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思いも寄らぬ展開!!


 良かった! まだ一緒に居られる!

 すると歩夢くんは暫く考えた後、私を見つめて驚きの言葉を口にした。


 「外食はやめて、いづみさん家で一緒に作りません? 前に約束したでしょ? こんな機会中々ないからさ!」


 「それでいいの? ……疲れてない?」

 「……出来ればその後、泊まってもいいかな? いづみさん明日まで休みでしょ?」


 まだ一緒に居られるって思うのと同時に、泊まるって事はまた……!


 「うん。それじゃ一緒に作ろう!」


 嬉しい! 嬉しい!! 明日までまだ一緒に居られる! 次はいつ会えるか分からないから出来る限り一緒に居たい。


 「確か駅前のスーパー、元旦も営業しますって張り紙が張ってあったから寄って行きましょ!」


 思いもよらぬ展開に思わず笑みが溢れた。





 ※




 電車を乗り継ぎ最寄り駅に着く。


 元旦の夜七時なんて、コンビニとスーパー位しか開いてないし人もまばらだ。歩夢くんはここぞとばかりに私の手を握った。


 「電車じゃ流石に手を繋げないもんね!」

 

 子供の様な笑顔を見せて繋いだ手をブンブンと振っている。


 「お腹すいたでしょ? 切って入れるだけですぐに出来るからお鍋とかどう?」

 「いーね! あったまるし洗い物も少なくて楽だよね!」


 カートを押しながら買い物かごに白菜やお豆腐など具材を入れていく。歩夢くんはビールとおつまみになる物を持って来た。


 「二人で買い物してご飯作るって、新年早々夢が叶っちゃった♪」


 私が嬉しそうにしてるのを見て、


 「俺はいづみさんが喜ぶ顔が見たかったから満足だよ! ……それに昨日俺も夢が叶ったしね! いづみさんとするって♡」


 私の耳元で囁いた。そんなの私だってしたかったわよ!


 「ふふっ、今夜もマッサージしてあげるね!」

 「いーよ! せっかく二人で居られるのに気持ち良くなって寝ちゃったら勿体ないよ! のんびりしながら色々な話をしたいな」


 歩夢くんは片手に買い物袋を持ち、もう片方の手で私の手を握りながら人気の無い商店街を抜け、スマイルワンを横目に私のマンションへ向かった。


 「なんかここで働いてたのが凄く昔の事の様に思えるよ。ここで働いて無かったらいづみさんにも出会って無かったんだよなー」

 「そうね。私もあの時新しくコンビニが出来てラッキーなんて思ってたら、店頭でまさかあなたの声にひと聞き惚れするなんてね! ふふっ、おかげでだらしない格好で気軽に入れなくなっちゃったし、まるでお渡し会に行く気分だったわ!」


 それを聞いて機嫌を良くした歩夢くんは握った手を大きく振りながら、


 「いづみさんっていつも綺麗でちゃんとしてる人かと思ってたよ。なーんだ! 俺に会う為にお洒落してたんだ!」

 「お洒落って言うか、……まぁ恥ずかしく無い格好でってだけよ!」


 改めて言われると恥ずかしくなった。見栄っ張りだなぁ、私。そんな私を見ながら歩夢くんはニヤニヤしながら、


 「だから毎日来てくれてたんだね! 俺の声が聞きたいから!」

 「そーよ! 悪い? だって目を閉じると声が聞こえて来ちゃうんだもん。会いたくもなるわよ!」


 恥ずかしくてつい逆ギレみたいになった私に、歩夢くんはエントランスで立ち止まり真顔で聞いて来た。


 「……ねぇいづみさん。昨日俺がいつから好きになったのか聞いてたけど、いづみさんは俺の声じゃなくて、俺の事をいつから好きになってくれたの?」


 うーん、そう言われるといつなんだろ? 私は腕を組んで考えた。


 「最初見た時から格好良いとは思ってだけど、とにかく声がたまらなく好きだったの、最推しだった蓮さまよりもよ! だから恋愛感情というよりやっぱり推しに会いたいから通ってたのよね。

 でもそれから何回がご飯食べに行ったりしてるうちに……、ちょっと天然だけどいつも前向きで努力家で、私を気遣ってくれる優しいあなたの事を会う度に好きになっていったの」


 それを聞いて歩夢くんは無言でエントランスを抜けエレベーターまで歩いて行った。何? こんなに素直に答えたのにリアクションなしなの?


 エレベーターに乗り五階のボタンを押すと歩夢くんは何故かソワソワしている様だった。

 あっ、トイレ行きたいのかしら? ここは何も言わずに早く玄関を開けてあげよう。


 エレベーターから降りて急ぎ足で部屋まで向かう。その後ろから同じ速さで歩夢くんもついてくる。もう我慢出来ないのかしら? 分かるわぁ、私も経験あったもんね!


 「はいお待たせぇ〜、トイレは……


 言い終わる前にいきなり私を抱きしめて来た! えっ、そっち我慢してたの?


 「あんな嬉しい事言われたら抱きしめたくなるに決まってるでしょ? いづみさんこそ天然なんじゃない?」

 「歩夢くんに言われるとは思わなかったわ! でも部屋まで我慢したのね、ヨシヨシ!」


 私はポンポンと子供をあやす様に頭を撫でた。

 でも、それが気に食わなかったのか強引に唇を奪って来た。体の力が抜ける程濃厚なキスに私の頭の中は真っ白になった。


 「……これでも俺の事、子供扱いしますか?」


 いつもより低くて迫力のある声を聞いて、私は何も言えずに首を横に張るしか出来なかった。


 「なーんてね♪ 続きはご飯食べてからにしましょう! 今からしたら俺、昨日みたいに朝まで求めてしまいそうだからさ!」


 ズルい! こんなに火をつけておいてそんな事言うなんて!


 「もう、知らないっ! 今日は何があっても絶対しないんだからねっ!」


 頬を膨らませた私を見て歩夢くんは大笑いした。


 「あはははっ、はははっ! 駄目だ! もう俺、いづみさんが何しても可愛く見えちゃうよ!」

 「もぅ何言ってんのよ! 怒ってるんだからねっ!」

 「だけどいーの? 今から始めたら絶対ご飯作るの面倒くさくなるよ? 一緒に買い物行ってご飯作って食べるのが俺達のしたかった事だよね?」

 「分かってるわよっ! んー、なんか悔しいっ!!」


 私なんかより歩夢くんの方がずっと大人で、二人でいる事を大切に思ってくれている。嬉しい事だけど、すぐに欲しがってしまった自分がチョロ過ぎて情け無いわ。


 

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