閑話 かれんの恋!?《中編》
「それじゃ私もかれんも来週の水曜日休みだから、前日の火曜日の仕事終わりに三人で食事でもどう?」
梅里くんはスマホでスケジュールを確認して、
「俺もバイト夕方までだから大丈夫だよ! 悪いな鈴森、久しぶりに会っていきなりこんな事頼んで」
「気にしないで! 私だって親友に紹介するんだからちゃんと人を選ぶわよ。梅里くんなら自信持って紹介出来るわ。……まぁ紹介はするけど後は梅里くん次第だけどね」
「そう言って貰えると嬉しいよ。俺も先ずは友達になる事からって思ってるからさ。だから鈴森の顔に泥を塗る様な事は絶対にしない、約束する!」
真面目だなぁ梅里くん。でもこの位の方が案外かれんには合ってるのかも、世話も焼いてくれそうだし♪
「それじゃ、梅里くんの為にかれんの個人情報教えちゃおうかな?」
「マジで!? いいのか?」
かれんの名誉の為、当たり障りの無い好きな食べ物や趣味、それに料理が得意で動物が出て来る映画を見るとすぐ泣くなどを話すと梅里くんは興味津々だった。
※
「それじゃ火曜日に! 都合が悪くなったりしたら連絡してね」
「分かった。本当ありがとな、鈴森っ!」
晴れ晴れとした顔で梅里くんは手を振り駅に向かって歩いていった。
さぁ面白くなって来たわよ! かれん、梅里くんの事気に入ってくれるといーな♪
あっ、もうこんな時間! 早く帰って晩ご飯の支度しなくちゃっ! ……って主婦かっ!?
※
大急ぎで晩ご飯の支度を……と思って帰ったら、既にキッチンにはエプロンをしたかれんが立っていて、
「あっ、お帰りー、風呂掃除して沸かしておいたから入って来なよ。汗かいただろ?」
絶対出掛ける時の格好のままゲームしてると思ってたのに、まるでかれんが奥さんの様に見えた。
「んー、かれんちゃん、ありがと、大好き♡」
「やめろーっ! 暑苦しいからベタベタすんなしっ!?」
お言葉に甘えてそのままお風呂に入って汗を流す。
あー気持ちいい、なんだかんだ言いながらかれんは絶妙のタイミングで家事をやってくれるのよね。
でも梅里くんとくっついちゃったら、こんな事無くなっちゃうのかな、ちょっと複雑な気分だわ。
※
お風呂から上がるとテーブルにはピーマンの肉詰めにサラダとお味噌汁、おまけにグラスにビールが注いであった。
「いづみんの分もご飯よそっちゃうよ、あぁ腹減ったー!」
「あーん、もう結婚しよ、俺たち♡」
私はエプロン姿のかれんに抱きつき頬にキスをした。
「だからくっつくなって! 乳揉むなーっ!!」
「えへへ、いーではないかっ♪」
「いづみん歩夢にかまって貰えないから欲求不満だろ? 私で発散すんなしっ!」
「歩夢くんは関係ないでしょっ! バカっ!!」
かれんは肩で息をしながら私を払いのけソファーに座った。そんなに拒絶しなくてもいーじゃない?
「「いただきまーす!」」
二人で手を合わせ早速ピーマンの肉詰めをつまみにビールを飲む。
「んあぁ〜っ、美味しぃ〜!! 今日は暑かったから格別だわ♡」
「ごめんねー、暑い中買い物行ってくれて。せめてご飯位作んなきゃって思ってさ」
「ふふっ、嬉しいなー、絶対まだゲームやってるかと思ってたわよ」
なんかいーな、こうして二人でご飯食べてると歩夢くんに会えない寂しさが紛れるわ。梅里くんに紹介するのやめよっかなーなんて思っちゃう。
「んで、どーだった高校の同級生、久しぶりだったんでしょ? 大分見た目変わってたんじゃない?」
「んー、…………実はね」
私はスーパーで梅里くんに会ってからの事を話したら、珍しくかれんが恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
「んな、……勝手に会うとか決めんなしっ!?」
「でもかれん言ってたでしょ、私に男紹介しろって! 梅里くんなら私、かれんに紹介出来ると思ったのよ」
「でもさー、こんな私見てガッカリしないかなー、なんかいつも声掛けて来る様なチャラい男じゃないから逆に緊張するわ」
ふふっ、可愛い♡ こんな顔見たら益々手放したくなくなっちゃうわ♪
「大好きなかれんに紹介するんだから、変な人な訳無いでしょ? だからわざわざファミレスで探りまで入れたのよ!」
「うん、……いづみんがそこまで言うなら会ってみるよ。その代わりいづみんも一緒に居てね、お願いっ!!」
なんか急に乙女になってるんですけど? かれんは箸を置いて私に抱きついて来た。
「わかったわよ! でも、別に私に気を使わなくていーから、嫌だと思ったら遠慮なく言ってね。私もそこまで仲良い訳じゃないし、たまたまかれんと私が喋ってるの見て声掛けられただけだから」
「うん、そー言ってくれると気が楽になったよ。せっかくいづみんが紹介してくれたんだからとか思って付き合うの嫌じゃん?」
本当かれんって、見た目はギャルなのにって偏見だけど気遣いが半端ないわ。
私だって無理に付き合って貰いたくなんか無いし、なんなら断ってこのまま私と住んじゃえばなんて思ってしまう。
「まぁ梅里くんも先ずは友達になりたいみたいな事言ってたし、かれんもいつも通りのかれんで居ればいーんじゃない? 私の勘では二人、案外気が合うと思うんだよね」
「いづみん、ありがと。なんかいざ紹介してもらうとなると、今のこの生活が無くなっちゃうみたいで複雑な心境だよ」
ふふっ、同じ事考えてたのね。私はかれんを抱きしめて優しく頭を撫でた。
「この先私達、お互い結婚したってずっと親友だよ」
「いづみん……、ありがと♡」
それから梅里くんに会う日までの一週間、かれんは私の部屋に住みついたのでした。




