ホテルでまったり♡
「はぁっ、はぁ〜っっ!!」
「ふふふっ、なんか汗かいちゃった!」
私達は手を繋ぎホテルに戻り部屋に入った。あぁ、やっとゆっくり出来るわ!
「うわぁ、景色も良いし! ほら見ていづみさんっ、個室風呂も付いてるよ!」
……歩夢くん、雪に夢中で私の話なんてまるで耳に入って無かったのね。
「とりあえずさ、汗もかいたし大浴場行ってみない? 露天風呂もあるみたいよ!」
「うん、体冷えちゃうしね! 時間とか気にしないでゆっくり入ろうよ。お互い出たら部屋に戻れば良いしさ」
やっと当初の目的だった温泉でゆっくり出来るわ!
個室風呂は……、ちょっと恥ずかしいけれど今夜にでも♡
「それじゃごゆっくり♪」
「本当は混浴が良かったなー、なんて!」
私達は別々の暖簾をくぐり更衣室へ向かった。
お昼前だからなのか、それとも大晦日だからなのかは分からないけれど、まだそんなに人は居なかった。ラッキー♪
シャワーを浴びて髪と体をゆっくりと洗い、いよいよ湯船に浸かる。
「あぁ〜っ、気持ちいぃ♡」
やっぱり広いお風呂で足を伸ばすのって最高だわ! 年末の疲れが一気に取れていく気がする。
タオルを枕代わりにして首まで浸かり、ぼぉ〜っとしながら今年一年を思い返す。
かれんとの半同棲の日々や、梅里くんと付き合い始めて遂に結婚、お腹には赤ちゃんまで!
ゆみちゃんと行ったイベントの数々、そして生誕祭でステージに上げられた事、そしてゆみちゃんのバンドのライブ、カッコ良かったなぁ〜 ♪
それに蓮さま! 私は認知されてないと思ってたのに、最古参だって事まで知っていてくれた! 今では最推しは歩夢くんになってしまったのに、私達の事を応援してくれている。今でも勿論大好き♡
そして歩夢くん。蓮さまとのダブル主演のアニメ『バディーズ』が大反響の内に最終話を終え、早くも二期が決定した! 年明けには映画のアフレコも始まるし、春には主演作が三本も! コンビニでお渡し会をしてた頃に比べると大出世だわ! 嬉しい反面、またあのコンビニでの姿も見たいけどね。
結局私が振り回してしまって春まで待たずに今、こうしてつき合う事になり、年越しを二人で迎えようとしている。
こうして思い返すと色々な事があったな。
来年になれば、かれんもゆみちゃんも会う日が激変してしまうし、歩夢くんもつき合って居るとは言え、益々忙しくなり会える日もそんなに多くはないだろう。
そー考えると寂しくて泣いちゃいそうだけど、私も来年はもっと自分を磨いて歩夢くんに相応しい女にならないと! いつか二人で住める時が来るまで……。
※
「はぁ〜っ、気持ち良かったぁ〜♪」
「あっお帰り! 随分ゆっくりだったねー♪」
歩夢くんはテーブルに置いてあった湯呑み茶碗を取りお茶を入れてくれた。
「歩夢くん、その浴衣似合ってるね!」
「いづみさんこそ、……髪を上げてて、いつもと雰囲気違って、……色っぽいです」
向かい側に座っていた歩夢くんは座布団を持って隣に座って来た。そしてすぐに私を抱きしめて唇を重ねて来た。
「いづみさん、俺、生まれて来て今が一番幸せかも!」
「大袈裟よ! ふふっ、……私もだけど」
私は歩夢くんの肩にもたれ掛かり、お互い何も喋る事なく、ただぼーっとしながらついているテレビを眺めていた。
「なんか時間がゆっくりと流れてる感じがして良いですね」
「うん、本当にこのままゆっくり流れて欲しいわ」
そんな中、テレビである人物が映って空気が変わった。
「あっ、小日向のぞみさんだ!」
「ん、誰? 私、アニメ以外テレビ見てないから知らないけど……」
年末特番か何かの番組で、可愛い顔して露出度の高い、胸元を強調したスタイルの良い女の子が映っていた。
「……可愛い子ね。歩夢くん、あーゆーのが好きなんだ。ごめんね、私、そんなに大っきくなくて!」
「何言ってるのいづみさんっ! 彼女、来年からアフレコに入る映画で共演するんだ。俺も動いてる所初めて見たよ!」
……あっ、そーなんだ。
私達はしばらく無言で彼女を見ていた。
……なんか好きじゃないかも。
多分だけどこの人、こーゆーキャラを演じてるんだろうな。やたらボディタッチが多いし、演者の事をじっと見つめて話しを聞いてるし……、おまけに上目遣いも! 同性には好かれないタイプよね。
「歩夢くん、気をつけてね。私、……なんかあの子見てると怖いの、嫌な予感がする」
すると歩夢くんは強く私を抱きしめて、
「心配しないでください。影山さんや、もう一人のヒロイン役の同期の子も同じ事言ってたから俺も警戒してるんです。
それに今見てて、正直言って苦手なタイプだなって思いました。でも、この映画は絶対成功させたいので、上手く付き合っていけたらって思ってます」
そっか、影山さんも警戒してるのね。ちょっと安心したわ。
「でも、……可愛いし、しかもあんな体で迫られたら誰だってその気になっちゃうんじゃ……
言い終わらない内に私は歩夢くんに押し倒された。
「それじゃ、いづみさんがその気にさせない様にすれば良いでしょ?」
凄い! こんな俺様ボイス聞いた事ないわ! 頭がクラクラして来た〜!
「……ごめんなさい、私、……焼きもち焼きました」
「うん、素直でよろしい♪」
今度は年上のお兄さんボイス!? どんだけ幅広いの!?
そのまま歩夢くんは唇から首筋にかけてキスをして来た。待って! まだお昼よ! ご飯だって食べてないじゃない!?
すると歩夢くんのお腹からぐぅ〜っと音がした。
歩夢くんは恥ずかしそうに笑って、
「あははっ、お腹空いちゃいましたね♪」
「ふふっ、それじゃお昼にしましょ、まだ明るいし、ずっと一緒なんだから焦らないで♡」
そう言って頬にキスをしたらまた押し倒されて、
「そーゆー事するとしたくなるじゃん!」
「えへへっ、だーめっ、まだお預けよ♪」
※
その後私達はホテルのレストランへ行き、ビュッフェを堪能した。
長野県って海が無いのに海鮮もとても美味しくて、あとはお焼きやお蕎麦と言った名産にも手を伸ばした。
「夕食は部屋で食べるみたいよ! あー今から楽しみだわ♪」
「いづみさん、さっきお腹いっぱいって言ってたのにもう夕食の事考えてるんですか?」
「だって、最近ずっと自炊だったからさー、人が作ってくれた物を食べるの嬉しいんだもん!」
そう言って更にスイーツを取りに行く私を歩夢くんは苦笑いで見ていた。別腹、別腹っ♪




