表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

第6話 新しい子と話したよ!

「ふんふふーん♪」


放課後の廊下を、小春はご機嫌で歩いていた。


腕の中には、大事なスケッチブック。


さっきみんなに絵を見てもらえて、まだ少しだけ嬉しさが残っている。


その時。


どさばさっ。


「ひゃー!!私のスケッチブックくーん!!」


手が滑って、スケッチブックが床に散らばった。


慌ててしゃがみ込む。


「あわわわ……」


すると、すっと一冊差し出された。


白くて細い指。


丁寧に扱われているのが分かる持ち方だった。


「こ、これ」


顔を上げると、見慣れない女の子が立っていた。


ふわりとした金色の髪が、光を受けてやわらかく揺れる。


整った顔立ちで、どこか上品な雰囲気。


少しだけ近寄りがたい印象なのに、差し出す手つきはとても優しかった。


「わあ!!ありがとう!!」


受け取ろうとした瞬間、女の子の視線がスケッチブックに落ちる。


開いたページには、やさしい色合いの風景画。


一瞬の沈黙。


「……絵、綺麗ね」


ぽつりと、小さな声。


思っていたよりも柔らかい声だった。


「ほんと!?嬉しいなー!!」


ぱっと表情が明るくなる。


「あっ!話した事ないよね?」


「私、水瀬小春!!よろしくねー」


「……あ、うん」


少しだけ間を空けてから、答える。


「私は白石桃花」


さらりと名乗る姿は、どこか落ち着いていて綺麗だった。


「桃花ちゃんかー!よろしく!!」


ぐいっと距離が縮まる。


「う、うん。その、よろしく」


少しだけ戸惑ったように目を逸らす。


頬が、ほんのり赤くなったように見えた。


その時。


「あっ、こはたーん」


聞き慣れた声。


「ひーくん!」


振り返る小春。


「!?」


桃花の肩がぴくりと揺れる。


陽向が近づいてくる。


明るい表情。


人懐っこい雰囲気。


一気に空気がにぎやかになる。


桃花の視線が、ほんの一瞬だけ陽向に向いた。


すぐに逸らされる。


「わ、私、もう行く!!」


「ええ!?桃花ちゃん!?」


「べ、別に仲良くしたいなんて思ってないから!!」


「ええ!?」


ばたばたと足音を立てて、そのまま廊下の向こうへ消えていった。


ふわりと金色の髪だけが揺れて見えた。


「……」


一瞬、静かになる。


小春は手の中のスケッチブックを見つめた。


さっき桃花が触れていたページを、そっとなぞる。


「褒めてくれたよね」


小さく呟く。


「なんだー?」


「ひーくん」


少しだけ眉を下げる。


「……っ」


「私、何かしちゃったのかな?」


「いや、照れてただけじゃね?」


「そうかな?ほんと?ほんとにほんと!?」


ぐっと距離を詰める。


「こはたん、近い近い!!」


「こはたんがいきなり嫌われるわけねーから」


「ひーくん!!ありがとーー!!」


ぎゅー。


「ちょ!?れいれいに殺されちゃうから!!」


「あはー、お熱い友情でしたわー」


聞き慣れた声が後ろから響く。


振り向くと、玲奈が腕を組んで立っていた。


おさげの髪が軽く揺れる。


「玲奈ちゃん!」


「相変わらず距離感バグってるわね」


「?」


そこへ、穏やかな声がかかった。


「あっ、お二人ともここでしたか」


「あっ、透ちゃんだ!どうしたのー?」


銀色の髪が光を受けてやわらかく輝く。


透はいつも通り落ち着いた様子だった。


その隣では、ひよりがぼーっと立っている。


「部活見学、みんなで行きたいなと思いまして」


「……無理矢理」


「人聞き悪いこと言わないでください!」


ひよりのふわふわした髪がゆっくり揺れる。


まだ眠そうだ。


「いーじゃんいーじゃん!!」


「楽しそー!!みんなで回ろ!回ろ!!」


ちょうどそのタイミングで。


「こはちゃーん」


「玲奈ちゃん!ちょうどいいところに!!」


「ん?何か用事?」


「みんなで部活見学行こーって話!!玲奈ちゃんも行こー??」


「ふふ、もちろん!参加するわ」


「やったー!」


「よーし!!みんなでレッツゴー!」


「おーー!!」



いろいろな部活を見て回る。


廊下は、同じように見学に来た生徒で少し賑やかだった。


「すぅ、くぅ」


「ひより!?寝ないでくださいー!!」


「茶道部、穏やかな雰囲気ー!こりゃ眠くなるわけだねー」


「見学なんだから騒がないの!」


「うおー!!バレーにバスケ、サッカー、野球!!選べねーー!!」


「そういえば、運動できるの?」


「できないのに選ぶわけないだろ?」


「はっ、れいれい天然さんかー!?」


「こいつに聞いた私が馬鹿だったわ!!」


「ひーくん、スポーツ得意なんだ!!すごーい」


「体動かすの好きだからなー!!」


「確かにイメージできますね」


「……暑苦しい」


「悪口混ざってますけど!?」


「ひーくんが運動してるとこデッサンしてもいいかも!!今度やってみていい!!」


「俺をモデルに選ぶとはやるなーこはたん!!」


「いくらでも描いていいぜ!!」


「やったー!!ありがと!!描いたら見せるねー!!」


「まじ!?見たいわー!!」


「ほんとあんた達仲良いわよね、ほんとに初対面だったの?」


「こはたんとは高校からだぞ!なー?」


「うん!玲奈ちゃんヤキモチー?嬉しいなー」


「こんなやつに焼かないわよ!私の方が仲良しだもの」


「うんうん!私たちの絆は誰にも止められないよー」


ぎゅー。


「ふふ、当然ね!」


「ふふ」


「ぐー」


「ずるいずるい!!俺も混ぜろー!!」


「いえあの、みなさん部活見学しましょ?」



さっき出会った桃花ちゃんのことを思い出す。


少しだけ不思議な子だった。


ちょっとだけ慌てていて、


ちょっとだけ恥ずかしそうで。


でも、


絵を褒めてくれた。


ちゃんと、見てくれていた。


また話せたらいいな。


そう思った、


こはちゃんだった。


貴重なお時間ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ