第61話 「群青」
「ふんふんふーん、お出かけお出かけー」
弾む足取り。
「小春」
「あれー??そーちゃんだ!そーちゃんもお出かけ??」
「調整」
差し出されるフルート。
「わあ!!フルートだ!!前の演奏会素敵だったなーー!また聴かせてね!」
「小春が聞きたいなら、いつでも」
ふっと、笑う。
「やったーー!あっ、そーだ!そーちゃんお出かけ一緒にどお??」
「いいけど」
「やったー!公園に行くところだったんだー!噴水が綺麗なんだよ!!行こう行こう!!」
ぱしっ。
手を取る。
「うん」
握り返す。
離さない。
⸻
公園。
水の音。
光が、揺れる。
「わあ!!大きな噴水だーー!よーーし!お絵描き開始ー!」
「……」
隣に座る。
何も言わない。
見ない。
ただ、いる。
紙を滑る音。
さら、さら。
そっと、フルートに触れる。
音が、
静かに、溶ける。
「……」
気づく。
顔を上げる。
視線が合う。
やわらかく、笑う。
「わあ!!そーちゃんの生演奏!!えへへ、もうお願い叶えてくれたね!」
「聴きたいかなって」
「うんうん!!最高!!ありがとうそーちゃん!嬉しい!!」
「うん、俺も」
「あはは!そーちゃんも嬉しいのー??」
「うん」
こつん。
肩に触れる。
そのまま、
預ける。
目を閉じる。
「俺の音……」
「んー?」
「小春のだから」
「あはは!そーちゃん、私の音なんだ!!えへへ、いつでも聴けちゃうね!」
「うん、いつでも。」
「嬉しいなー!そーちゃんの音ー!水色ー!るんるんるーん♪」
(……必要として)
(俺の音を)
(誰よりも)
(君のために)
⸻
「そーちゃん!今日はありがとう!!楽しかったよ!!」
「ん」
「また一緒に遊ぼうね!!約束だよ!!」
「わかった」
短い返事。
それだけで、いい。
夕日。
やわらかい光。
伸びる影。
重なる。
離れない。
⸻
コツ、コツ。
足音。
日が、沈む。
暗くなる。
「そーちゃん??」
振り返る。
立ち止まる。
(……俺の音は水色)
(でも――)
顔を上げる。
(俺は、)
(――群青)
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