第54話 夏の約束いっぱいだよ!
「暑ーい!!溶けちゃうよーー」
机に突っ伏す小春。
「こはちゃん、大丈夫?」
玲奈が下敷きで風を送る。
「ふぁーー!涼しい〜」
「ふふ」
「小春ちゃん大丈夫?お水飲む?」
「桃花ちゃん!平気だよー!ありがとうー!」
「そう?無理はしないでね」
「もう、夏ねー」
「最近の暑さは本当に地獄よ」
「あはは、ほんとだねー」
「夏休みが近くなって嬉しいけど!!」
「その前にテストがあるわよ」
「うわぁーー!!言わないでよー!」
⸻
「何を騒いでるんだお前らは」
「石田君!」
「もうすぐ夏休みだねって話だよー!」
「はぁ、お前はずっと遊んでそうだな」
「石田君預言者なの!?すごーい!!」
「たくさん遊ぶぞーー!!」
「宿題もあるわよ?」
「もう駄目だーー!!」
「夏休みなのに何で宿題あるのーー!?」
「休みたいよーー」
「ふふ、気持ちはわかるけど」
「小春ちゃん宿題苦手だもんね」
「あんなもんは毎日やれば終わるだろ」
「サボるのが悪い」
「ふええ!!正論パンチだよ!!」
「お前大丈夫か?」
「毎回宿題聞いてくるし」
「授業受けたらわかるだろ」
「石田君の方がわかりやすいから!」
「先生よりずっーと!!天才!!」
「俺はお前の先生じゃないんだが!?」
「素直に喜びなさいよ」
「何で喜ぶ前提なんだよ」
⸻
「おっすー!こはたん!」
ぎゅー
「あはは!ひーくんだー!おはよー」
「待て待て待て!!」
「距離おかしいだろ!!」
「えー?普通じゃない?」
「お前の普通は普通じゃない!!」
「そんなことないよー!ねー?」
「なー?」
「石田君、諦めなさい」
「無理よ、この2人は」
「諦めてるだけだろ!!」
「こはたん!夏休みどっか行こーぜー!!」
「もちろんだよ!!」
「ひーくんともいっぱい遊びたいなー!」
「おう!誘ってやんよ!」
「適切に誘いなさいよ!」
「あはは、いーのいーの!」
「玲奈ちゃんも遊ぼうねー!」
「もちろん!!」
「小春ちゃんが絡むとほんとゆるくなるよね」
「はぁ、頭痛くなってきた」
⸻
「頭痛薬飲む?」
すっと差し出される。
「何で常備してんだよ!!」
「偏頭痛持ち」
「それは普通にかわいそうだわ!!」
「ありがとう!」
「感情ぐちゃぐちゃじゃない?」
「大丈夫??」
「はぁ、そっとしてくれ」
「ん」
水を渡す。
「優しさが染みる」
「弱りすぎじゃない?」
「耐久値限界だったのね」
「俺が何したってんだ!!」
⸻
放課後、廊下。
「小春」
「あっ!そーちゃん!!どうしたの??」
「これ」
差し出されるチケット。
「なーにこれ??」
「チケット」
「わあ!!フルートの演奏会!!」
「俺出るから、よかったら」
「もちろん!いくいく!!」
「応援するね!!頑張れー!そーちゃん!!」
「うん」
ふっと、柔らかく笑う。
そのまま去っていく。
「楽しみだなー!」
「ふんふーん♪」
「それだけ渡して去るの、そーちんらしー」
「ひーくんも行くー??」
「おお!いいな!!」
「チケットとれっかなー??」
「あっ!残ってるよ!!」
「ポチッ!!」
「ええ!?こはたん!?」
「値段は??」
「ふふーん!お小遣い圏内!」
「いやいや払うから!!」
「行動力ありすぎだろ!!」
「いいのにー!」
「一緒に行ってくれるだけで嬉しいのになー」
「こういうのはちゃんとしとく!」
「はい!」
「はーい!いただきまーす!」
「当日渡すねー!!」
「そーちんの演奏楽しみー!」
「うん!!」
⸻
教室。
「あっ、水瀬さん」
「透ちゃんだー!」
「ひよりん寝てるー」
「すぅ、すぅ」
「少し暑いですけどね」
「でもひよりんにくっつかれるなら許せちゃうよね!!」
「ふふ、そうですね」
隣に座る。
透は少し嬉しそうに笑う。
「そうだ、水瀬さん」
「前に言ってた美術館」
「夏休みに行きませんか?」
「わあ!いいね!!」
「課題もあるし丁度いい!!」
「はい、一緒に終わらせましょう」
「透ちゃんがいたら心強いよー!」
「……2人で行きたいです」
「いいですか?」
「うん!いいよー!」
「一緒に行こ!!2人でー!」
「楽しみだね♪」
「はい、とても」
「楽しみです」
ふわっと笑う。
「約束です」
そっと唇に指を当てる。
「すぅ、ぐぅ」
⸻
放課後。
「あーー!れんれんだ!!」
「ん?小春か」
「えへへ!今日は会えないかと思ったよー!」
「来てたんだね!!」
「何だぁ?会いたかったのか?」
「もちろん!!」
「れんれんは大事なお友達だもん!!大好き!!」
「そうかよ」
ぽん、と頭を撫でる。
「えへへー!」
「れんれん!!」
「夏休み遊ぼうね!!」
「一緒にお出かけしよ!!」
「いいなぁ」
「小春が行きてぇ時に誘ってくれ」
「都合空けとくからよ」
「うん!!ありがとうれんれん!!」
「何のお礼だよ」
「休みの日も会ってくれるお礼??」
「じゃあ俺もありがとうだな」
「へ?何のお礼??」
「休みの日も会ってくれるお礼」
「あはは!れんれん最高!!」
「いっぱい遊ぼう!!」
「ああ」
きゃーきゃーとはしゃぐ声。
それを、
静かに見守る。
変わらないようで、
少しだけ変わっている日常。
夏は、もうすぐそこまで来ていた。
貴重なお時間ありがとうございました!




