↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で100万人都市を作って、生乾き臭い女神様を元気にします!  作者: んひー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/35

第三十四話:演説、そして新たな仲間

観客の冒険者たちから、盛大な歓声が沸き起こる中——

「静粛に!」

ゴードンの野太い声が、闘技場全体に響き渡った。歓声が徐々に静まっていく。

「コウジロウ、せっかくだ。ここにいる連中に、一言挨拶しておけ」

「え……俺がですか?」

「当然だろう」


ゴードンに促され、俺はやや緊張しながら、闘技場の中央で観客席を見渡した。

「……えっと、コウジロウと言います」

そう切り出すと、一瞬にして周囲が静かになった。

「今、俺は人間と魔族が一緒に暮らす村を作って、そこに住んでいます」

その一言に、いくつかの驚いたような声が上がる。

「魔族も、人間も……種族に関係なく、誰もが幸せに暮らせる場所を作りたい。……それが、俺の目指してるものです」

言葉を紡ぐうちに、次第に自分の中の想いが熱を帯びていくのが分かった。

「もし……もし、うちの村に来てみたいって人がいたら、遠慮なく声をかけてください!」

——言った瞬間、しまった、と思った。

すっかり勢いに任せて、余計な一言まで口にしてしまっていた。


だが、それを慌てて撤回する間もなく——

「うおおおおっ! 魔族と暮らすなんて、楽しそうだな!」

「こんな強い奴が村長やってる村、行ってみたいなぁ……!」

歓声とともに、あちこちからそんな声が飛んできた。

「……おいおい」

ゴードンが、呆れたような、それでいてどこか面白そうな顔で俺を見た。

「俺の目の前で、こんなに堂々と勧誘するとはな」

「す、すみません……! 勢いで言ってしまいました……!」

俺は慌てて頭を下げた。

だが、ゴードンはふっと小さく笑うと、軽く手を振った。

「……まあ、いい」


「以上、この余興は終わりだ」

ゴードンが闘技場に響く声でそう告げた。

「それじゃあ今日もみんな、働けー」

その一声で、あれほど盛り上がっていた冒険者たちが、蜘蛛の子を散らすように一斉に走り去っていった。

「……現金なもんだな」

俺が苦笑いしていると、そうこうしているうちに、壁際に倒れていたライケンが、うっすらと目を開けた。


「……あれ」

ライケンはしばらくぼんやりとした様子で天井を見上げていたが、やがて状況を思い出したのか、ゆっくりと体を起こした。

「……最後、何が起きたのか、よく分からなかったな」

彼は自分の腹をさすりながら、静かに呟いた。

「……ああ、そうか。負けたんだな、俺」

その言葉には、悔しさよりも、どこか不思議そうな響きがあった。

「生まれて初めてだ……負けたの」

ライケンはぽつりと呟いた後、ふっと小さく笑った。

「敗北って……こんな気持ちなんだな」

そして、彼は立ち上がると、まっすぐに俺を見つめた。


「なあ……もしよければ、僕を君の村に連れて行ってもらえないか?」

「……は?」

思わぬ申し出に、俺は目を丸くした。

「お、おい、ライケン!」

ゴードンが慌てたように口を挟んだ。

「それはさすがに……!」

「どうせ、これから和平が結ばれるんだろう?」

ライケンは飄々とした様子で肩をすくめた。

「それなら、交換留学生ってことでいかせてくれよ」

「……お前な」

ゴードンは呆れたようにこめかみを押さえた。

「何を言っても、無駄そうだな」

「そういうこと」

ライケンはにっこりと笑った。

「……よかろう」

ゴードンは大きくため息をつきながら、渋々といった様子で頷いた。

もしよろしければ、★評価やブックマークをお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。