表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/104

第一修羅王

 修羅界第一層。


 赤骨平原。


 紫帝軍は進軍していた。


 先頭を天馬に乗って先導するラック。


 その後ろに、


魔猴将軍ガルザ

水竜将軍フォリエラ

牛魔将軍ゴルド

赤鬼将軍ザンガ


が続く。


 さらに後方には数万の修羅。


 つい昨日まで敵同士だった者達である。


 しかし今は違う。


 強者に従う。


 それが修羅の流儀だった。


 ザンガが口を開く。


「陛下。」


「なんだ。」


「本当に修羅王と戦うんですか?」


 ラックは歩きながら答えた。


「その予定。前進あるのみかなぁ。


あんま時間に余裕もないし。」


 ザンガは頭を抱えた。


「いやいやいや。」


「修羅王ですよ?」


 ガルザが首を傾げる。


「強いのか?」


 ザンガは絶句した。


「お前。」


「修羅王を知らんのか。」


「知らん。


地元からあんま出たことないんだわ。」


「マジか。」



 修羅界。


 十三修羅王。


 それは白の魔王直属。


 修羅界を支配する絶対強者。


 数億の修羅を統べる王。


 将軍など比較にならない。


 修羅達にとって神話の存在だった。



 フォリエラが尋ねる。


「第一層の王は?」


 ザンガが答える。


「第一修羅王。」


「戦鬼王バルグラム。」


 その名を聞いた瞬間。


 周囲の修羅達が震えた。


 恐怖。


 畏敬。


 絶対者への感情だった。



 数時間後。


 巨大な城塞が見えてきた。


 黒鉄城。


 第一修羅王の居城。


 城壁だけで百メートル。


 要塞都市だった。


 ゴルドが引きつった笑みを浮かべる。


「帰りたい。


修羅界でモテたいと思えない。


ま、いまさらだけれど。」


 フォリエラも頷いた。


「それは、ただの愚痴ね。


帰りたいには同意せざるおえない自分もいる。」


 ガルザだけは興奮していた。


「強そうだ。」


 ザンガは呆れた。


「ガルザよ。お前は頭おかしい。」



 城門前。


 数万の修羅兵が待ち構えていた。


 その中央。


 一人の男。


 身長四メートル。


 黒い鎧。


 巨大な戦斧。


 身体中に刻まれた無数の傷。


 歴戦の怪物だった。


 男はラック達を見下ろした。


「赤鬼将軍ザンガ。」


「なぜ敵を連れて来た。」


 ザンガは苦笑した。


「負けました。」


 男は沈黙した。


「は?」



 空気が凍った。


 修羅兵達がざわめく。


「ザンガ将軍が?」


「負けた?」


「誰に?」


 ザンガは親指で後ろを指差した。


「アイツ。」


 全員の視線がラックへ向く。


 人間。


 どう見ても人間。


 兵士達は笑った。


「嘘だろ。」


「冗談だ。」


「あり得ん。」



 男はラックを見た。


「名を聞こう。」


 ラックは答えた。


「ラック。」


「昔は紫帝とも呼ばれてたけど


まぁ、めっちゃ昔の話だから。」


 男の眉が動いた。


「紫帝。」


 聞き覚えがあるらしい。



 男は戦斧を肩に担ぐ。


「俺は第一修羅王配下。」


「黒斧将軍ヴァルド。」


 周囲がざわめいた。


 修羅王軍四大将軍。


 その一角である。



 ヴァルドは笑った。


「面白い。」


「まずは俺を倒してみろ。」


 戦斧が地面へ落ちる。


 轟音。


 城壁が揺れた。


 修羅兵達が歓声を上げる。


「ヴァルド将軍だ!」


「潰せ!」



 ラックは後ろを振り返った。


「誰か行く?」


 ガルザが即答する。


「私が。」


 フォリエラも手を挙げる。


「私も可能です。」


 ゴルドも挙手した。


「はい!はい!は~い!!!


ファリエラを強く推薦します! 」


 ラックは片目をつぶって考える。


「じゃあ。。。。」


 三人は期待した。


「ゴルド行け。」


 ガルザとフォリエラが固まった。


 ゴルドも固まった。


「え? 陛下、他薦をしたわたくしめに


行けとおっしゃるのですか!? 」



 ラックは頷く。


「実戦経験だ。」


ゴルドは手を顔の前で左右に振った。


「わたくしめは外交官候補なんですよね? 」


ラックはフッと笑った。


「外交官は殴れる外交も覚えろ。チカラこそパワーだ。」


 ゴルドは泣きそうだった。


「モーーーー! 理不尽!!」


 しかし。


 紫帝の命令は絶対。


 牛魔将軍ゴルドは渋々といった様子で前へ出た。


 対するは。


 黒斧将軍ヴァルド。


 修羅王軍四大将軍。


 周囲の修羅達が歓声を上げる。


 新たな戦いが始まろうとしていた。


 ラックは腕を組む。


 そして静かに笑った。


「さて。」


「牛魔将軍の初陣だ。健闘を祈る。」


 修羅界全土を揺るがす戦いの幕が上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ