成長
この世界に来て1週間が過ぎた。
魔法を習い始めて早々に挫折、からの天才ぷりとかなりの飛躍を見せてからもう1週間。
やはり調子に乗るのはよくないのである。
魔力量の分からぬ私は色々な魔法を試して一気に魔力を使いすぎ昏倒してしまった。
そして久々に目が覚めたのが今日である。
いやー。頭が痛い。
二日酔いのようにズキズキする。
魔力が枯渇すると痛い目に合うのね。パラメータがあるわけじゃないからこれは感覚で覚えるしかない。
ズキズキする頭に手をやりベッドから起き上がる。
おや、なんで目覚めたばかりなのに1週間とか分かるのかしら。
あぁ、目の前にあるこのステータス画面のせいか。日付まで入っていてわかりやすいわ。
…
……
………
ん?
「なんじゃこりゃ?!」
そりゃパラメータが見れればいいなぁ、とか思ったよ。しかしそんな、一朝一夕ででるもんじゃなくない?
ちょっとまて。確か意識が遠くなる前に…
-------
----
--
「そういえば白夜もルビーも私がスキルが消えてるってわからなかったんだよね?」
「えぇ。スキルって魂から派生しそれを体に刻み込むことで定着するものなのよ。だから記憶なくしたくらいではそうそう消えないものなのよ。」
「ふぅーん。じゃあ持ってるスキルは本人じゃなきゃわからないってわけかー」
魔粒子を練りながらルビーを見やる。
「スキル『魔粒子操作』…あっ。これで操りやすくなるのかな?」
「ふふふ。でも鑑定スキルがあれば他者のスキルも見れますわよ。」
「えっ、そうなの?相手のスキル見れたら便利だし有利じゃん!私も鑑定って出来るの??」
操っていた魔粒子を放置しルビーに詰め寄る。
「まぁレアではありますけど、取れなくわないと思いますわ。鑑定はありませんが私も分析のスキルもありますし。」
「分析?」
「えぇ、魂を分析できるスキルです。例えば魔粒子を使って変装していても妨害さえなければ誰の魂かがわかるのでとても便利。
ただスキルの質は魂からの派生のため魂の力や質にもよるのですけど。白夜なんかは真面目なので熟練度もあげてかなり細かく分析出来るみたいですわ。」
「白夜も分析を持ってるんだ。いいなぁー。」
ルビーランスは目を細め、微笑みながら私の頭を撫でる。
本当に私を魔王と思っているのか、いないのか。ルビーの私に対する扱いに悩む。
まっ、今の私は特に気にしないし、むしろ敬語とかいらないんだけどね。
「ただ、レアなスキルだけにどうやったら獲得出来るかはちょっとわからないの。少なくとも相手を分析しようとしていくうちに分析のスキルは獲得したのですけどね。」
正直、鑑定と分析の違いはあまりわかってないから分析でも良いんだけどね。
「そっか。でも今までもやりながら獲得したからやってみるしかないか。」
「まぁ本日は魔法を使ったりスキル獲得が続いたので体は疲れているわよ。そのくらいにしてもうお休みになって」
妖しい微笑みを浮かべルビーを私に背を向けベッドを整える。
そんなルビーを見つめながら分析を試みる。
とりあえず魂なんてものは見えないからルビーの魔粒子を眺め、色や量をつぶさに観察している、一応私の出来る範囲で。
分析…
分析…
スキル獲得…
鑑定…
分析…
まぁ何も変わらない。当たり前だ。一朝一夕で出来たら苦労しない。
今日は運良く色々できただけだ、多分。
でも波に乗ってるなら調子に乗って獲得出来ちゃうかも。
どうせ後は寝るだけなんだからルビーが去るまで分析を続けてみよう。
分析…
分析…
と意識しながら続けていると、ルビーにかぶるようにナニかが見えてきた。
目を凝らすがボヤけてよく分からない。
でも文字っぽいような。
さらに集中する。
んー、なんかゲームの画面みたいだな。
いっそゲームみたいにステータスみたいな機能あれば楽だなぁ…
こう視界の端にパラメータとか、自分の使える魔法が見えたりとか。
うん、非現実的だが有りだな。
と思った瞬間にブラックアウトした。
その瞬間体から魔力が消えていくよう感覚が襲う。
「ルイ?!」
遠くにルビーランスの声が聞こえる。
「何こ、れ?」
「使い過ぎたわね。魔粒子をとどめて。魔力が枯渇…
「こかつ…」
ヤバイんじゃない、それ?
死ぬかも、と思った瞬間にさらに血の気が引く。
私の意識は闇に落ちた。
………
-------
----
--
そこから記憶はなく、先程目覚めたところである、と今に至る。
確かに意識がなくなる前にこんな画面で見れたらなぁとは思ったけど、なんでいきなりこんなことに??
と、いうか、この画面?はスキル?魔法?よくわからなんが、これを作るために一気に魔力使ってぶっ倒れたのかしら。
久々です。のんびりで、さらに色んなことに手を出すためなかなか進みません。