あけましておめでとうございます!
「改めて、あけましておめでとう、いづみさん。今年も宜しくお願いします!」
「ふふっ、あけましておめでとう、歩夢くん。 今年も宜しくね♡」
私達はお風呂から出た後、浴衣を着てビールで乾杯をした。
「もう俺、この年越しは忘れられない思い出になったよ! だって大好きな人と繋がったまま年越ししたなんて、こんな幸せな事中々無いよ!」
嬉しそうにビールを飲み干すその顔は、まるで一大プロジェクトを成功させたかの様だった。
「もうっ! まさかお風呂でするなんて思わなかったわよっ!」
流石にこの短時間で三回は疲れたのか、歩夢くんは私にもたれ掛かって甘えている。
「近くにお寺がありそうだから、せっかくだし午後にでも初詣に行かない? 二人の思い出の場所になったからお参りしたいな」
「うん、そーだね。チェックアウトは夕方だけど、早めに出てお参りして帰ろう!」
※
「……ねぇ、お布団に入ってお話ししない?」
私のお誘いに嬉しそうに頷くと、歩夢くんは軽々と私を抱き抱え、お姫様抱っこして運んでくれた。
一つの布団に二人で抱き合ったまま横になる。
「んふふ、なんかずっとイチャイチャしてるね、私達♡」
「なるべく一緒の時はこうして触れ合っていたいんだ。仕事が始まればまた会えない日が続くからね」
そうだった。私はそーでもないけど歩夢くんは来年も忙しいんだった。
「そーよね、贔屓目無しで見ても今、男性声優で一番注目されてるもんね。オフィシャルのSNSのフォロワーもあっという間に五万人超えたし。本人はまるで呟かないのに!」
「あははっ、あくまでも今後の予定と影山さんが動画や画像を撮ってアップしてるだけだからねー、でも本当ありがたいよ!」
推しの立場からすると歩夢くんが忙しいのはとても嬉しいんだけど、彼女になってしまった今、やっぱり出来るだけ一緒に居たいと思ってしまう。複雑な気分だわ。
「ん、……どーしたの、急に黙り込んで? 眠くなったのなら寝て良いよ」
私がそんな事を考えていたら歩夢くんは私を腕枕してくれた。
「私ね、世間にもっともっと歩夢くんの声を知って欲しい! それでみんなに元気や感動を与える様な作品を届けて欲しいの! ……でもね、もう一人のズルい私は、……あなたを独占したい! ずっと側にいて欲しいって思うの! だからゴメンね。もう心の底から応援する事は出来ないわ!」
そんな私に歩夢くんは優しく唇を重ねて、
「それでもいーよ。いづみさんの本心が聞けて俺は嬉しいんだ。勿論、俺だってずっとこうしていたいし、触れ合っていたいけど、そんなの無理だからさ、だからせめて一緒の時はお互い言いたい事があったら言い合える仲になりたいな。……駄目かな?」
「駄目じゃないよ! こんなに優しくしてくれるんだもん、私が欲張り過ぎたわ」
「いづみさんっ!」
「歩夢くん、……もうっ、あぁん♡」
私達は一度知ってしまった快楽を求め続け、何度も何度も愛し合った。
する度に感度が増して頭がおかしくなりそうになる。一日でこんなにしたのなんて初めて!
……気がつくともう朝になっていた。
流石にぐったりして、初日の出を拝む前に私達は裸のまま抱き合って眠ってしまった。
※
「う、う〜ん、…………ん? もうこんな時間!?」
目が覚めるともう既にお昼を過ぎていて、朝食のビ
ュッフェを食べ損なってしまった。
「ん〜ん、あ、おはよういづみさん♪」
寝起きでも声は爽やかね。私は声を出し過ぎて少し枯れてるって言うのに……。
「おはよ、歩夢くん。私も今起きたの、もうお昼過ぎてるわよ!」
「えっ!? ……嘘っ? 爆睡してたよ!」
「そりゃあれだけしたんだから疲れたでしょ? 私も声がガラガラよ〜!」
「だっていづみさんがあまりにも色っぽくて、可愛くて……、ホラ、また大きくなってる」
歩夢くんは私の手を自分の股間に持って行った。……っっ!! 元気過ぎる!!
「とっ、とりあえずお風呂入りに行こ! それからお蕎麦でも食べて初詣ね!」
私は歩夢くんの頬にキスをして浴衣を着た。不満気な顔してるけどちょっと落ち着こ!
私達は手を繋いで大浴場へ向かい、また別々の暖簾をくぐった。チェックアウトする前にもう一度ゆっくり浸かりたかったのよね♪
あー気持ちいい! 家に温泉があれば毎日疲れが取れるのになー。
首まで浸かり、目を閉じると昨日の夜からの事を思い出してしまった。
嘘!? なんか……ムラムラしてきた。
今までずっとしてなかったのに、急にいっぱいしたから私、おかしくなっちゃったのかな? こんなんで会えない日が続いたらどーなっちゃうの?
私は大きく深呼吸をして、周りの景色を見て心を落ち着かせた。……もぅ新年早々何考えてるんだろ?
※
「あっ、お帰り! いづみさんって結構長湯だよね。俺なんか長く湯船に浸かってるとのぼせちゃうんだよねー」
私だって普段はそんなに長湯をする方では無い。
あんなにした後に、まだ欲しいなんて言える訳無いから気持ちを落ち着かせてたのよ!
その後私達は少し遅い昼食を取り、近くのお寺に初詣に行った。
それなりに賑わっていて屋台なんかも出ていたが、チェックアウトの時間も近かったのでお参りだけ済ませて戻って来た。
「いづみさん、随分時間掛けて手を合わせてたけど、何お祈りしてたの?」
「そんなの歩夢くんの声がもっとみんなに届きます様にお願いしたに決まってるでしょ?」
「えっ、自分の事はお願いしなかったの?」
「歩夢くん、こーゆー所でのお願いは一つだけなんだよ! 欲張ったら叶えてくれないんだから!」
「だったら俺の事より自分のお願いすればいーのに! いづみさんは何か自分の事で願い事ないの?」
うーん、もう叶っちゃったから特に無いかなぁ?
「私は良いわよ! それより歩夢くんは何をお祈りしたの?」
「俺は、自分の仕事の事といづみさんと一緒に住める様にって!」
嬉しい! そっか、私の今後の夢は歩夢くんと一緒に住む事だわ!
「うん! 今年中に住める様になるといいね!」
私は歩夢くんの腕を組んでホテルまで戻った。
※
一泊二日なんてあっという間だったなぁ、でも、一生忘れる事の無い思い出が出来た。
ホテルを後にして特急列車に乗り込み、目を閉じて楽しかった出来事を思い返していた。
歩夢くんは私の手を握りながら寝息を立てている。やっぱり頑張ったから疲れてるんだろうな♡
また暫く会えなくなっちゃうんだ。寂しいなぁ、一週間なんて贅沢は言わないけど、半月に一度は二人で過ごしたいな。
もうすぐ東京に着く。いつもの電車に乗り換えたらもう楽しかった温泉旅行も終わってしまう。
もっと、もっと一緒に居たい!
「ねぇ歩夢くん、もうそろそろ着くよ」
「んぁ……、もう着くんだ。ふぁあ〜」
ぐっすり寝てたのね。大きく伸びをしてまだぼぉ〜っとしてる。
「いづみさん、何処かでご飯食べて行きません? 昼軽めに食べたから腹へっちゃった」
「うん! 何食べたい?」
良かった! まだ一緒に居られる!
すると歩夢くんは暫く考えた後、私を見つめて驚きの言葉を口にした。
「外食はやめて、いづみさん家で一緒に作りません? 前に約束したでしょ? こんな機会中々ないからさ!」




