第70話 「ここにいていい」 (陽向編)
「ひーくん」
「なに?こはたん」
「……」
ぎゅっ。
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抱きつかれる。
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「うん、側にいるよ。」
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「……」
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目を閉じる。
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何も言わない。
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でも、
離れない。
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こはたんが、
変わった。
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何が変わったか、
わからない。
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でも、
俺のところに来る。
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こうして。
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何も言わずに、
抱きついてくる。
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安心する。
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俺、
ここにいていいんだ。
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必要とされてる。
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こはたんが、
俺を。
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嬉しい。
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俺も、
そばにいられて。
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嬉しい。
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幸せだ。
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このまま、
2人でいたい。
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誰にも、
踏み込まれたくない。
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「よっと」
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文化祭の準備。
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静か。
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隣に、
いる。
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離れない。
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「こはたん、俺ちょっと荷物取り行ってくる」
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ぎゅっ。
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裾を、
掴まれる。
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「こはたん?」
「……」
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何も言わない。
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「……一緒に行く?」
「……うん」
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手を繋ぐ。
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力が、
少し抜ける。
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安心した顔。
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……よかった。
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役に立ててる。
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俺でも。
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ごめん。
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ずるいな。
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縛り付けてる。
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でも。
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離せない。
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許して。
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もう、
やめられない。
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「愛してるよ」
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こはたん。
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ずっと。
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ずっと。
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俺の側にいて。
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離れないで。
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作業を進める。
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話しかけられる。
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短く、
返す。
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それだけ。
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こはたんは、
俺以外に、
話さない。
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拒否してる。
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なんで。
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前の君なら、
受け止めてたのに。
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でも。
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きっと。
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俺が。
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変えた。
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ごめん。
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でも。
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……嬉しい。
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「ひーくん、これ」
「ん?何?」
「……」
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差し出される。
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一枚の絵。
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俺が、
いる。
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「こはたん」
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変わってない。
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絵が好きなところ。
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そこは、
変わってない。
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俺を、
描いてくれた。
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前と、
似てる。
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あの時と。
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大好きでいてくれた、
あの時と。
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……なあ。
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また、
そうなってくれるか?
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俺のこと。
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大好きに。
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「……ありがと。こはたん」
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ぽん。
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頭に触れる。
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「……」
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目が、
細くなる。
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笑ってるようで。
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悲しそうで。
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間違ってる。
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わかってる。
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でも。
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止まらない。
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勝手に、
体が動く。
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ごめん。
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こはたん。
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愛してるから。
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許して。
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愛してるから。
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側にいて。
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絶対に、
ひとりにしないで。
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俺のこと、
離さないで。
貴重なお時間ありがとうございました!




