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11.共闘と競争

夜、帰ってきたリアンに日中の出来事を報告していた。


「ただの飯目的ならいいけどな。」


「そうだね…でもそれ以外は違和感なかったかな。」


「そうか。そういえばマスターは承知してくれたよ。仕込みで忙しそうだったから詳細までは話せてないが。」


「わかった、ありがとう。」


「あと今日は食材の他に家具類も色々買ってきたんだ。俺の部屋ベッドしか無いし。どうせセージと寝るから本当はベッドもいらないけどね。これから服とか増えるだろうし一応揃えようと思ったんだ。」


「そっか、ありがとう。」


「で、今日のメニューはなんだ?」


「牛ほほ肉の赤ワイン煮だよ。冷蔵庫で寝かせてたやつ。」


「おお、ついに食べられるのか!楽しみだ。」


俺はリアンが買ってきたバゲットや昼間準備した副菜類、先程作ったマッシュポテトを煮込みに添えて出した。


「どれもワインに合いそうだな。」


「そう、ラペとマリネは白のほうがいいけど赤にも煮込みにも合うんだ。」


「なるほどな、それじゃいただきます。」


「いただきます。」


「うん、これは柔らかくて美味すぎるな。マスターの店を超えてるんじゃないか?」


「作り方は同じだけどまだまだだよ。それに明日の方がもっと柔らかくて旨味が染みてるよ。」


「そうか、明日が楽しみだな。」


「ラペもマリネも昼間は全然味が馴染んでなかったんだけど今は美味しくなってる。」


「これだけでも酒が進むな。」


「ワインがいくらあっても足りなくなるね。」


「またたくさん買ってくるから安心してくれ。」


「ああ、よろしく。」




次の日、俺はリアンのキスで目が覚めた。

今まで触れるだけのキスだったのだが…昨日からは時折吸うパターンが追加された。

俺の唇はきっと赤く腫れてることだろう…。


「おは…んっ。」


キスの合間にと思ったがすぐに塞がれた。

そしてそのまま胸元を弄られる。


「んー!んっ、んー!」


昨夜もしたのに朝っぱらからやる気スイッチ入ってるのか。

すっかり弱点を攻略されてしまっている俺は引き剥がそうにも力がうまく入らなかった。

リアンはずっと無言のままだ。

何か反撃できないものかと考えてマスターの時と同じ手段をとることにした。

モンスターの口は既に涎が垂れていたためそれを利用して口や頭全体を両手で撫で回した。


「うぉっ、はあぁ…うぐっ…。」


モンスターの小さな口が弱点のようだ。

撫でるたびにビクビクと震えている。

…しばらく繰り返しているとそのまま果てて大人しくなった。


「…リアン?」


俺はもしかして寝ぼけたリアンに襲われていたのか?

まだ固いままだったモンスターをそのまま擦り続けた。

リアンのアレは大きさもさることながら吐き出す量も半端ないため下半身は今ドロドロのぬるぬるで滑りがいい。

リアンは時折うめき声は上げるものの起きる気配がない。

しばらくすると2度目を迎えていた。


さすがに罪悪感を覚えた俺はそこでやめることにした。

そしてすっかり水浸しになっているベッドごと俺は証拠隠滅することにした。


「クリーン」



リアンが起きたのはそれから1時間ほど経った頃だった。


「おはよう、セージ。」


「ああ、おはよう。」


「なんか今日は夢見がよかったんだ。そのおかげか体も軽い!」


「どんな夢?」


「セージが口でしてくれる夢だ。近いうちに正夢になるかな?」


「なんて夢見てるんだよ…。」


心底いいことがあった風に言うリアンに普段ならドン引きするところだが、今日は…さすがに期待に応えてあげようと思った。


「セージは今日どうするんだ?」


「実は畑と料理くらいしか今することないんだよな…。リアンは?コリーヌにそろそろ行くんだよね。」


「そうだな…明日か明後日には出発しないとな。俺がいない間はオルスがいてくれるといいんだけどな。天人族の件が心配だ。」


「昨日は来なかったけど多分今日か明日は来ると思うよ。」


「今日は俺が家に残ろうか?セージは自分でも買い物したいだろうし。」


「いいのか?実はそろそろボアを狩りたいと思ってたんだ。日の高いうちには帰ってくるから。」


「そっか。多分俺が出れば天人族もすぐ帰るだろう。オルスには明日からのことを相談してみるよ。」


「わかった、ありがとう。早速行ってくるね。昼は牛の煮込み以外はなんでも食べていいから。」


「ははっ、ありがとう。オルスが来ても煮込みだけは死守するよ。」



俺は森に入ると一気に町の近くまで魔法で移動し、家の方向に向かいながら猪を探した。

今回は割とすぐに見つかった。

いつものように部位ごとに切り分け処理をするとリッシュの町に向かった。

今回は体の毛皮も売ったが既になめしてあったことから想像以上に高額になり全部で金貨240枚になった。

いつものパン屋でバゲットサンドとコーヒーを買い一休みするとマスターの家に行ってみることにした。

まだ仕込みの時間前だがきっとゆっくりコーヒーを飲んでいる頃合いだろう。


チリーン


「セージ!」


玄関が開くとそのまま中に引っ張られ抱きついてきた。


「シーナさん…。」


「そのうちふらっと部屋に現れるんじゃないかってずっと待ってたんだぞ…。」


「さすがに玄関から来ますよ。」


「普段客なんか来ないから逆に驚いたぞ。あの部屋はセージのものだから好きに出入りしてくれ。」


「わかりました。次からは部屋から出入りしますね。」


「それにしても、すぐ来れるんだから1分くらい顔を出してくれてもいいじゃないか。リアンやオルスという男から報告を聞いた時は色々驚いたぞ。」


「その件はすみませんでした。天人族や卵の件で家から離れるわけにいかなくて…。今日は家にリアンが残ってくれているんです。オルスは…俺もよくわからないうちにそういうことになったみたいで…。」


「そうか、たった数日で目まぐるしく状況が変わっているな。」


「はい…明日からリアンがコリーヌという町に行くのでまた2、3日は日中来るのが難しいかもしれません。朝にシーナさんの寝顔を見るくらいはできるかもですが。」


「はっはっは、その時はベッドに入ってこいよ、絶対だ。」


「まあ期待はしないでくださいね。」


「まあいい、でも会えてよかった。早く天人族の件が落ち着くといいな。」


「はい。それではそろそろ今日はこの辺りで失礼しますね。当面の食糧を買いに行かないと。」


「ああ、またな。」




マスターの家を出た後、俺は市場や雑貨屋を回り食糧をたくさん買い込んでいるうちに気づくと夕方になっていたため家に戻った。

遠くから家の様子を見てみるが特に変わった様子はなかった。


「ただいま。」


「「おかえり。」」


リビングでリアンとオルスが向かい合って座っていた。


「あ、オルスも来てたんだ。ご飯は食べた?」


「ああ…大量のにんじんとオリーブを出されたよ。」


「え、あれだけを出したのリアン。」


「煮込みはダメだと言われたから…。」


「スープを作る材料くらいはあったと思うけど…。」


「我はセージの料理だけでよいのだ。だからにんじんとオリーブだけで問題ない。」


「そ、そうか…オルスがいいならいいけど。ところで今どういう状況?」


「昼前にやってきたオルスに事情を説明していたところに天人族が来て、案の定すぐに帰って行った。にんじん食べて、また事情を説明して対策を考えながらお茶飲んでるところにセージが帰ってきた。」


「さすがに初対面の男2人がいたら驚くよな。それで、オルスは明日も来てくれるのか?」


「ああ、ここに泊まる。」


「泊まる!?」


「明日夜からリアンが戻るまで。」


「今日天人族の狙いが飯じゃなくてセージだとわかったからな。セージは多分あいつからすると騙しやすい格好の餌食だ。卵どころかセージごと連れ去りそうだ。」


「そうか…、オルスは大丈夫?家の用事とか。いつも帰ってるし。」


「全く問題ない。」


「そっか、それじゃ明日からよろしくね。」




オルスが帰った後、俺は大量に買い込んだ食糧の整理をしていた。


「すごい量を買い込んだな。」


「ああ、しばらく引きこもるつもりで手当たり次第に買った。」


「ブラッドボアはどうだった?」


「ちょうど家と町の間で見つけたよ。肉以外を売って金貨240枚になった。」


「さすがだな…そして運もいい。」


「確かに今日は運がよかった。前回は半日探したよ。」


「セージは冒険者に向いてそうだな。」


「いつか王都や海に行きたいとは思っているよ。

そういえばいつも移動は森の中だけど、整備された道とか馬車とか移動手段ってないの?」


「実も馬車もあるが安全な迂回路でかなり遠回りだ。徒歩でも最短で森を突っ切った方が早い。」


「そうなんだ。それでも1週間かぁ。」


魔法で飛べば少し短縮できないかな…。


「天人族の件が落ち着いたら一緒に行こうな。」


「ああ、それなら先に海に行きたいな。」


「王都のさらに少し先に海がある。海にはこの国唯一の島があって、そこにはイルという綺麗な町があるんだ。」


「それは見てみたい。」


少し先の未来を想像しながら俺は明日以降の分の料理を仕込んでいった。





「口は…まだ正夢にはならなかったな。」


「ごめん…。」


翌朝、俺は前日の決意虚しく戦線離脱してしまったことに自己嫌悪し凹んでいた。


「気にするな、時間をかけてゆっくりでいいから。」


「うん…。」


まさかあんな感じだと思わなかった。

口でと言われたから舐めるとか咥えるとかってことだと思ってたのに…。

俺の顔に馬乗りになったかと思えば口に捩じ込もうとしてきたのだ。

あまりのことに俺はすっかり戦意喪失してしまい、結局行為自体が中断してしまった。

自分からするのと相手から迫ってくるのとでは全く違う。

…俺はすっかり怖気付いしまったというわけだ。


するとリアンがキスして抱きしめてきた。


「俺のことを前向きに考えてくれているだけでも嬉しいんだ。だからそんな顔しないでくれ。」


相変わらずリアンは優しい。

俺は口を開くぐらいで…情けない。

でも、こんな状態ではリアンにますます迷惑をかけてしまう。


「ありがとう、リアン。いつか期待に応えてみせるよ。」


「はは、オルスがもうすぐ来るんだから煽るんじゃない。」



しばらくしてオルスが到着すると入れ替わりでリアンが出発した。


「セージをよろしく頼むぞ。」


「ああ、不在の間は任せてくれ。」


「リアン、いってらっしゃい。」


玄関を閉めるとオルスは俺をリビングに連れて行った。


「え?どうした?」


「リアンと喧嘩でもしたか。」


「いや、してないけど…。」


「何があったのか知らないがそんな顔では天人族に付け込まれる。今日はセージは居留守を使って我が対応しよう。2階にいろ。」


「ああ、わかった…。でも今のうちに昼食の準備だけするね。」


俺は気を紛らすためにも何かしていたかった。




「スープとラタトゥイユは温め直すだけ、サラダと鶏のテリーヌは盛り付けるだけだから。もし帰らなかったら料理を出していいからね。」


「わかった。」


俺は自室に戻るとベッドで卵を抱えて横になった。


「はぁ…。」


じっとしているとどうしても思い出してしまう。

あの大きさのモノが顔に迫ってくる…。

きっと受け入れればリアンは喜ぶだろうし気持ちよくなってくれるだろう。

…そもそも、苦しいとか痛いとかは俺が勝手に想像しているだけで、本当はそんなことはないかもしれない。

実際まだそんなことは感じたことはなかった。

意外と入ってしまえばなんてことはないのかも…。


…何もせずこんな気持ちになるくらいならやって後悔する方がきっとマシだろう。

少し前向きになれて心が軽くなった。

そして俺はそのまま眠ってしまった…。


「…。…セージ。起きないと脱がすぞ。」


「あれ、俺寝てたのか。…ってもう脱がされてる!」


俺は上半身が裸になっていた。


「あいつは帰った。昼食にしよう。」


「よかった…。対応を任せてごめん。」


寝ていた時間はそこまで長くなかったようだ。


「いい、謝礼は受け取ったからな。」


「謝礼?誰から何を?」


「秘密だ。そんなことより準備してくれ。」


俺は1階に降りると料理を温めて盛り付けた。


「野菜中心でごめん、物足りないよね。夜は肉がメインだから安心して。」


「そんなことはない。肉でも野菜でもセージが作ったものに違いはない。」


「そういえばどんな感じだった?天人族。」


「相変わらずだ。鳥人族について話した後、セージの所在と我らの関係を聞いてきた。」


「それで…なんて答えたんだ?」


「寝所を共にする仲だと伝えた。」


「オルスとは共にしていないけど…。」


「今夜から共にするのだ。同じことだろう。」


「泊まるってそういう…。」


「リアンやマスターとはしているんだ。我も同じことをするだけで特別なことはない。」


「いやいや、そんな食事感覚の気軽さで言われても…。」


「我とて誰とでもするわけではない。体だけを欲すのであれば洗脳で如何様にもできるが、それをしないことがセージに対する誠意の証だ。」


…洗脳?さらっと今怖いこと言ったな。


「今は選択肢の1つでしかないだろうが…いずれ我1人を選んでくれるよう我の魅力を以て夢中にさせてやる。これは我ら3人の共闘であり競争でもあるのだ。」


「リアン達とはそういう話をしてたのか。」


「ああ。ところで夜まで何をするつもりなのだ。」


「本当はマスターの店を手伝ったり、行ったことがない場所に行ったりしてみたいんだけどね。卵もあるし長くは家を離れられなくて。」


「卵を見ていいか。」


「ああ、今はベッドの上にある。」



オルスは目を閉じて卵に手をかざしている。


「ふむ…かなり成長しているな。あと数日から1週間といったところか。」


「中の様子がわかるのか。」


「ああ、我は魔法が得意だからな。」


「オルスは杖も詠唱も無しに魔法を使えるのか。」


「当たり前だろう、我は魔族なのだから。」

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