第44話 みんなバラバラになっちゃったよ!
「どうしてよぉーーー!!」
教室に玲奈の悲鳴が響いた。
がくり、と膝から崩れ落ちる。
「こはちゃんとは離れるし、バスの隣九条さんだし……う、うぅ」
「全力拒否で草」
「なんで!?なんでなのーー!!」
「よろ」
「あ、うん」
「じゃなくて!!」
はっと我に返る。
「はぁ……いいわね九条さん」
じとっと紫苑を見る。
「こはちゃんと同じ部屋じゃない、羨ましいぃ!!」
ハンカチを噛みしめながらうめく玲奈。
「愛強くて草」
「玲奈ちゃーーん!!」
「離れ離れだよーー!!玲奈ちゃんとも回りたいよー!」
ぎゅー
「やり直しましょ!!くじを引き直せばいいのよ!!」
「馬鹿じゃないのか、諦めろ」
「石田君は誰と一緒だったのよ!!」
「お前よりはるかに酷い」
「え?だ、誰とだったの……?」
「鬼塚、一ノ瀬、花野。バスは白石」
「カオスじゃないの!!」
「え、待って。普通に可哀想」
「哀れんだ目で見るな!!」
「かわれるものならかわるぞ!!」
「あ、いいわ。遠慮しとく」
「なんでだよ!!」
「はぁ……胃が痛くなってきた」
「ええ!?れんれんと透ちゃんとひよりん!!」
「最高のメンバーだよーー!!いいなーー!!」
「お前は誰と一緒だったんだよ?」
「私??」
ぱっと笑う。
「そーちゃんと、ひーくんと、紫苑ちゃん!!」
「騒がしいのか静かなのかわかんないメンバーね」
「あはは!楽しそうだよねー!!」
「はぁ……お前は誰といても楽しそうだな」
「石田君といても楽しいよ!大好きー!」
ぎゅー
「だー!!抱きつくな!!」
「お前の羞恥はどうなってんだ!!」
「こはちゃんらしいわね」
「微笑んでないで止めろ!!」
⸻
少し離れた場所。
「……」
「……」
「すぅ、すぅ」
沈黙。
「何か話せよ!!」
「お前らいつもぺちゃくちゃ喋ってるだろ!!」
「はぁ……小春と別とか行く必要ねーわ」
露骨に落ち込む蓮。
「あなたはブレないですね」
透が呆れたように言う。
「なんなんだそのテンションの低さ!!」
「委員長と一緒かー」
「そのセリフ返してやるよ!!」
「俺だって不良と一緒は勘弁だ!!」
「えーと……仲良く、仲良くしましょ?」
透が間に入る。
ふん、とそっぽを向く二人。
「あぁ、不安しかないです」
「すぅ……ぐぅ」
「ひよりは起きてくださーい!!」
⸻
「白石さん、よろしく」
「うん、よろしくね」
玲奈と桃花は穏やかに話していた。
「人数関係で私たちだけ2人部屋なのね」
「先生がお部屋の予約間違えちゃったみたい」
「あはは」
「大丈夫なのあの人」
「ふふ、藤沢先生いい人だから」
「私は好きだよ」
「まあ、明るくて真っ直ぐな人よね」
「彼氏募集中なのは継続してるみたいだけど」
「先生可愛いのに、どうしてだろ?」
「男運ないんじゃない?」
「あはは、それはちょっと可哀想かも」
⸻
「こはたんこはたん!!」
「一緒じゃん!!よろしくーー!!」
「ひーくん!!よろしくねー!」
「そーちんもよろしくー!!」
「ああ」
短く答える蒼真。
心なしか嬉しそうだ。
「マブダチコース確定」
「マブダチマブダチーー!!」
「いえーい!!」
「ウェーイ」
「やば、ぶち上げ」
紫苑が棒読みで言う。
「あー、楽しみだなー!」
「みんなと旅行だ!!ふんふんふーん♪」
「で?」
蒼真がパンフレットを広げる。
「どこから回る?」
「え、もう決めるの?」
「回る準備は必要だろ」
さらさらと書き込んでいく。
「どこ行くんだっけー??」
「行く場所知らずに喜んでて草」
「京都」
「わあ!!楽しみだなーー!!」
「温泉宿最高じゃん!!」
「俺温泉好きー!!」
「うんうん!!」
「温泉にまっーーたり浸かるの最高!!」
「意外だな」
「じっとしてなさそうなのに」
「そーちゃん!!」
「私だってじっとできるよ!!3分くらい!!」
「それはじっとしてない」
「ええーー!!してるよ!!ねー?」
「はは」
「こはたんがじっとしてるの想像できねー!」
「絵描いてる時ぐらいじゃね??」
「確かにそうかも!!」
「2人とも私のことよくわかってるね!!すごーいー!!」
「当たり前だろ!」
「俺ら、マブよ!!」
「ウェーイ」
「いえーい!!」
「で?」
蒼真がもう一度聞く。
「どこから回る?」
「おいおいおい!!」
陽向がツッコむ。
「合わせるところ!!」
教室は笑い声で満たされていた。
くじで決まった運命。
でも――
それすらも、楽しいと思える。
そんな空気がそこにはあった。
修学旅行。
きっと、すごく楽しい。
そう思った、
こはちゃんだった。
貴重なお時間ありがとうございました!




