国宝の剣
俺の紅蓮の剣の精霊により模倣した「我流切り」と騎士団長の「重撃」。
互いに今の最大限を放つ。
しかし、その攻撃は白色の長髪の彼女によって止められた。
素手で。
団長は、ちっと舌打ちをしている。
「おいっ、ネロ、邪魔だぜ」
「ひどいなぁ、僕は君たちを助けただけなのに」
ネロといわれた彼女は両手でやれやれと首を振りながら俺に目線を合わせジェスチャーしている。
「君、名前は?」
「黒乃 空です」
彼女は「うんうん、やはりだね」と呟き、
「何がうんうん何ですか?」
俺は疑問に思ったことを聞く。
「ダーリン、いや、薄影 暗......知ってるよね?」
「!?」
ダーリンってなんだ、それに何故、暗の事を知っている。
俺は記憶でしか会ってないのに。
この彼女の事は会ったことがあるのか?
「僕はね、ダーリンに会ったことがあってね、事情も聴いてる、君の事を任せられたんだ」
何だって、アイツから何を聞いたのだろう?
彼女は「お? なるほど、なるほど」と俺の使っている剣を指さした。
「良かった、無事、国宝を持っているみたいだね」
「これがどうかしたんですか?」
ネロは俺の灰色の剣を指差し。
「その剣の名はね【原典:名を二ヒレ、全ての可能性を虚無へと葬る】【すべての幻影を本物にする虚飾の剣】と対を成す存在」
「どうして、俺なんですか」
「ダーリンがね、彼には必要だからって」
「あいつが」
俺の剣をネロがじろじろと見つめる。
「でも、まだ覚醒してないね」
「あの、お名前を聞かせていただいても宜しいでしょうか?」
「え? ネロだけど、この国のお姫様だよ」
「ネロさん、これからよろしくお願いします」
「お、礼儀正しい、いい子だね」
俺は腰に刺している剣を手に取り見る。
(それにしても、虚無の剣だって?)
確かに形はあの剣に似ているが、
ネロの言う通り、覚醒してないのなら
今はその能力が全然使えないと云う事なのだろう。
「あのね、さっき、騎士団長にパキッと錬成した剣が折れていたでしょう?
あれはね、本来のヴァニタスの精霊武装じゃないからなの、ダーリンから聞いた話だと」
「え? それはどう云う......【やはり、それは!!】」
ヴァニタスが横から割り込んで来る。
俺の剣を手に取り、まじまじと見つめる。
【これは、本物だ!!】
「え?、何が?」
俺はこんな興奮しているヴァニタスを未だかつてない。
【ふむ、皆、驚いて声も出ないようだね、いいよ、説明してあげる】
いやいや、俺が、俺たちが驚いているのはもっと別の事だぞ。
普通に怖い
そして、どこから出したか分からない眼鏡とホワイトボードを出してくる。
パンパン、ペンでホワイトボードを叩くヴァニタス。
【本来、精霊は使用者に試練を与え、それを乗り越えたら、精霊武装を使える】
「あれ、だけど、俺」
【そう!!、普通ならだ、だが、あの時とさっきは例外だ。イレギュラーとして私の記憶から精霊武器を展開したが、あれは私の本来の姿じゃない】
「となると」
【そうだ】
ダァァアンとホワイトボードを叩く。
【いまから空に精霊武器を使えるように試練を与えるね】
キリッと眼鏡を上げて、私出来る風を醸し出すヴァニタス。
いやいや
「ヴァニタス、もう調子乗りすぎだよ?」
【ごめん少し、思ってた、ごめんね】
てへぺろと舌を出し、両手を合わせて謝ってくる。
そして、ヴァニタスが頭を俺に擦り付けてくる。
俺は頭をなでなでしながら。
「試練の内容を聞かせてくれ」
呟く。
【本当にごめんね、色々ありすぎてさ、最近、でも、今からいうね、試練の内容は(己が何者かを知れ)だ】
己が何者かを知れか......全然分からん。




