第69話 「離せない」 (陽向編)
こはたんが、変わった。
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誰が見ても、
同じ。
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文化祭の準備が始まる。
でも、
空気は重い。
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当たり前だ。
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彼女が、
彼女じゃなくなったから。
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こはたん。
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「うちのクラス何出すんだっけ?」
「……なんでもいいわよ」
「気持ちはわかるがな。はぁ、たこ焼きだ。前に話してただろ」
「そっか!んじゃ準備しないとなー!」
「なんで?」
「え?」
「こはちゃんがあんな状況なのに、なんで笑うの!!やめてよ!!」
「……」
「なんで平気なの、私は……うぅ」
走り去る。
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「……」
「成瀬、お前は悪くない。高梨のメンタルの問題だ。気にするな」
「……おう」
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平気なわけ、
ねぇだろ。
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なんだよ、それ。
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俺がなんとかできないから、
せめて、
せめて、
普段通りにしたかっただけだろ。
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そしたら、
戻るかもって。
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前みたいに。
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……思っただけだ。
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あー。
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ごめん。
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空気読めねぇんだわ。
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こはたんいないと、
俺、
ダメなんだわ。
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偽物なんだよ。
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一人じゃ、
何もできねぇ。
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こはたん。
こはたん。
こはたん。
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そばにいさせてよ。
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屋上。
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誰もいない。
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わかってた。
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来ない。
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余計なこと言ったし。
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嫌われたし。
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もう、
そばにいられない。
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俺、
いらなくね?
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なんで生きてんだろ。
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存在価値、
ねぇじゃん。
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役に立つどころか、
傷つけるとか。
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ありえねぇだろ。
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……あれ。
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なんで。
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こんな。
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こんな気持ちになるなら。
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最初から――
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「……ひーくん」
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振り返る。
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こはたん。
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「……こはたん」
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なんで。
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どうして。
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来たんだよ。
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俺のこと、
嫌いじゃないのかよ。
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わかんねぇ。
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何考えてんのか。
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怖ぇ。
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でも。
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そばにいてくれよ。
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こはたんがいない俺、
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壊れる。
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「こはたん、こはたん……こはたん!」
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抱きしめる。
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止められない。
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依存したくねぇのに。
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欲しくて。
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そばにいてほしくて。
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一人にしないで。
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お願いだ。
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「……」
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離れない。
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拒まない。
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それだけで、
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心地いい。
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やばい。
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このままじゃ。
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ダメだって、
わかってんのに。
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止められねぇ。
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欲しい。
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欲しい。
⸻
欲しい。
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「こはたんがいないと、お、れ」
「たえ、られない」
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「こわい」
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「そばに、いて?」
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「……」
「……うん」
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ぎゅっ。
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抱き返される。
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「俺、離せないよ?」
「いいの?」
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こくり。
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頷く。
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「こはたん」
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抱きしめる。
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壊れてる。
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違う。
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でも。
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それでも。
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欲しい。
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愛してる。
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そばにいさせて。
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俺のこと、
感じてよ。
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もっと。
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もっと。
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深く。
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俺を、
求めてよ。
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大好き。
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愛してる。
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――離さない。
貴重なお時間ありがとうございました!




