修羅界大乱戦
修羅界第一層。
黒鉄城前。
黄金の閃光と漆黒の斧が激突する。
轟音。
衝撃波。
大地が割れ。粉塵が巻き上がる。
◇
牛魔将軍ゴルド。
黒斧将軍ヴァルド。
二人の激突はもはや怪物同士の戦いだった。
◇
ドゴォォォォォン!!
◇
ゴルドの拳がヴァルドの腹へめり込む。
ヴァルドの巨体が吹き飛んだ。
黒鉄城の城壁を三枚貫通する。
◇
修羅達が絶句した。
◇
「ヴァルド将軍が押されている……」
「ありえない……」
「四大将軍だぞ……」
◇
瓦礫の中。
ヴァルドは膝をついた。
口から血を吐く。
◇
「クソが……」
◇
ヴァルドは理解が追い付かない。
自分が押されているだと!?
◇
ゴルドは拳を握る。
◇
「まだやるか?」
◇
ヴァルドは笑った。
◇
「当然だ。」
◇
しかし。
◇
その瞬間だった。
◇
「ヴァルド将軍!!」
◇
「加勢するぞ!!」
◇
「将軍を守れ!!」
◇
数万の修羅兵が一斉に動いた。
◇
修羅王軍。
全軍突撃。
◇
黒い濁流のような軍勢がゴルドへ襲い掛かる。
◇
ゴルドは目を見開いた。
◇
「え?」
◇
「タイマンじゃなかったの!?」
◇
修羅達は叫ぶ。
◇
「勝てば正義だ!!」
◇
「修羅界に卑怯なんて言葉はねぇ!!」
◇
「数も力だ!!」
◇
ゴルドは顔を引きつらせた。
◇
「修羅界最低だな!!」
◇
ラックは頷いた。
◇
「うん。」
◇
「だから地獄なんだ。」
◇
◇
次の瞬間。
◇
ラックは後ろを振り返る。
◇
「フォリエラ。」
◇
水竜将軍フォリエラが前へ出た。
◇
「はっ。」
◇
ラックは笑う。
◇
「指揮を任せる。」
◇
「好きにやれ。」
◇
フォリエラの瞳が輝いた。
◇
「承知しました。」
◇
◇
次の瞬間。
◇
知将の顔になる。
◇
「全軍。」
◇
「戦闘開始。」
◇
◇
その一言で空気が変わった。
◇
紫帝軍が動く。
◇
◇
「ガルザ。」
◇
「中央突破。」
◇
「了解。」
◇
◇
「ザンガ。」
◇
「右翼制圧。」
◇
「任せろ。」
◇
◇
「ゴルド。」
◇
「ヴァルドだけを見なさい。」
◇
「他は私達が処理する。」
◇
ゴルドは頷いた。
◇
「了解!!」
◇
◇
戦場が爆発した。
◇
大乱戦。
◇
修羅界戦争の始まりである。
◇
◇
魔猴将軍ガルザ。
◇
黒い雷を纏う。
◇
「邪魔だ。」
◇
拳を振るう。
◇
数百。
数千。
数万。
◇
修羅兵が吹き飛ぶ。
◇
まるで暴風だった。
◇
「化物だぁぁぁ!!」
◇
◇
右翼。
◇
赤鬼将軍ザンガ。
◇
巨大な刀を振り回す。
◇
「野郎ども!!」
◇
「新しい主君のために獅子奮迅の働きを示せ!!」
◇
「おおおおおお!!」
◇
昨日まで敵だった修羅達が歓声を上げる。
◇
修羅は強者に従う。
◇
ザンガが認めた。
◇
それだけで十分だった。
◇
◇
そして。
◇
最も恐ろしかったのは。
◇
フォリエラだった。
◇
戦場後方。
◇
彼女は全軍を俯瞰する。
◇
「左翼第三隊。」
◇
「百歩後退。」
◇
「敵を誘導。」
◇
「中央第五隊。」
◇
「挟撃準備。」
◇
◇
命令が飛ぶ。
◇
軍が動く。
◇
まるで巨大な生物だった。
◇
◇
修羅王軍が気付く。
◇
「まずい。」
◇
「囲まれてる。」
◇
◇
だが遅い。
◇
既に罠の中だった。
◇
◇
フォリエラは静かに微笑む。
◇
「包囲完了。」
◇
「殲滅開始。」
◇
◇
その瞬間。
◇
紫帝軍が一斉に襲い掛かった。
◇
修羅王軍は崩壊を始める。
◇
◇
一方。
◇
中央。
◇
ゴルドとヴァルド。
◇
怪物同士の戦いは続いていた。
◇
ヴァルドは周囲を見る。
◇
味方が敗走している。
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包囲されている。
◇
押されている。
◇
◇
「馬鹿な……」
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「たった数万で……」
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◇
ゴルドは笑った。
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「違うぞ。」
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「俺達は数万じゃない。」
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◇
ヴァルドが眉をひそめる。
◇
◇
ゴルドは親指で後ろを指した。
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そこには。
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腕を組みながら戦場を見ている紫帝ラック。
◇
◇
「陛下がいる。」
◇
◇
その言葉に。
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ヴァルドは初めて寒気を覚えた。
◇
◇
この軍の本当の怪物は。
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まだ一度も戦っていない。
◇
◇
ラックは静かに笑った。
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「さて。」
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「そろそろ修羅王も出てくるかな。」
◇
◇
その瞬間。
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黒鉄城の奥から。
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天を揺るがすほどの殺気が放たれた。
◇
◇
第一修羅王。
◇
戦鬼王バルグラム。
◇
ついに動く。




