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第三十話 夏だ、海だ、お休みだ 後編

海に到着して、三人で楽しく過ごす。


アルフォンスは二人の水着姿にまだ少し照れているけど、二人とも楽しそう。


2人は注目されていることに、

気がついているのかいないのか

目が合うと僕の顔を見てニコニコと笑顔を浮かべるばかり


「すげえ美人がきているらしい」


「そんな2人に挟まれてるの羨ましい」


「あの3人どんな関係かなあ?」


「ねぇあの男の子も可愛くない?

レベル高すぎなんですけど」


周囲の声も聞こえて来るが気にしない。



波打ち際で戯れる2人を眺める。


波の飛沫が太陽の光がを反射して2人をさらにキラキラと輝かせる。


「海、冷たくて気持ちいいですね。」


「それっ、ヘカテーちゃんにかけちゃいます」


「きゃっ、リリエルちゃんったら…」


「ほんとに気持ちいいね…アルちゃんもこっち…」


「今行くよー」


3人の時間を過ごしていると

しばらくして――


「……あれ?」


アルフォンスが砂浜の端を見る。


一人の小さな子供が、泣きながら辺りを見回している。


「どうしたの?」


しゃがんで目線を合わせる。


「……お母さん、いない……」


アルフォンスの表情が変わる。


「そっか」


「大丈夫だよ」


「一緒にお母さんを探そう」


「……うんっ」


その瞬間、リリエルとヘカテーが顔を見合わせる。


「アルちゃん……」


「また始まりましたね」


「うん……」


アルフォンスは子供を肩車しながら

もう走り出している。


「お母さんを探してくるから!」


「二人はパラソルで休んで待ってて!」


「アルちゃん!」


返事をする暇もない。


リリエルは苦笑しながら、


「……本当に、いつも通りですねえ」


ヘカテーも笑う。


「うん」


「海に来ても変わらないね」


⸻


そしてアルフォンスは、

子供を担ぎ上げたまま、親を探して走り回る。


海の監視員や店員にも声をかける。


「この子のお母さんを見ませんでしたか?」


「赤い帽子を被っているそうです」


「分かりました、探してみます!」


最終的に無事に親を見つける。


「お母さん!」


「よかった……!」


親がアルフォンスに何度も頭を下げる。


「ありがとうございます!」


「いえいえ」


アルフォンスは笑う。


「見つかってよかったです」


「よろしければお礼に飲み物をご馳走させてください」


「いいんですか?ありがとうございます」


飲み物を持って、2人の元へ戻っていく


⸻


その頃。


パラソルの下では、リリエルとヘカテーが二人でのんびり。


「……アルちゃん、楽しそうですね」


「うん」


「せっかくの海なのに、結局誰かを助けてます」


「アルちゃんらしいね」


二人とも微笑ましく見ている。


そこへ――


「お姉さんたち」


「……?」


二人の男が声をかけてくる。


「おい、この2人ってさっき噂になってたとびきりの美女じゃね」


「せっかく海に来てるのに、二人で座ってるだけなんてもったいないよ」


「俺たちと一緒に遊ばない?」


「海って楽しいよ?」


リリエルは穏やかな笑顔。


「ありがとうございます。でも――」


ヘカテーも困ったように、


「私たち、人を待ってるので……」


「こんな美人ほっといてどっか行くとか

ろくでもないよ」


「いいじゃん、そんなの」


「二人だけじゃ暇でしょ?」


「一緒に泳ごうよ」


そう言って近づいて手を引こうとする


ヘカテーは怖くなり縮こまる。


リリエルもヘカテーを庇うように前に出る

笑顔のままだが、ほんの少し目が細くなる。


そこへ――


「ただいまー!」


遠くからアルフォンスの声。


二人が振り向く。


「アルちゃん!」


「おかえり!」


アルフォンスは嬉しそうに走ってくる。


「見つかったよ!」


「よかったですね」


「うん!」


その姿を見たナンパ男たちは、


「……あれ?」


「彼氏?」


と顔を見合わせる。


アルフォンスは首を傾げる。


「どうしたの?」


そして何も知らずに、


「二人とも、待たせちゃってごめんね!」


「なんだ? 弟かな?」


男はアルフォンスを見て、鼻で笑った。


「今、大人の時間なんだよ。悪いけど、引っ込んでな」


と2人の手を強引に掴もうとする


「…………」


アルフォンスの表情が変わる。

もっていた飲み物を落として2人を庇うように前に躍り出る。


「……二人に触るな」


「……あ?」


アルフォンスは、二人の前に立つ。


「二人とも、僕の大事な人だから」


「はっ」


男が笑う。


「二人とも?」


「お前、二股かよ?」


「正義感ぶってんじゃねえよ」


「……二股?」


アルフォンスは眉を寄せる。


「違うよ」


「じゃあ、証拠を見せてみな」


男がニヤニヤしながら腕を組む。


「本当にその二人がお前のこと――」


その瞬間。


アルフォンスの背後で、

リリエルとヘカテーが顔を見合わせた。


一瞬だけ。


そして――


二人とも、小さく頷く。


「……え?」


アルフォンスが振り返るより早く。


リリエルが一歩近づく。


「アルちゃん」


「え?」


ちゅっ。


頬に柔らかな感触。


「――っ!?」


アルフォンスが硬直する。


「り、リリエル姉さん!?」


続いて反対側から。


「……じゃあ、私も」


ちゅっ。


「――――!?」


ヘカテーがアルフォンスの反対の頬にキスをする。


アルフォンス、完全停止。


そして――。


「おぉぉぁ!?」


男が絶叫した。


「本当に付き合ってんのかよ!?」


「いや、ちょっと待て!」


「何だこの状況!?」


けれど――。


二人はそこで終わらなかった。


リリエルがアルフォンスの右腕を取る。


「アルちゃん」


「……え?」


ヘカテーも反対側から、そっと腕を取る。


「私も……」


二人の指が、それぞれアルフォンスの腕に絡む。


アルフォンスはますます顔を赤くする。


「ちょ、二人とも……!」


けれど、二人の表情はどこか嬉しそうだった。


リリエルは穏やかに微笑み。


ヘカテーも恥ずかしそうにしながら、アルフォンスの隣に並ぶ。


まるで――


両腕に大切な花を抱えたような姿。


「…………」


ナンパ男たちは、目の前の光景を見て固まった。


アルフォンス自身も恥ずかしそうにしている。


けれど、その顔には――


隠しきれないほどの、幸せそうな笑顔が浮かんでいた。


「……二人とも」


「ん?」


「はい?」


アルフォンスは少し照れながら笑う。


「今日は、一緒に来てくれてありがとう」


「ふふ」


「うん」


二人も嬉しそうに笑った。


驚愕する三人の姿を見て――


リリエルは優雅に微笑む。


「証明になりましたか?」


ヘカテーも真っ赤になりながら、こくこく頷く。


「……うん」


「いやいやいや!」


「分かった! 分かったから!」


「完全に俺たちの入る隙間ねえわ」


そして、両手を上げる。


「失礼しましたー!」


逃げていく男を見送りながら、

アルフォンスは首を傾げる。


「……なんだったんだろう?」


「さあ?」


リリエルが微笑む。


「なんでしょうね」


ヘカテーも笑う。



残された三人。


アルフォンスは、両頬を押さえて真っ赤になっている。


「…………」


「…………」


リリエルとヘカテーも、ようやく自分たちが何をしたのか実感する。


「……あら」


「……えっと」


三人とも沈黙。


そして――


「……二人とも」


アルフォンスが震える声で言う。


「今の……何?」


リリエルとヘカテーは顔を見合わせる。


「……証明、ですわ」


「……うん。証明」


「何の?」


「「…………」」


二人とも答えられない。


アルフォンスの顔がさらに赤くなる。


その様子を見て、リリエルが小さく笑った。


「ふふ……」


ヘカテーも恥ずかしそうに笑う。


「……でも」


「アルちゃんが、ちゃんと私たちの前に立ってくれたから」


リリエルが優しく微笑む。


「嬉しかったですよ」


「……うん」


ヘカテーも頷く。


「すごく、嬉しかった」


アルフォンスは二人を見て――


照れながら笑った。


「……そっか」


それでも3人は手を離さなかった


ただし――


アルフォンスの両頬は、しばらく真っ赤なままだった。



アルフォンスは、両側の二人を見る。


リリエルも、ヘカテーも、まだアルフォンスの腕を取ったまま。


「……さて」


リリエルが、楽しそうに微笑む。


「まだまだ、これからですよ?」


「え?」


アルフォンスが首を傾げる。


「だって、まだお昼ですもの」


「そうだけど……」


ヘカテーが楽しそうに口を挟む。


「それに…夜も…あるよ?」


「夜?」


アルフォンスが目を瞬かせる。


「何かあるの?」


「ふふ」


ヘカテーが得意げに笑う。


「花火」


「花火?」


アルフォンスは首を傾げる。


「ヘカテーちゃんが用意してくれたって聞いたけど……」


「僕、詳しいことは知らないんだよね」


「うん!」


ヘカテーは嬉しそうに頷く。


「夜のお楽しみ!」


「そっか」


アルフォンスも笑う。


「じゃあ、それまでいっぱい遊ばないとね」


「そういうことです♪」


リリエルが微笑む。


三人は並んで砂浜へ戻っていく。


腕を組んで仲睦まじく

イチャイチャしている3人組がいると

周りの注目を浴びながら、


ご飯の食べさせ合いっこをしたり、


「カップル限定チャレンジですって、3人でも行けるかしら?」


「カップルの証明は…いいや、あんた達、もう十分イチャイチャしてるよ」



3人で同じジュースを飲んだり

「カップル限定ジュース二種類あるから気になってたの」


「アルちゃん、お腹大丈夫?」


「なんのこれしき」


そして涼むために、交代でパラソルの下で膝枕。


「今度は僕がリリエル姉さんに膝枕するね

硬くないかな?」


「ううん、安心します。私がする時もこんな気持ちだと嬉しいです。


「アルちゃん…次は私」


「それじゃ片膝ずつどうぞ」


「えへへ、アルちゃんのお膝…」


そうして時間が経っていくが


昼の海も。


夕暮れも。


そして――夜の花火も。


今日の夏は、まだまだこれからだった。




海に来ても、結局いつものアルフォンスでした。


困っている人を見つければ助けに行く。


そんなアルフォンスを、リリエルとヘカテーもいつものように見守っています。


そして三人の夏は、まだ終わりません。


続きます。

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