第71話 「もっと」 (陽向編)
「ひーくん」
「なーに、こはたん?」
「もっと」
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ぎゅっ。
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強く、
抱きつかれる。
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「うん」
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抱き返す。
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やわらかく、
ほどける。
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安心した顔。
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「離れないよ、こはたん」
「うん、側にいて」
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変わった。
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こはたんが。
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話すようになってきた。
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少しずつ。
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でも、
確かに。
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まだ、
笑顔は、
戻ってないけど。
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……大丈夫。
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俺がいる。
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側にいる。
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離れない。
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離さない。
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「愛してるよ」
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こはたん。
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「うっし、こんなもんかなー?」
「ひーくん、これ」
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くい。
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袖を、
引かれる。
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「おー、こはたん!ありがと」
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部品を受け取る。
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看板。
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文化祭。
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「うーん、物足りない感じなんだよな」
「描く?」
「……あ、そっか」
「こはたん、描いてくれる?」
「うん」
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さら、さら。
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描く。
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静かに。
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どこか、
嬉しそうに。
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俺の好きな、
こはたん。
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どんなに変わっても、
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変わらない。
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それが、
たまらない。
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こはたんが、
俺のせいで、
変わってる。
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……たまらない。
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嬉しい。
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愛おしい。
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落ちていく。
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深く。
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溶けていく。
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あー。
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もう、
戻れない。
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「ん、できた」
「おお!すげー!!こはたん!最高!!」
「ふふ」
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「……こはたん」
「今、笑ったよな」
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「うん、笑った」
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「よかった……」
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「もう二度と、笑えないのかと思ってた」
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ぎゅっ。
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抱きしめる。
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「俺の前で笑ってくれて」
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「……見せないで」
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「他のやつに」
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「ひーくんだけ」
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「うん、こはたん」
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「でも、ひーくん」
「ん?」
「ひーくんもダメ」
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「何が?」
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「私以外、ダメ」
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「……うん」
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抱きしめる。
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強く。
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離さないように。
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嬉しい。
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嬉しい。
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嬉しい。
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求められてる。
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俺を。
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独占してくれる。
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依存してくれる。
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ダメなのに。
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止めなきゃいけないのに。
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でも。
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どうして?
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止めなくていい。
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だって。
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笑えたのも、
話せるのも、
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俺の前でだけ。
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なら。
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このままでいい。
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このままの方が、
幸せだ。
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二人で。
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幸せで。
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離れなければいい。
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このまま、
一緒に。
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落ちていきたい。
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二人の、
世界に。
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こはたんは、
変わった。
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みんなを、
拒む。
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俺以外。
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俺の前でだけ、
話す。
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笑う。
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おかしい。
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でも。
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好きだ。
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好きで。
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好きで。
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たまらない。
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愛して。
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もっと。
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俺を感じて。
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必要として。
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近づいて。
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求めて。
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愛して。
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もっと。
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もっと。
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もっと。
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俺なしじゃ、
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生きていけなくなってくれ。
貴重なお時間ありがとうございました!




