表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/53

お泊まり♡その後の二人


 〜成田歩夢視点〜



 「それじゃ私が先に出るね。もし、万が一の事を考えたら別々に出た方が良いと思うの」



 いづみさんはこんな俺に最後まで気を使ってくれている。やっぱ大人だよな、それに比べて俺は自分が情け無いよ。


 「もぅ〜っ、そんな顔しないの! 年末年始はずっと一緒に居られるでしょ? 二人で何処か旅行にでも行ってさ、そしたら……私だって♡」


 そう言ってちょんと肩に手を乗せ唇を重ねて来た。そんな事されたら……っ! もう、本当ゴメン!!





 ※



 

 いづみさんが帰った後、悶々としながら部屋で時間を潰しているとメッセージが届いた。夏希からだ。


 『たしか今日誕生日だったわよね? おめでとう! 来年また一緒に仕事が出来るの楽しみにしてるわ♪』


 ……と、くす玉のスタンプが届いた。覚えててくれたんだ!


 『ありがとう! 俺も夏希に会えるの楽しみにしてるよ!』


 夏希は何かにつけて俺に対抗心をむき出しにしてたからなー、それがまさか恋人役として再会するなんてなんか笑っちゃうよ! すると、


 『一つ忠告しておくわ、もう一人の相手役の小日向のぞみには気をつけた方がいいわよ。

 私も噂でしか聞いてないからアレだけど、かなりのクセモノみたいであまり良い噂聞かないから。歩夢はお人好しだからコロっと騙されない様気をつけなさいよ』


 ふーん、……でも噂でしょ? 会ってみないと分からないし、せっかく一緒に頑張るんだから仲良くやりたいんだけどなー。


 『分かった、わざわざありがとな! 俺達の初共演なんだから良い映画にしようぜ!』


 だけど夏希がそう言うのならちょっと影山さんに聞いてみようかな?





 ※





 「おはようございます! 影山さん『御船』めっちゃ美味かったです、支配人さんからもサプライズでスイーツまで出してもらって! 本当にありがとうございました!!」

 「ふふふっ、いいのよ誕生日だったんだから! 改めておめでとう、楽しめた様で何よりだわ♪」


 影山さんもまるで自分の事の様に嬉しそうだ。


 「あっ、そうだ! 言い忘れてたけど今日からオフィシャルで歩夢のSNSを開設する事になったから。

 主に活動の告知をして、後はまぁ私がたまに呟いて歩夢の画像とか動画をアップする位なんだけど、誕生日の今日から始めた方が良いかなって! とりあえず一枚写真撮ろっか?」


 そー言えば俺個人で発信してるのって無かったよな? SNSだって見る専で呟いた事なんて無いし。


 「はい歩夢、デレデレしないでキリッとして!」


 影山さんは俺にスマホを向けてパシャパシャと撮り出した。なんか恥ずかしいな。


 「んー、まぁこんなもんか! 歩夢、一発目位何か呟きなさいよ! 『今日は俺の二十五歳の誕生日です! これからも宜しくお願いします』みたいなヤツ!」


 んな事言われても、呟いた事無いから分からないよ! ……とりあえず影山さんの言った事そのまま呟いてみた。


 「……つまんない男ねぇ? 『これでみんなと繋がったね♡』みたいな事言えないの? これじゃ運営がなりすました様にしか見えないでしょ?」


 影山さんは舌打ちをして、さっき撮った画像をアップした。


 「ウチとしては蓮が抜けた後の穴埋めをみんなでしていかないといけないの。社長だって期待してるのよ! 歩夢は今が旬なんだから、この勢いでもっとファンを増やさないと!」


 そうだ、春には蓮さん事務所辞めちゃうんだもんな、俺ももっともっと頑張らないと!


 「あっ、話は変わるんですけど年明けからアフレコが始まる『トライアングラー』の相手役って、一人は俺が養成所時代同期だった桑原夏希だからよく知ってる奴なんですけど、もう一人の小日向のぞみさんってどんな人なんですか? 

 グラビアアイドルで最近よくバラエティに出てるみたいだけど俺、テレビとか見てないから全然知らないんですよねぇ?」


 すると影山さんんは眉間にシワを寄せ、眼鏡のブリッジを中指でクイッとしながら小声で言った。


 「……いい? 歩夢、私もまだ裏を取って無いから断言は出来ないけど、その小日向って女は要注意よ! 最近テレビ出まくってるのだってスポンサーの偉い人と繋がってるって噂だし、今回の配役も聞いてた時点では彼女の名前なんて無かったハズなんだけど……、まぁどんな手を使ったのかは知らないけど、とにかく今回は無難に済ませるのが良いと思うわ」


 「無難にって、……俺はどーすれば良いんですか?」

 「当たり障りの無い程度に会話して、後は自分の演技に集中するのよ。変に関わったらなんか面倒な事になりそうな予感がするのよね」


 影山さんも夏希と同じ事言ってるな。


 「まぁでも、そんなに気にする事も無いわ! いざとなったら小石川こいしかわ乙葉おとはが居るし、なんとかなるでしょ?」


 「えっ!? 小石川さんも出るんですか?」

 「えぇ、今日追加キャストがこの後公式から発表があるハズよ、ちなみに主人公の初恋のお姉さん役だから歩夢との絡みも多いと思うわよ」


 小石川こいしかわ乙葉おとは、今年声優活動十周年を迎えた、ここ数年間出演本数ナンバーワンの人気、実力共に女性声優界の頂点に立つ人だ。


 一時期ラブコメアニメの主演は小石川さんばっかりだった年があったよな? 更に妹役や大人の女性と幅広い役を演じていて、エンドロールで小石川さんの名前を見て驚く事が何度かあったもんなー。


 蓮さんとの共演も多く、二人でやってたアニラジなんて、毎回イチャイチャし過ぎて両方のファンかヤキモキしてたっけ、あれ面白かったよなぁー♪


 そんな小石川さんと共演出来るなんて光栄だ! 裏方さんからの信頼も厚いし、小日向さんが仮に何かトラブルを起こしても何とかなりそうだな!





 ※




 〜鈴森いづみ視点〜




 あーぁ、なんかドキドキして損しちゃった。


 でも歩夢くんの誕生日を一緒に祝えて、あんな美味しい食事と綺麗な夜景を見れて幸せだったなぁ♪


 私は電車に揺られながら、昨日の事を思い返して自然と口角が上がっていた。

 まだお昼前だし、午後は部屋でのんびりしようかなぁ? 


 最寄り駅に着き、久しぶりにスマイルワンに入る。


 歩夢くんは勿論居ないけど、かれんもたまにしか入って無いみたいだから行く回数が激変したのよね、ちゃんと自炊もしてるからお弁当も買わないし……。

 

 お店に入って、かれんが居ないかキョロキョロしていたら梅里くんに声を掛けられた。


 「鈴森久しぶり! 最近全然店来なくなったな?」

 「だって私の親友、梅里くんに取られちゃったんだもん!」

 「そー言うなよ、鈴森には感謝してるんだ! あの時セッティングしてくれて本当にありがとう!」

 「やめてよー、もうそれ言うの何度目よ? ……ところでかれんは?」


 ふと胸元に目をやると、前までかれんがつけていた平仮名で『ふくてんちょー』と書いたネームプレートを付けていた。いよいよかれんちゃん、専業主婦になる気マンマンじゃない!


 「かれんなら部屋に居るよ、退屈してると思うから顔出して見れば?」


 あーぁ、当たり前だけど彼氏みたいな口ぶりだわ。まぁ私がくっつけたんだからいーんだけど。


 「うん、今日は私も午後は暇だから久しぶりにかれんとイチャイチャしようかなー? 梅里くんが帰ってかれんが部屋に居なかったら、私に寝取られたと思ってね♡」

 「あぁ、たまには遊んでやってくれよ!」

 「何、彼氏目線でマウント取ってるのよー? ふふっ、仲良さそうで何よりだわ、じゃかれん借りるわね♪」


 私は元カノに会う様な気持ちで梅里くんに手を振りコンビニを後にした。


 久しぶりって言ってもほぼ毎日連絡は取ってるんだけどねー♪



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ