牢屋の中
【電子牢屋の中】
俺は地面に座り込み、寝ていた。
地面はひどく冷たかったが、それを取り巻く空気は生暖かかった。
すやすやと
(あー、焼き肉食べたい)
この前食べた、トロールの肉の焼き肉、あれはおいしかった。
もちろん、王国で食べたのだが。
そんなことを考えられるのは一概に俺の目の前に先程の女性が片足を上下に動かしながら俺を熱視線で見つめてくるのが原因だろう。
(いや、むしろアプローチだろ、これ)
俺は問いかける。
「お嬢さん、お嬢さん、あぁ貴方はなんて美しいのだろう」
「ちっ」
あぁ。俺を蔑む視線、尚いいな。
「ここから出してくれないかい?」
俺は彼女に問いかける。
「駄目です、その前にここから抜け出すこと自体無理です。
電子牢屋はカエサル様の発案した牢屋であり、鉄格子に精霊スキルの干渉を阻害する効果がある科学牢屋。唯一、開けれるのは私の名前で開けられます」
「じゃあさ、自己紹介しよう? 俺の名前は「知ってます、救世主様ですよね」」
いや、いや、俺にも立派な名前があるのだが。
「いや、違う、俺の名前は「貴方は救世主様です」......もういいや」
彼女は俺の名前を聞きたくないのだろう。
「ねぇ、俺の名前だけでも」
「だって、名前を知った所でいつかは死んじゃうじゃないですか。いつも皆、死んじゃうんです。なのにどうやって覚えろと?」
なるほどな、彼女の手が震えている。
彼女は知りたくないわけではないのだ、只、恐れているのだろう。
失うことを。
「ねぇ、そこの彼女!! 俺とさカフェ行かない」
「!! 貴方って人は、どこまでクズなんですか」
もういいよ、君の名前は分かった。
「ロック解除、アリシア」
ガチャン。
俺がそう呟くと、俺が捕らえられていた電子牢屋が開錠された。
「なんで!! どうして!!」
彼女は驚きを隠せないようだ。
「ねぇ、俺とさ、逃げない? どこまでも遠くに」
「貴方、何を言って」
「だってさ、もう失う物もないでしょ、辛いよね、こっちにおいで」
俺は彼女に抱き着く。
ジワリ。
俺が抱き着くと同時に彼女は取り出したナイフで俺を刺す。
「いい覚悟だ、その覚悟忘れるなよ」
彼女はハッと俺を見て呟く。
「まさか、今までの行為はこれを気づかせようと」
「お、いいね、その通りだよ」
俺は新しく仲間になったアリシアと一緒に電子牢屋を抜け出し、妹を救出に向かう。
(手駒ゲット~、うひゃひゃ)
「......ゲスイ表情、やっぱり組む相手間違えたんじゃ」




