表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RPGの世界で生き残れ! 恋愛下手のバトルフィールド  作者: 甘人カナメ
第五章 見たことのない明日へ、いってきます
108/132

108.技の習得



 確かに、レベルアップしたら使える技や魔術が増える。

 これはエマちゃんに最初に会った時に確認済み。魔術が使えるならそれは自然と発現してくる。その後は練習したり実践したりで精度や威力を上げていく。


 多くの人は魔術を使えないし、使える人もそこまで威力が高くないことがほとんど。トニーさんは人並み以上に使えるけれど、それでも仕事が便利になる程度。エルフで魔術に長けたサッシュさんでも野生動物を仕留められる程度。

 たまに火・水・土・雷・風の五種類全部使える人もいるみたいだけれど、日常生活を送る上では少しコントロールする程度でだいぶ便利に暮らせるという話。


 逆に言うと、戦う職業に就いている人は魔術を攻撃に利用することも多い。セリアもそうだし、マリクさんも魔術得意だって言っていた。騎士団や傭兵隊には魔術が使える人が結構な割合でいるらしい。


 その中でも例外がエマちゃんとケイン。二人は規格外。

 エマちゃんは回復魔術専門と言ってもいい。神としてはむしろそうしてほしかったんだよね。で、ティアラを解放することで使える術が増える。

 ケインは全種魔術でガンガン戦える。青い鳥を取り戻す前は種類も少ないしMPも控えめだけど、ブルサン終盤で完全に馴染んだ(つまりレベルキャップが外れた)後はもう凄い。魔術師の面目躍如。ケインは元々宰相令息で魔術師ではないんだけどね。

 ……多分シャイニー様も規格外だけど、プレイアブルではなかったから確信はない。


 とにかく、エマちゃん曰く、レベルアップで使える術は増える。魔術を使って戦う人たちの間では一般的な事象らしい。どこまで才能が伸びるのかは人それぞれだろうけど、ちっちゃい火の玉が握り拳大の火の玉になる、くらいはありそうだよね。




 ただ、技に関してはちょっとよく分からない。


「訓練していたら新しい技を思い付いたり威力が増えたりするの?」


 ロイに直接聞いてみる。既に傭兵として相当強いんだから、そこから更に技が増えるかどうか、微妙な気がする。


「もちろん、訓練で精度が上がったり持久力が上がったりってのはある。ただそれだとステータスアップに近いよな。

 そうじゃなくて、何つーか、ラルドたちと戦うとどうしても違う動き方をする必要があったんだよな。だから色々と工夫して戦うようになった」


 工夫とな。


「具体的には?」

「そうだな。周囲に足場になる壁や木がある状態で、その壁を蹴って飛び上がって、上から剣を叩き込む……とか」


 手を使わず壁を蹴って上っていくスポーツには覚えがある。そんなイメージだろうか。

 いや、問題はそれよりも、上空から剣を叩き込むって動作。


「それ、『上空斬り』って技だ」


 ただ問題は、ゲームでは壁のないところでも繰り出せる技なんだよね。

 ふむ、と、腕を組もうとして私が前にいることに気付いたロイは、そのまま私をぬいぐるみみたいに抱え込むことにしたらしい。


「風魔術で飛ばしてもらうか?」


 ゲーム内の表現を考える。

 ブルフィアシリーズは戦闘がターン制。全員の行動を決めてから実際の戦闘に移る。リアルタイムで進む戦闘ではないから、戦闘行動以外はカットされていると捉えることは可能か。それなら攻撃や回復以外の時間で他の人をサポートすることもできるかも。

 例えば「剣でAの敵を攻撃する」という1ターン目のコマンドと、「剣でBの敵を攻撃する」という2ターン目のコマンドの間に、実際は「AからBへと動く」という動きが挟まるはず。こういうタイミングで「魔術で補佐する」という動きが挟まってもおかしくないよね。

 だからロイが「上空斬り」をコマンド選択して次のターンで大跳躍をするために、次に「隼斬り」を選択しているセリアがロイの足元に上昇気流を生み出すって手はアリか。それならゲームの技が実際にも使える。


「レベルアップというよりもラルドたちとの連携によって新しい攻撃方法が生まれるって感じかな」

「ああ、レベルアップと同じだよな」

「そう?」


 えーと、戦う場数を増やすことで精度が上がったり持久力が上がったり戦闘勘が養われたりするのが、ステータスアップ。

 で、一人で戦う事なんてないんだから、ラルドたちと一緒に戦うことでより動きやすくより効果の高い攻撃ができるようになる。つまり技が増える。


「数値が見えないだけで、やってることは一緒だ。だから、レベルアップして強くなるためには、五人で戦って連携を取っていけばいい」


 ほー。思い付かなかった。

 だけど、……何かが脳裏を過る。ゾクリと震えが走る。

 何だろう。

 何が気になった?


「だから、ミワの知っている技を五人全員が使えるようになったところが、少なくとも終盤の俺たちってことで」


 あ。そうか。そうか! 嫌な予感はこれだ!


「そ、れ、それじゃあ、やっぱり邪神に立ち向かうのは……」


 ゲーム通り、パーティーメンバーの五人ってことになるじゃないか。




 ******




 ぎゅーっとロイに抱え込まれる。珍しく痛みを感じるくらい強い力。


「シオンが聞いてくるまでは分からないだろ。とりあえず落ち着け」


 だってさ。

 生存確率を上げる話をしていたはずなのに、危険な方に話が進んでしまったんだよ。凹むよ。


「何人で戦おうがラルドとエマは戦う場にいる。だったら少なくとも二人は今言ったような技の習得をやっておいた方がいい。なら俺たちもやっとこうぜ、って話だ。

 ただ、例えばマリクが同じように技……っぽいものを使えるようになっても、それはミワの知識にないんだから、どこまでやり続ければいいのか加減が分からない。だが俺たちには指標がある。それだけだ」

「戦う人皆が訓練をする中で、五人は明確に目標を持って鍛える?」

「ま、簡単に言えばそうだな。どういうメンツで邪神と戦うにしろ、それをしとけばレベルの目安になるだろ」


 低レベルの縛りプレイでは、どれくらいのレベルがギリギリだったかを考える。最低限そこはクリアしてから戦いに向かうべき。

 できれば全ての技を使えるようになるくらいのレベルが欲しい。

 更にできれば、技が使えるようになっても更に鍛錬を重ねて、できる限りのステータスアップを計る。レベルカンストは分からなくても、少なくとも技コンプリート時以上のレベルにはなるから。


「それからな」


 腕の力が少し弱まる。


「お前が俺を守ってくれる案、これ一つじゃないだろ?」


 ゆーらゆーらとロイの身体ごと軽く揺すぶられて、少しだけ気分が落ち着く。

 揺りかごかな。あー、うん、似たようなものか。

 変なところに考えが飛んだから、ちょっと笑って頭を切り替えた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ