世界観
1.舞台――帝都神律大学
異能研究の最高機関であり、数十万人が暮らす巨大な大学都市。
一般的な大学と同じように講義、単位、研究室、学会、論文、卒業研究が存在するが、研究対象は物理学や生命科学だけではない。
* 因果関係を操作する「因果論学」
* 魂と人格を研究する「精神存在学」
* 異能を兵器や医療へ応用する「命題工学」
* 世界の成立条件を探る「宇宙原理学」
* 異常現象を調査する「法則災害学」
学生たちは研究室に所属し、自らの異能を解析・発展させる。
大学内では研究費、観測施設、希少資料、発掘された遺物などを巡り、学生同士の正式な異能戦――《公開査問》が行われる。
戦いに勝つだけでは評価されない。
自分の能力を理論として説明し、実験や戦闘によって証明して初めて、研究成果として認められる。
教授、大学院生、博士研究員も現役の異能者であり、年齢が上であるほど経験と研究成果によって能力が完成されている。そのため、大学四年生や大学院生は一年生にとって文字どおり別次元の存在となる。
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2.異能力――《命題》
人間が持つ思想、執念、願望、恐怖などが世界法則として発現したもの。
単純な炎や氷ではなく、本人の生き方を反映した法則として表現される。
例としては、
* 「俺が立つ限り、敗北は成立しない」
* 「触れたものは、最も美しい瞬間で停止する」
* 「私が忘れたものは、世界からも失われる」
* 「苦痛を受けた者ほど、未来へ近づく」
などがある。
同じ炎を操る能力でも、
「炎を生み出す者」と
「燃焼したものを過去へ変える者」では、原理も規模もまったく異なる。
《命題》の強さは火力だけでは決まらない。
本人がその思想をどれほど信じているか、矛盾なく説明できるか、どれほど広い対象へ適用できるかによって変化する。
そのため戦闘は、単なる能力の撃ち合いではなく、互いの思想と人生をぶつけ合う世界観同士の衝突となる。
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3.命題の発動構造
《命題》には三つの要素が存在する。
前提
能力を成立させるための条件。
相手に触れる、名前を知る、傷を負う、約束を交わすなど、能力ごとに異なる。
論証
自分の命題を現実へ浸透させる過程。
詠唱、演算、武器、儀式、感情の高まりなどによって行われる。
結論
実際に発生する現象。
より根深く、矛盾の少ない命題ほど、相手の命題を押し退けて現実となる。
したがって格上を倒すには、出力で上回るだけでなく、相手の能力に隠された矛盾や前提条件を見破る必要がある。
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4.主人公の異能――《未証明》
黒瀬零の《命題》。
発動した瞬間、零に対して確定するはずだった現象を、わずかな時間だけ「まだ証明されていない状態」へ戻す。
攻撃を受けても、その攻撃が命中したという結果を一瞬だけ保留できる。
しかし保留した結果は消滅するわけではなく、時間が経てば再び確定する。そのため入学時点では、致命傷を数秒遅らせる程度の欠陥能力と評価されている。
零自身も、これを極めて弱い能力だと思っている。
だが《未証明》の本質は、結果を遅らせることではない。
誰が、何を根拠に、現実を事実と定めているのか。
物語が進むにつれて、零はその問いへ踏み込んでいく。




