たとえ君が死人だとしても
「私の眼を見て」
彼女は俺をじっと見つめる。
「私を見て、神父様、いや、空さん?」
彼女が俺の顔に手を触れ正面に強制してくる。
それでも俺は彼女を直視出来なかった。
「......ねぇ、お願いだよ、返事して」
彼女の手が声が、震えている。
「ごめん、やっぱり俺」
俺は神父服のままその場から逃げ出す。
「え?」
「でゅふふ、腰抜けでふね」
後方からアリシアの失望の声とジュリアスの声が聞こえる。
「【メリーちゃん】」
ジュリアスは俺の後方に移動し、俺を捕縛する。
「やめてください、お願いします!!」
アリシアは純白のドレスが汚くなるほど動き、必死に懇願する。
「もう反抗しないでふか?」
「はい」
(あぁ、やっぱり駄目なんだ、助ける、理由が分からない)
黒装束の長髪の女性に言われたことを思い出す。
『それでも彼女を助けるのですか?』
アリシアを見る
彼女の目元は腫れていた。
泣いていたのだ
生きてる? 死んでる? どうでもいいじゃないか、そんなこと。
死んでいようが生きてようが、アリシアは目の前にいる。
さっきだって、今だって、彼女は泣いていた。
(だったら、俺は)
「それにしても、この男も馬鹿でふよね、アリシアはもう死んでいるのに」
「え?」
アリシアの声が静かな教会に響く。
「嘘だよね、空さん」
「本当でふよね、救世主様」
「黙れ」
俺はジュリアスの答えを否定する。
「嘘だよね、私が死んでるって」
「本当だ」
「そんな......あぁ。うわぁあああああ、頭が痛い」
彼女は頭を抱え、蹲る。
「思い出した、私、あの時、貴族のおじさんに遊ばれて、うっ」
彼女の目の焦点は合わない。
俺は蹲る彼女に手を差し伸べる。
「アリシア、君は一人の女の子だ、生きていないとか、関係ない」
「本当に? どうしてそんな事言えるの?」
「そんなの決まってるだろ、俺がお前の事が好きだからだよ」
「本当に?」
「あぁ。本当だ」
「嬉しい」
彼女は満面の笑みで俺の手を取った。




