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第58話 「あなたは僕のものです」


「わあ!!見て見て透ちゃん!!」


「水瀬さん、待ってください」


「ほら見て見て!!」


「凄いよこの絵!!」


「どうやって描くんだろ!?わあーー!!」


目を輝かせて走る小春。


透はその後ろを、ゆっくりと歩く。


「ふふ、水瀬さん」


「本当に絵がお好きですよね」


「うん!大好き!!」


「わあ!!こっちもすごーい!!」


「ビューやってガーンかな?」


「えーと……どうなんでしょう」


少し困ったように笑う。


でも、その目は優しい。



ゆっくりと、


二人の時間が流れていく。



「はぁ!!楽しかったーー!!」


「透ちゃん!ありがとう!」


「僕の方こそ」


「ありがとうございます」


「一緒に来れて嬉しいです」


「えへへ!私も嬉しい!!」


「また一緒に来ようね!!」


「はい、もちろんです」


「僕からも誘わせていただきます」


「あはは!待ってるねー!!」


少しだけ、間。


「……水瀬さん」


「この後、もう少しだけ」


「一緒にいませんか?」


「もちろんいいよ!」


「どこ行く??」


「ひまわり畑があるんです」


「とても綺麗ですよ」


「絵のモデルにもなるかなと思いまして」


「わあ!!素敵!!」


「行こ行こー!!」


「ふふ、はい」


「行きましょう」


そっと、


手を取る。



「ふんふんふーん♪」


楽しそうに歩く小春。


透は、


その手を、


少しだけ強く握る。


(もっと)


(深く)


(僕を意識してください)



「ひまわり楽しみだなー!」


「綺麗だよねー!」


「はい」


「水瀬さんはひまわりのようですし」


「何それーー??」


「私お花じゃないよ??」


「例えです」


「ひまわりみたいな存在、という意味ですよ」


「あはは!いいね!!」


「私のイメージカラー黄色かな??」


「いいえ」


立ち止まる。


振り返る。


そっと、


両手を取る。


「白、ですかね」


「白??」


「私が??」


「はい」


「白色です」


「想像してませんでしたか?」


「うん!!オレンジとか黄色ってよく言われる!」


「ふふ、確かに」


少しだけ、近づく。


「ですが」


「僕にとってのあなたは」


「光そのものですから」


静かに、告げる。


「失うわけにはいきません」


「あはは!」


「それなら照らさないとねー!」


「ピカーー!!」


「ふふ、はい」


「ずっと僕のそばで照らしてください」


「任せて透ちゃん!!」


「どこまでも追いかけて照らすよー!!」


(そのまま)


(追いかけてください)


(僕だけを)


ぎゅっと、


手に力を込める。



静かに。


確実に。


透は距離を詰めていく。


(離しませんよ)



「うわーー!綺麗!!」


ひまわり畑。


一面の黄色。


「とても綺麗ですよね」


「写真映えもするので好きなんです」


「よーし!絵を描くぞー!!」


迷いなく、


スケッチブックを広げる。


さらさらと描く。


透は、


少し離れて、


カメラを構える。


(……綺麗)


自然と、


シャッターを切る。


(閉じ込められたらいいのに)


(このまま)


(誰にも触れさせずに)


(僕だけのものに)


……


(無理だと、分かっていても)


(自由だからこそ、水瀬さんは)


(輝いている)


(だからこそ)


(欲しくなる)



「透ちゃん!!みてみてー!!」


「わあ、素敵ですね」


「とても綺麗なひまわりです」


「水瀬さんは本当に色の扱いが上手ですね」


「えへへ!!ありがとう!!」


「透ちゃんは写真撮れた??」


「はい、こちらです」


そっと近づく。


距離が近い。


「うわぁ!!すごーい!!」


「綺麗!!」


「写真だとこんな感じになるんだー!!」


「でも絵とは違う魅力があるね!!」


「ふふ、そうですね」


少しだけ、


視線を落とす。


「僕が撮って」


「あなたが描く」


「理想的です」


「最高の絵になるね!!」


「間違いない!!」


「はい」


「2人で1つの作品です」


そのまま、


見つめる。


笑顔で。



(あなたは自由でいい)


(そのままでいい)


(でも)


(僕の中では)


(もう決まっています)



(あなたは)


(僕のものです)


貴重なお時間ありがとうございました!

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