〜いつかのんも出てみたいなぁ〜♡』
『でもでもぉ〜、流石ののんも『バディーズ』は見てたんだ。流行ってたもんね! あれ、面白かったよねぇ〜、それに出てた今回共演の成田歩夢くん? 凄く良い声してるし、顔もカッコいいんだよねぇ〜♡』
……っっ???
『アフレコなんてやった事ないけどぉ、他の声優さん達に迷惑かけない様に頑張らないとねぇ〜! だからみんなぁ、のんの事、ちゃんと応援しててね♡』
「…………みちゃん、いづみちゃんっ!? 聞いてる?」
「えっ? あっ、……何か言った?」
「大丈夫? 顔怖いよ? ……見せなきゃ良かったかな?」
「うぅん、平気。歩夢くん苦手なタイプって言ってたし……」
でも、あんな可愛くてえっちな体で迫って来たら、男の人はその気になってもおかしくないわよね?
ゆみちゃんは眉間にシワを寄せ、少し不機嫌そうにタブレットに映る小日向さんにデコピンをして、
「……まぁ配信見る限り、アニメには全く興味無さそうだよねー、なんか偉い人からのゴリ押しで決まった感じだし、こんなんであの子ヒロイン務まるのかなぁ? それにあの顔、歩夢くんの事狙ってそうだよ、いづみちゃん平気?」
「うーん、平気ではないけど……、あっちの世界の事はよく分からないけど、歩夢くんには影山さんがついてるから大丈夫! ……だと思う」
「もぉー歯切れが悪いなぁ、『歩夢は私にメロメロだから気にしてないわ!』位言わないと! じゃないとこの先もっと可愛い子と共演するかも知れないんだよ? 正妻なんだからビシッとしてっ!!」
ゆみちゃんは鼻息を荒くして私の背中をバンと叩いた。いたーい!
でもそーよね、ゆみちゃんの言う通りだわ! 私達には二人で一緒に住むと言う共通の目標があるんだもん。この位乗り越えていかなきゃやってけないわ!
「ありがとうゆみちゃん! 私頑張るよ!」
「んー? ナニを頑張るのかなぁ〜? イヒヒ♡」
ゆみちゃんは後ろから抱きつき私の胸を揉み出した。何やってんのー!?
「ちょっとゆみちゃんっ!? 駄目だってぇ〜!」
「あー、歩夢くんはコレを生で触ってんのかぁー、羨ましいぃ〜♡」
そこからまたゆみちゃんの下ネタトークが始まり、年明け初日だと言うのに結局終電近くまで飲んでいたのでした。まぁ新年会みたいなものよねー!




