表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
62/78

第60話 ひーくんとお出かけしたよ!


「ひーくん!!こっちこっち!!」


「こはたん!」


「えへへ!はいこれ」


差し出されるチケット。


「そーちんすげーよなー」


「フルートとか、吹き方すらわかんねー」


「ねー!」


「私も無理だよー!」


「でもでも!」


「すっごく綺麗な音だよ!!」


「楽しみだなーー」


「前に音楽室でやってたよな」


「確かに綺麗だった」


「うんうん!!」


無邪気に笑う。


――その顔を、


じっと見つめる。


「……」


ぐっと、


手を握る。


「おっし!」


「行こーぜ、こはたん」


「うん!行こう行こう!!」


ぎゅっと、


力がこもる。


(今、そばにいるのは)


(――俺だ)



静かなホール。


音が、


広がる。


蒼真の音。


柔らかく、


澄んでいて、


空気を満たしていく。


一瞬。


目が合う。


ふっと、


優しく笑う。


そのまま、


音に戻る。



「わぁ……!」


「そーちゃんの音!」


「やっぱり水色だね!」


「……」


陽向は何も言わない。


ただ、


小春を見る。


手は、


繋いだまま。


離さない。



演奏が終わる。


拍手。


余韻。



「そーちゃん!!」


「すごかったよーー!!」


「ありがと」


「やっぱり水色!!」


「綺麗な音だった!!」


「うん、聴いてくれてありがとう」


「そーちん!めっちゃ上手かったぜ!!」


「プロじゃん!」


「そんなことない」


「でもありがと」


「謙遜すんなよ!」


「マジで凄かったって!」


「拍手もデカかったし!」


「そうだよ!!」


「1番上手だった!!」


こくこくと頷く。


「楽しんでくれたならいい」


軽く手を振る。


去っていく背中。


――振り返る前、


一瞬だけ。


視線がぶつかる。


蒼真の目が、


ほんの少しだけ、


細くなる。


すぐに、


消える。



「……」


陽向は、


拳を握る。



「いやー楽しかった!」


「こはたん!誘ってくれてありがとなー!」


「ううん!」


「私の方こそありがとうー!!」


「来てくれて嬉しいよ!!」


「俺もこはたんに会えて嬉しいぜ!!」


「あはは!」


「休みだとなかなか会えないもんねー!」


「そーなんだよなー!」


「できることなら毎日でも会いに行くのに」


「それじゃあひーくん休めないよー」


「休めるってー」


「こはたんに会える方が元気出るし!」


「あはは!」


「私も元気になれるよー!!」


「一緒だね!!」


「うん、一緒」


少しだけ、


間を置いて。


「……ずっと一緒」


「うん!!」


「ずっーーと仲良しでいてね!!」


「だーいすき!」


ぎゅー


「うん、俺も……好き」


強く、


抱きしめ返す。


「あはは!力つよーい!!」


「……いや?」


「痛くないから平気だよ??」


「ひーくん、大丈夫だよー!」


「私はそばにいるからねー!」


ぽんぽん、と背中を叩く。


「……うん」


小さく、息を吐く。


「……1人にしないで」


消えそうな声。


でも、


ちゃんと届く。


「うん!!」


「もちろん!!」


「1人にはぜっーたいさせないから!!」


「……」


何も言わずに、


身を預ける。


ただ、


離れないように。



同じ場所にいても、


同じ気持ちじゃない。


でも、


同じ場所にいようとしている。


貴重なお時間ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ