第43話 修学旅行楽しみだよ!
「玲奈ちゃん玲奈ちゃん!」
朝の教室。
元気な声とともに、小春が玲奈のもとへ駆け寄る。
「こはちゃん、どうしたの?」
「もうすぐ修学旅行だよー!!楽しみだなー!!班決めどうやるんだろーー!」
「ふふ、こはちゃんらしいわね」
柔らかく笑う。
「うん!!玲奈ちゃんと一緒がいいなー」
「私もよ」
その時。
「なんだなんだ?こはたん、れいれい!何話してんの??」
ひょこっと顔を出したのは陽向だった。
「ひーくん!修学旅行の話だよー!」
「あー!そう言えばもうすぐだな!!」
腕を組みながら思い出す。
「まこちゃん先生が言ってたけどよ」
「全部くじで決めるってよ」
「なんでよ!?ここにきて運!?」
玲奈が思わず声を上げる。
「楽しそーー!!誰と一緒になるかなー??」
小春は目を輝かせている。
「バスと部屋割り決めるってよ!」
「自由行動の班は??」
「部屋割りメンバーで動けって言ってたぞ!」
「でも、くじで決めるんでしょ??」
玲奈が頭を抱える。
「お願いだからまともなメンバーでありますように!!」
「なんだよー!誰となっても楽しめばいいじゃん!」
「あなたみたいにコミュ力ないのよ!!」
「褒められてんのこれ!?」
「みんないい人だから平気だよ玲奈ちゃん!!」
「……ええ、そうね」
玲奈はため息をつきつつも、小さく笑った。
その時。
「小春、きたぜー」
「あっ!れんれんだーー!!」
「どうしたの??今日は授業受けるのー??」
「受けるわけねぇだろ」
「受けなさいよ!!」
「はあ?知ってる内容に興味ねぇー」
「れんれんは頭いいもんねー!テスト勉強の時助けてくれるもん!!」
「小春のためならいくらでも教えるぜ」
「わーい!!れんれん大好きー!!」
ぎゅー
「おうおう、甘えろ甘えろ」
自然に背中を撫でる。
「いや、距離感おかしいでしょ!!」
「仲良いんだからいいんじゃね?」
「あなたも距離感バグってるわよ!!」
「玲奈ちゃんもハグするー??」
「いいえ、今回は遠慮しておくわ」
「残念!!ひーくんは??」
「……こはたんがしたいなら、いいけど」
ぎゅー
「いきなりすぎ!?嬉しいけどさー」
少しだけ頬を赤らめる陽向。
玲奈はそれを見て、こくこくと頷いた。
(ほほー?なるほどね)
「ははっ、仲良くていいじゃねぇか!」
「友達は大事だぜ」
「れんれん!わかってるねー!!」
「友達は大事!!」
その時。
「あっ!そーちゃーん!!おはよーー!」
「小春、おはよう」
名前を呼ばれて、小春は嬉しそうに笑う。
「あれー??そーちん、こはたんの事名前呼びしてたっけ??」
「ふふーん!仲良し度が上がったんだよ!!レベルアップ!!」
「マジか!!いーなー!!俺も俺も!!陽向って呼んでよー」
「いいけど、陽向」
「うおお!!嬉しい!!」
「いや、名前呼ばれただけじゃない」
「なんだよー、れいれいにはこの良さがわかんないのかー??」
「わかんないわよ」
「呼び方なんていつでも変えられるでしょ」
「あはは、ひーくんの気持ちわかるよ!!」
「呼び方変わるのって仲良しになれた証みたいでいいよねー」
「そうそう!!」
「こはたん流石!!」
「玲奈ちゃんは玲奈ちゃんの考えのままでいいと思うよ!」
「間違いなんてないよ!!」
「自分が正しいと思うことをするのが一番!!」
「……ふふ、それもそうね」
空気が柔らかくなる。
「そういやよー」
陽向が話題を変える。
「修学旅行の部屋割り、男女混合らしいぜ?」
「どうなってんのよこの学校」
「わあ!!楽しそうだね!!」
「2泊もあるし!!」
「誰と一緒になるかなーー!!」
「男子と一緒なのはちょっと嫌かも」
「ええー??」
「楽しそうだけどなー!?ね!ひーくん!!」
「おう!盛り上がれるメンバーがいいよな!!」
「こはたんと一緒だったら楽しそうだな!」
「あはは!間違いないね!!」
「ひーくんと一緒は楽しい!!」
「そう言えば」
玲奈が思い出したように言う。
「鬼塚君って修学旅行参加するのよね?」
「まさか来ないなんてことないわよね??」
「あ?俺?」
「別にいなくてもいいだろ」
「ええーー!!」
「れんれんいないと寂しいよー!」
「来てよー!!」
少しだけ間。
「あっ、でも」
「何か事情があるなら仕方ないよね。ごめんね」
「……ははっ」
「小春のこと悲しませるわけにはいかないな!」
「参加するぜ!」
「変わり身の早さに驚きしかないわよ」
「やったーー!!」
「れんれんも来てくれるんだね!」
「嬉しいなー!!」
らんらんらーん♪
「……ふっ」
蒼真が小さく笑う。
「小春、楽しそうだな」
「勿論!!楽しいよ!!」
「そーちゃんとも同じ部屋だったらいいなーー!」
「楽しそう!!」
「俺と?」
「うん!!」
「そーちゃんは嫌??」
「嫌じゃない」
「良かったーー!!」
「くじ引くの楽しみかもーー!!」
「楽しみだね!みんな!!」
「こはちゃんが楽しそうで私も嬉しいわ」
「うっし!運気を高めにいこーー!」
「何するのよ??」
「知らねー!!」
「馬鹿なの!?」
「運気を上げる方法……」
「断捨離?」
「真面目に答えなくていいわよ!!」
教室に笑い声が広がる。
くじで決まる運命。
誰と一緒になるのか。
まだ分からない。
でも。
それすらも楽しいと思える。
そんな空気が、そこにはあった。
修学旅行、楽しみだな。
そう思った、
こはちゃんだった。
貴重なお時間ありがとうございました!




