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17.ひとりの夜

夜。

風呂から上がった俺は自分の部屋に戻ると、リアンが当然のようにベッドで待機している。


「どうせ脱ぐのにわざわざ着てこなくてもいいだろう。」


「俺は裸族じゃないんでな。…今日は少しじっとしててくれるか?」


「…ああ、わかった。」


俺はベッドに潜り込むとリアンの足の間に入り込んだ。

まだダランと垂れているソレは今なら口に入りそうだ。

巨大化して向かってくるから怖いのであって、萎んだ状態でましてやこちらから向かうのであれば怖くはない…はずだ。

俺は先端にキスするとそのまま吸い付き一気に口に頬張った。


「うぉあっ。すごく温かくて…気持ちいいぞ。」


ドクドクと脈を打つたびに風船のように膨らんでくる。

俺は歯を当てないように気をつけていたが…最大に近づくにつれだんだん厳しくなっていった。

このままでは顎が外れそうだが、一度口から外すともう入らない気がする…。

息を止めないと根元まで咥えることすら難しい。


「これがセージの体温か…。俺のは美味しいか?」


ほんのりと塩味は感じるが…。

きっとそういう意味ではないんだろう。


「んんふん。」


咥えたまま美味しいと返事をした。

するとリアンに頭を掴まれた。


「すまん、少しだけ我慢してくれっ!」


リアンが何度も俺の喉奥に突き立てる。

俺は合間で呼吸するのがやっとで、ますます膨らんだソレに顎も喉も壊されそうだ。

少しでも早く解放されたかった俺は両手を駆使し付け根や袋、後も刺激した。


「はぁっ…はっ、あぁセージっ!」


予兆を感じた俺は息を止め備えた。

すると俺の喉に深く突き立てたままリアンは噴出させた。

…俺は噴き出すたびにそれを飲み込んだ。

そうでもしないと…出口を塞がれている俺は、とめどなく溢れ続けるそれに気管を塞がれ窒息してしまうところだ。


「はぁ、はぁ…セージ、すまない…気持ちよさと嬉しさのあまり我を失ってしまった。」


「し…死ぬかと思った…。」


「全部飲んだのか…そんなに美味しかったのか?欲しいならまだまだ…。」


「今日はもう無理だよ…。」


心身の負担が大きすぎる。

それにもうお腹一杯だ…。


「そうか、残念…。それならいつものはどうだ。」


リアンはそう言うと俺を仰向けにして足の間に香油を塗り出した。


「口も良かったけど…やっぱりセージの顔が見える方がいいな。」


セージの大きさだと、挿れるより擦り付ける方が苦しくなく俺も気持ちがいい。

以前1度で収まると言っていたのはなんだったのか…リアンの2、3回目の後に俺も果てた。

俺はリアン尽くしというよりは…リアンまみれにされてしまったのだった。




翌朝、俺はリアンの拘束をなんとか掻い潜り俺達とルダンの朝食の準備をしていた。


「ルダンのご飯俺もやってみていいか?」


「いいけど…前にオルスが手伝ってくれようとした時、嫌がって食べようとしなかったんだ。」


「そうか、まあ試してみよう。」


俺は細切れにした肉を盛った皿をリアンに渡す。

オルスの時は嫌がり攻撃的な感じだったが、リアンのことは嫌がるでも逃げるでもなくじっと見ている。

スプーンですくって肉を近づけると恐る恐るではあったが食べている。

               

「…ほら、俺のことはパパと認めてくれたようだな!なあ、ママ。」


「だから…なんでみんなして俺はママ扱いなんだよ。」


「まあ、ひょっとしたらこれのおかげかもしれないんだがな。」


「ルダンを託していった鳥人族がくれたっていうお守りの首飾り?」


「ああ。ルダンが人化できるようになったら渡そうと思っている。」


「そっか。ルダンも喜ぶといいな。…あ、肉は冷蔵庫にも入れておくからお腹が空いてるようだったら食べさせてあげてね。掃除は俺が魔法で済ませるからしなくて大丈夫だよ。」


「ようやく俺もこの家で役割ができたな。家のこととか料理はセージの領分だし。何もせずに家にいるとただの穀潰しだからな。」


「それなら畑も手伝ってくれると助かるけど。」


「そうか、知識はないが水やりだけなら俺もできそうだ。」


「基本的には朝の水やりくらいだね。この辺りは虫もあまりいないし…今は間引きとか脇芽摘みもないし…手間がかからないんだよね。」


「そんなもんなのか?まあこの規模感だからっていうのもあるだろうが…。」


「本当は全部買ってしまってもいいんだけどね。自己満足の趣味みたいな感じだからあまり大きくしすぎてもと思って。」


「まあ規模が大きくなると税務官に目をつけられることになるだろうし、今のままがいいだろう。」


「税務官?」


「ああ、基本的には市に出す規模が対象だが、その家の消費量に見合わぬ収量が見込める場合は個別に徴収される可能性があるんだ。」


「なるほど、そういえば俺は何も納税の手続きとかしてないけ度…知らない間に脱税してしてたりしないよね?」


「基本的には店側が払うものだから大丈夫だ…食料品とか買う時には税が上乗せされてるし、魔物の買取には税の分が差し引かれている。」


「それも…常識だったりする?」


「まあ、大人は皆知っているだろうな。」


「今からでも学校に行くべきか…。」


「それなら家庭教師はどうだ?いい先生を知ってるぞ。」


「本当に?常識というか一般教養を至急どうにかしたい。」


「その程度ならなんとかなるだろう。…では先生を紹介しよう。リアン先生だ。」


「…うん、そうだろうと思った。よろしく先生。」


「これで家庭教師兼、農夫兼、子守だな。」


「急に役職過多になった気もするけど。」


「先生の言うことはちゃんと聞くんだぞ。昼も夜もな。」


「夜もって…リアンは教えられるほど経験豊富ってことでいいのか。」


「え?あっ…細かいことは気にするな。」


「その反応はどっちだ!?豊富なのか知ったかぶりしようとしてるのか…。」


「失礼な。世の中には様々な本がある。きちんと勉強しているぞ。」


「本で学んだ知識を俺で実践しようと…?」


「安心しろ、予習はバッチリだ。」


「…喜んでいいのか複雑だなぁ。」


「この俺の最初で最後の男になれるんだからな、喜んでいいだろう。」


「喜びよりも、事実上3股しているような俺の現状からすると罪悪感が。」


「それは気にするなって。少なくとも俺ら3人は納得している。3人でセージを新たな男から守る協定でもあるんだ。」


「オルスも前に同じようなことを言ってたな。」


「だからこれ以上は増やすことは許さんぞ。特に天人族!」


「俺だって増やす気なんてないよ…。」


「まあセージは押しに弱いから…そうならないように俺らが目を光らせておかないとな。」


「…俺みたいな優柔不断のどこがいいんだか。」


「そう言うなって。少なくとも今は俺達もその優しさに付け込んでいるところもあるわけだしな。」


「それはそれで腑に落ちないけど…。」


「それにセージが3人を股にかけているというより、3人でセージを守って幸せにしようってわけなんだからセージは受け入れてくれたらそれでいいんだ。」


「俺の意志はどうなるんだ?」


「もちろんセージの意思で1人を選ぶのならそれでもいい。俺達が一番懸念することは、セージが外聞やモラルといった外的要因で1人に絞り込むことだな。それなら、好みじゃない気に食わないと振られる方がマシだ。」


「うーん…。」


「まあ、これから時間はたっぷりあるんだから考えすぎるなって。急いだ挙句、妥協で選ばれたら誰も幸せになれないしな。」


「このままずっと3人ともってこともあり得る?」


「セージが望むのならな。時間配分で揉めるかもしれないが些細なことだ。」


「そういうものなのか…。」


「そういうものだ。」


「あ、俺が前に買った肌着は俺以外の前では履かないでくれよ。」


「あんなスケスケ…リアンの前でも履かないから!」


「はぁ…、せっかくセージに似合うと思って買ってきたのなあ。それなら俺が履くか…きっとセージも良さがわかるだろう。」


「良し悪しの話じゃないんだってば。…とにかく今は封印だ!」


「まあいい、また王都に行った時は新しいのを探してくるか。」


「王都が気軽に行ける場所になくて良かったよ。」


「セージも早く行こうな。そうすればいつでも行けるようになるんだろう?」


「そうだけど…。あ、今度リヴィエールに行ってみる?俺はコリーヌとか別の町にも行ってみたい。」


「ああ、今度行こう。」




朝食後。


「そういえば、来週満月だよね。」


「そうだな。」


「その…マスターのところ行けていないから定休日の満月の日に行けないかなと。」


「ああ、実は俺も気にはしていたんだ。オルスみたいに自分の都合ではこちらに来れないしな。」


「たまに町に行くついででしか会えていないのが申し訳なくて…。」


「本来だったら毎週手伝いに行く予定だったからな、ルダンのことは1日くらい俺だけでも大丈夫だろう。」


「よかった、少しの間家をよろしくね。」


「任せておけ。」


「ありがとう。畑のチェックとルダン用の肉を獲ってくるから少し外に出てくるね。昼食前には戻るから。」


「ああ、いってらっしゃい。」


ルダンは日に日に食べる量が増えるし、俺も肉を食べたいからストックしておかないと。

畑の状況を見て回りながら考え事をしていると、どこからか嗅ぎなれない甘ったるい匂いがした。

甘味とも違う…匂いの元はなんだろうかと探そうとしたが強烈な眠気に襲われ俺はその場に倒れ込んでしまった。






気付くと俺は見知らぬ部屋のベッドに横になっていた。

状況を確認しようと起きあがろうとしたが…両手両足がベッドに縛り付けられてできなかった。


「テレポート」


「精霊さん!」


やはり魔法は使えない。

前回と同じ枷が付いているのだろう。

首だけ動かして部屋を見渡すが、ベッドと灯り以外何もない部屋だった。

窓もないため今が昼か夜かもわからない…俺はどのくらい寝ていたのだろうか。

俺をここに連れてきたのはきっとジルだろう。

…すっかり油断していた。



しばらくすると部屋にジルが入ってきた。


「おや、起きたんですね。」


真っ白で大きな翼を持ち、相変わらず白い布1枚腰に巻いただけで、まるで風呂上がりのような格好だ。

翼や彫刻のような肉体のおかげで変態じみ感じはなく、まるで動く美術品のようだ。


「ごめんなさい。前回、セージさんの薬を探しに町に戻ったら任務を途中で放棄していたことがバレてしまって、しばらく監禁されていたんです。

体調が悪いのに置いてきてしまったから…その間もずっとセージのことがずっと気がかりでした。

…ようやく解放されて戻ってみると 小屋が壊されセージがいなくなっていて驚きましたが、飢えるようなことになっていなくてよかったです。」


「ここはどこなんですか。」


「私の家ですよ。」


「天人族の町…ということですか。俺は一体どのくらい寝ていたんですか。」


「3日くらいでしょうか。ここはシエルという町ですよ。前回移動が辛そうでしたので今回は寝ていただいたんです。」


陸路で1週間以上離れた場所じゃなかったか。

前回のオルスのようには行かないだろうな。

家にはルダンもいるしリアンも離れられないだろう。

助けを求めるのは現実的ではないから俺は自力でなんとかしないと…。


「…俺はなんでここに?」


「何度も邪魔をされてしまいましたからね。私はセージさんと一緒に居たいだけなのに。

ここなら町全体が気配遮断されていますから招かれざる客はおろか町の存在すら知る人は少ないです。」


「…確かに地図にはシエルという町は載っていなかったですね。」


「天人族は縁のある者しか知る必要はないのですから地図に載せる必要はないんですよ。」


「そんな所に俺を連れてきて大丈夫なんですか?」


「セージさんが私の縁者になるのであれば問題ありません。しかし、そうでない場合は…。」


「…そうでない場合は?」


「外に出ることはできません。万が一にでも外に出た場合には消されてしまうでしょう。」


「鳥人族の人達のように?」


「理由は違いますが…追われることには違いないですね。」


「縁者…になれば出られるんですか。」


「はい、誓約の魔法により秘匿は保証されますので。」


「ちなみにその…縁者というのは…。」


(つがい)や養子になることですが、私が求めるのは前者です。」


(つがい)…。」


「前にも言ったかもしれませんが…私はセージさんの唯一の男でなくてもいいんです。

…ただ私がセージさんを愛する権利をくれませんか。

触れることはおろか近寄ることすら儘ならないので…。

それ以外は他の方々とも今までと変わらないですから、お願いします…。」


断っても町から出られないし、出たとしても追われ続ける。

俺の四肢を拘束し、無理矢理にどうとでもできる状況でそれをしないのは彼なりの誠意なのかもしれない。

…俺の選択肢が1つしか用意されていないとしても。

これ以上の強硬手段に出る前に穏便に済ませて早く帰らないと。


「誓約の魔法というので(つがい)になれるということでいいんでしょうか。」


「はい。この町の教会で行います。受け入れてくれるんですか?」


「…はい。」


「本当ですか!?よかったです。それでは明日執り行いましょう!」


「あの…それまで俺はずっとこの状態なんでしょうか。お腹も空きますし、トイレも…。」


「自動洗浄されますからトイレの心配は要りません。夕食は今から持ってきますね。」


そう言うとジルは部屋を出ていった。

自動洗浄…どこかに魔道具でも付いてるんだろうか。

心配不要と言われても垂れ流しにするのは嫌だな…。


拘束されたままの俺は…まるで介護のように夕食を食べさせられた。

食後、ジルは俺に何かをするでもなく部屋から出ていった。

意識のある状態では久しぶりにひとりの夜を迎えたのだった。

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