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年末に向けて……、



 「……でね、聞いて! かれん年が明けたら結婚するんだって! それでお腹に赤ちゃんも居るの!」

 「マジで!? 付き合って半年でしょ? 

 ……でもなんか嬉しいなぁ、コンビニで働いてた時、『私だけ大切にしてくれる良い男居ないかなぁ?』って良く言ってたのが懐かしいよ!」


 ふふっ、かれんったら歩夢くんにまでそんな事言ってたのね。

 かれんの幸せな報告から一夜明け、歩夢くんに電話をかけた。歩夢くんも驚いてたけど凄く嬉しそう♪



 「でも長く付き合えば良いってもんじゃないのが、かれん達を見てて分かったわ。梅里くんがかれんの事凄く大切にしてくれてるし、かれんも既に奥さんみたいだもん」


 「…………」


 あれ? 歩夢くん、どーしたのかしら?


 「……ねぇいづみさん、こんな事改めて聞くのは何だけど俺達って今、付き合ってるって事でいーんだよね? 昨日だって俺の誕生日を二人で祝ってその、……()()はいないけど朝まで一緒だったし……」


 ……そうだった。私達、好きとは言い合ってたけど付き合ってるとか考えてなかったわ!


 「……そうよね。付き合っちゃったね、私達」

 「じゃあいづみさんはもう俺の彼女って言ってもいーんですよね?」

 「うん、私、あなたの彼女……です。これからも宜しくお願いします」



 ……あれ? なんで何も言ってくれないの?



 すると、



 「いやったぁーーーぁぁああ!!! やっといづみさんが俺の彼女になってくれたぁぁーーーっっ!!」



 スマホのスピーカーが壊れるんじゃ無いかって位叫んでる!


 「もうっ!! 大袈裟だよ! 私こそ歩夢くんの彼女になれて嬉しいんだから!」

 「だって俺、春までとか仕事が軌道に乗るまでとか言われてずっと待たされてたんだよ?」

 「私、……歩夢くんに迷惑を掛けたく無くて、ずっと一歩が踏み出せなかったの。でも、あの時抱きしめられてキスをされて……。本当勝手よね、散々待たせておいて自分が抑えられなくなったら付き合うとか、私……、今まで素直になれなくてごめんなさい」



 普通に考えて自分勝手過ぎるわ、散々待たせておいて私が我慢出来なくなったからとか、改めて口にすると自己嫌悪に陥りそうだわ。それでも歩夢くんはとても優しい声で、


 「いーんですよ、いづみさん。俺、いづみさんが俺の為を思って悩んでいたのも全部分かってますから! ただ、俺も我慢出来なくて……。

 へへっ、俺達一緒ですね! 今思えば良く今まで我慢出来てたなと思うし、あの時強引に抱きしめて良かったって思ってます」


 そんな事言われたら涙が溢れて止まらなくなった。


 「ごめんね、……ありがとう。私、今でも歩夢くんに迷惑を掛けたく無い気持ちでいっぱいなの」

 「うん、分かってるから! でも蓮さんや影山さんとか、俺達の事応援してくれる人達が居るから上手くやっていけるハズだよ! だからもう迷惑だとか考えないで欲しいんだ」


 「なんでそんなに優しいの? 歩夢くん、私、……私に何か出来る事ある? 私、歩夢くんの為に何かしてあげたいの!」

 「うーん、俺、いづみさんが彼女になってくれただけで満足なんだけどなー?」


 「そんなのお互い様よ! 何でもいーから言って!」



 暫くの間考えているみたいで無言の時間が続いているけど、どうやら本当にそれで満足そうだった。



 「……それじゃ、さ」

 「ん、何?」

 「今度会った時は、……昨日の続きがしたいな」

 「……っっ!!」


 ゾクっとする程色気のある声で言われた。歩夢くんってこんな声も出せるんだ。


 「……うん。私もしたい」

 「ごめんね、今度はちゃんとするから」


 やっぱり気にしてたんだ。ふふっ、ちゃんとするってなんなの?♪


 




 ※






 そして毎年十二月と言うのは慌ただしいもので、うちのショッピングモールもここぞとばかりにセールを開催していて、まるで毎日がお祭りの様だ。


 当然うちのお店も例に漏れず歳末売り尽くしセールをしてお客さんを集めている。あー忙しい


 クリスマスも近いし、普段は女性客がほとんどなのにこの時期は男性客も結構やって来る。

 あーぁ、今年のクリスマスはかれんも居ないし、ゆみちゃんはバンドメンバーと過ごすみたいだし、歩夢くんも遅くまで仕事みたいだからクリぼっちだなー。


 まぁそんな事は分かってたから今の私のモチベーションは、年末年始のお休みに歩夢くんと会う事一択よ!


 歩夢くんは三十日から休みって言ってたけど、私の所は三十日まで営業して三日が初売り、なので休みは三日間だけだ。まぁ販売業の宿命よね、他の人が休んでる時が書き入れ時だもんね。


 「あ〜、もうクリスマスなんてすっ飛ばして早く年末年始にならないかしらー」


 するとゆみちゃんがダダダと小走りでかけてきて私の腕を掴んだ。


 「いづみちゃん! 心の声がダダ漏れだよっ!? 気持ちは分かるけどさ……」


 ハッと気が付き周りを見渡すとお客さん達がこっちを見てる! 私、一番言っちゃ駄目な事言った?

 そのままゆみちゃんに腕を掴まれバックヤードに連れ込まれた。


 「もうっ、いづみちゃん店長でしょっ!? この時期売らないでどーすんのよ? 歩夢かれしに会えないからってそんなんじゃ駄目ですよー!」


 ゆみちゃんの言う通りだ。歩夢くんだって寝る時間も無い位頑張ってるんだから私もちゃんとしないと!


 「私は年末手当の為に頑張ってるんですから! 頼みますよっ!?」

 「ごめんゆみちゃんっ! ちゃんと売り上げ作ってスッキリした気持ちで年越ししようね!」

 

 するとゆみちゃんはイヤらしい顔で私の胸をツンツンしながら、


 「この前はスッキリしなかったもんねー♪ 年末は歩夢くんとスッキリするんでしょ?」

 



 「もぅ〜〜っ! そーゆーつもりで言ったんじゃないから〜っ!!」

 


 

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