表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
382/384

あー確かに、あれはクラウの胸では似合わないでしょうね

――現在ーー


「うわぁぁぁぁ!でっけえええええええ!」


 広々とした空間に、あまりにも多くの種類が並べられている店の数々。とても一つの建物の中であるとは思えない。サンは、興奮した様子で、隣にいたシェドに言った。


「すごい!すごいね!シェド。あそこに武器屋や本屋、魔法道具ショップに雑貨屋まである!こんなところ獣界じゃあ絶対に見られないよ!!」

「本当だな。流石に驚いたぜ。こんなところあんな過疎地に作れやしないだろうな、流石の国の魔法界一の商業施設『ギガンタ』だ」


 シェドの言葉の通り、サンたち真焔旅団は、一味全員で風の国の商業施設『ギガンタ』に来ていた。氷の国の 1 件から1ヶ月、タトリアの元で十分な修行をつけた彼らは、彼女の元を離れ、より魔法界の文化を知るために、このような場所に来ていたのだ。


「すごーい本当に、色々あるね!あ、見て、クラウ! あそこに服もある! 後で寄ろうね」

「……そうだね、色々だ。……でも私、多分クラウみたいに全部の洋服似合うわけじゃないと思う」

「いや!そんなことないって!ネク、本当に可愛いんだから! ほらあそこの服とか絶対似合う」

「あー確かに、あれはクラウの胸では似合わないでしょうね」


 ――ピタ。


 ユニのそんな一声に、クラウの動きがピタリと止まる。ネクはそんな彼女から凄まじい怒りのオーラを感じ取るが、それに気づきもしないユニは、そのまま続けた。


「だってあれ、ある程度胸ないとバランス悪くなっちゃう系の服ですもんね! ネクには似合いますけど、絶対クラウには似合わないですね。まあでもクラウは他に素敵な服が」

「ねえ、ユニ」

「はい! なんですか? クラウ?」

「○すよ?」

「え?」


 背後で、クラウにボコボコにされるユニ。そんな彼らを気にかけつつも前に進みながら、リューヤもまた、キョロキョロとあたりを見渡して、言葉を紡ぐ。


「………でも、本当にすごいね。初めて見るものがいっぱいだ。……ほんとに、ほんとに、知らないものばかり」

「……そっか、リューヤは生まれてからずっと同じところにいたから、私たちよりずっと新鮮なのか。……この一ヶ月間だって、ずっとタトリアさんとこで修行してたし」

「……そうだね。本当に外は、僕の知らないものに溢れてる。……まあ修行では、結局、僕は、固有魔法も要素の基礎魔法も使えなかったけど」


 リューヤはネクの言葉に対し、どこか苦々しい表情を浮かべてそう返す。タトリアの一ヶ月の修行、それでサンやネクはたくさんの要素の性質の基礎魔法を習得した。しかし、リューヤは要素に関しては結局習得することはできず、ユニもまた、なんらかの基礎魔法をしっかりと使いこなせるようになったわけではなかった。


 タトリアとの一ヶ月の修行期間、それまでに学ぶべきことを学びきれなかったことから、リューヤの心持ちは少しだけ暗い。ネクは、そんな彼の心情を慮りながらも、言葉を紡いだ。


「……別に大丈夫だよ、リューヤは」

「え?」

「……リューヤは、きっと私たちの誰よりも、この魔法ってものを使いこなす。……なんだか私、そんな気がする」

「………そっか、ありがと」

「わぁぁぁぁぁ!!!」


 そこで不意に大声を上げたのはユニだった。何事かと全員がユニの方を見ると、先程クラウにやられたのか、車にでも轢かれたとでも思うほどに、体がボロボロになっている。しかし、そんな自身の状態などさしてユニは気にすることもなく、そのまま言葉を続けた。


「ねえねえ、見てくださいよ! あそこの鎧『世界最強の強度』って書いてありますよ!鎧なんてつけないですけど言葉が言葉なだけに気になりますね! 見に行ってきていいですか?」


 単純な言葉に踊らされ、目を爛々と輝かせるユニ。そんな彼に対し、シェドは呆れたようにため息をつきながら、言葉を紡いだ。


「まあそうだな。全員一緒に回るのも変な話だし、そろそろ分かれるか。……でもお前一人だとなぁ」

「大丈夫、俺がついていくよ、シェド」


 もちろん、そんな時に声を即座に上げるのはサンである。人の役に立ちたい気持ちが強いのは、結構なことだが、サンかぁ。シェドはチラリとサンを一瞥してそう呟いた。正直この二人を一緒にさせると、何をしでかすかわからないが、まあでも、こんな商業施設に、助けを求める奴や、凄まじい強さを放つ強者などいやしないだろう。そんなことを内心で考えながら、シェドはサンへと言葉を返す。


「………ん、まあ、わかったよ。ちゃんとあいつのこと見とけよ。本当に何するかわからんしな」

「うん。大丈夫!ちゃんと二人揃って帰ってくるよ!じゃあ行ってきます!」


 そうしてサンとユニは二人でその最強鎧とやらの方へと歩いて行った。本当に大丈夫か。そんなことを思いながらも、シェドは残り 3 人の方へと、視線を向ける。


「………で、他はどうする?」

「私はネクと一緒に回るよ!一緒に服見るんだ! いいでしょ、ネク!」

「………うん。いいよ、ありがと。じゃあシェド。……私はクラウといくね」

「ああ、じゃあ俺はリューヤとだな。ちなみに、リューヤは何か見たいのあるか?」

「………あ、えと、じゃあ、魔法道具が見たい。ああいうのがどうなってるか、知りたかったんだ」

「いいな。俺もそれは見たかった。じゃああとは二手に別れようぜ。前に言ってたように、昼頃になったら帰るからそれまでに集合な。迷子になんなよ、二人とも」


「………ユニじゃないから大丈夫だよ」

「おっけ!じゃあとびきりに幼馴染可愛くしてくるから!楽しみにしといてね!じゃあまってて!」


そう言ってこちらに手を振り、去っていくクラウとネク。あいつ、からかいやがって、シェドが少し顔を顰めさせながら二人を見送ってると、リューヤがチラリとシェドの方を向いた。


「だってさ、シェド。………よかったね」

「………お前、意外と色々勘づいてるよな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ