第68話 「そばにいるって言っただろ」(陽向編)
1人にしないと言った彼女は、
1人になった。
⸻
笑顔が消えた。
話さなくなった。
そこにいるのに、
別の人間みたいで。
⸻
不気味だ。
⸻
……なのに。
⸻
好き
を
超えて
⸻
愛してる。
⸻
助けたい。
救いたい。
君の笑顔が、
また見たい。
⸻
愛させて。
そばにいさせて。
どんな君でも、
受け止めてみせるから。
⸻
俺のこと、
ひとりにしないで。
約束したじゃん。
そばにいるって。
⸻
お願いだよ。
そばにいてよ。
⸻
……俺も、
君のそばから、
離れないから。
⸻
「こはたん」
「ひーくん」
「……あのさ、話したい」
「嫌か?」
「……ううん」
「そっか、ありがと」
⸻
笑わない。
⸻
みんな、
心配してる。
⸻
壊れた。
⸻
そう見える。
⸻
でも、
わかってる。
⸻
支えられてたのは、
俺の方だ。
⸻
甘えてた。
⸻
優しさに。
笑顔に。
⸻
ごめん。
⸻
ごめん、
こはたん。
⸻
「俺さ、こはたんのおかげで」
「1人にならずに済んだんだ」
「……」
「嬉しかった」
「嘘ついてると思って苦しかった時」
「俺のこと本物だって言ってくれたこと」
「1人にしないって言ってくれたこと」
⸻
手を取る。
⸻
顔を向けない。
⸻
下を見たまま。
⸻
「こはたんが言ってくれたんだ!」
「認めてくれた!」
「俺のこと!」
⸻
「……」
⸻
「なあ、俺」
「こはたんに依存してたわ」
「ごめんな」
「負担だったよな」
「友達のくせに迷惑かけてごめん」
⸻
「とも、だち……?」
⸻
「おう」
「俺とこはたんは友達」
「違う?」
⸻
「ちが、わない」
⸻
「こはたん、大丈夫だよ」
「俺は1人にしない」
「こはたんが嫌がっても側にいる」
⸻
「……」
⸻
「大好きだよ」
⸻
「……っ」
⸻
耳を塞ぐ。
⸻
揺れる。
⸻
怖い顔。
⸻
「……ごめん」
⸻
わかんねぇ。
⸻
何に悩んでるのかも。
なんで苦しんでるのかも。
⸻
何も。
⸻
わかんねぇ。
⸻
ごめんな。
⸻
でも、
それでも、
⸻
大好きだから。
⸻
知りたい。
もっと。
⸻
こはたんのこと。
⸻
教えてくれよ。
⸻
お願いだ。
⸻
そばにいさせて。
⸻
「……ひーくん」
⸻
ごめん。
⸻
何もできなくて。
⸻
助けることも、
できない。
⸻
ごめん。
⸻
謝ることしか、
できなくて。
⸻
でも。
⸻
俺にできるのは、
⸻
そばにいることだけだ。
⸻
君に、
“大好き”って言うことだけだ。
⸻
「……」
⸻
立ち上がる。
⸻
背を向ける。
⸻
行くな。
⸻
言えない。
⸻
「こはたん!」
「待ってるから!」
「屋上で!」
「待ってるから!!」
⸻
止まらない。
⸻
振り返らない。
⸻
そのまま、
行く。
⸻
「来てくれなくてもいい」
「迎えにいくから」
⸻
こはたん。
⸻
守らせてくれ。
⸻
そばにいさせてくれ。
⸻
――愛してる
貴重なお時間ありがとうございました!




