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第34話 体育祭のあとだよ!

「わあーー!!凄いすごいー!!」


机いっぱいに広げられた写真を見て、小春が目を輝かせた。


体育祭の余韻がまだ残る放課後。


教室の窓から差し込む光の中で、透が丁寧にプリントした写真を並べている。


「ふふ、みんなの体育祭の様子を撮っていたのでお披露目です」


「すっげぇー!!いつの間に撮ってたん??」


陽向が身を乗り出す。


「藤沢先生にお願いされまして、こっそり撮っていました」


「透ちゃんすごーい!!」


ぱらぱらと写真をめくりながら、小春の声が弾む。


「あっ!ひーくんみっけ!!」


「ええ?どこ??」


「こことこことここ!!」


「こはたん凄!!てか、よくこんなん見つけられるな!」


「へへーん、ひーくんの事だーいすきだからね!」


「はは、なんだよ俺もこはたんの事大好きだぜ」


「……お2人は本当に仲良しですね」


透が穏やかに微笑む。


「ええ??透ちゃんも仲良しだよ!!ねー?」


「そうだぞ!とーやん!俺ら友達だろ??」


「ふふ、そうですね。……友達です」


透は少しだけ目を細めた。


「てかさー?とーやんの写真ないじゃん!!」


「いや、僕が撮ってるのでないですよ」


「ええ!?そんなの悲しいよ!!」


ぱっと小春がスマホを取り出す。


「あっ、そーだ!!3人で撮ろう!!よってよって!!」


「よっしゃ!!とーやん!行くぞー」


陽向が透の背中を押す。


「わわっ!?陽向さん!?」


「笑って笑ってー!」


パシャ


「撮れたー!!どうどう??透ちゃん!!」


ぐいっと顔を近づける小春。


「わあ、水瀬さん写真撮るのお上手です。綺麗に撮れてますよ」


「やったーー!ひーくん!褒められちゃった!!」


「やるじゃんこはたん!!最高!!」


「えへへ!!」


教室の空気が、やわらかく弾んだ。



昼休み。


春の風がやさしく吹く中庭。


「見てみて!!ここ!写真映えしそうなとこ!!」


花壇の前で、小春が楽しそうに振り返る。


「中庭綺麗ですよね。お花が特に」


「どうせなら桜が咲いてた時がよかったねー!部活とかしてるとなかなか来れないもんねー」


「ふふ、そうですね。でも、こうして来られて嬉しいです」


透の声は、どこか穏やかだった。


「あはは、休み時間に来てるだけだよー!」


「僕にとっては、こうして水瀬さんと2人で過ごせるだけでも嬉しいので」


「何それー??透ちゃんおもしろーい!!」


小春は楽しそうに笑う。


「そんな事でいいならいつでも付き合うよー」


「ふふ、そういうと思いました」


「あはは、バレてたー??」


「はい、バレバレです」


くすっと笑う透。


穏やかな時間が、静かに流れていった。



放課後。


教室の空気も少しずつ落ち着き、帰る準備をする生徒の声が響く。


「ひーくん!!」


「ん?おー!こはたん!」


「ひーくんは今から帰り??一緒に帰ろー!!」


「おう、いいぞ!帰ろーぜ」


たわいない話をしながら並んで歩く。


夕方の光が、道をやさしく照らしていた。


「わあ!!こんなとこに公園があったんだ!!ひーくん寄ってもいい??」


「おう、好きなだけ絵描けよ」


「え??なんでわかったのー??」


「?」


「描きたかったんじゃねーの??」


「あはは、ひーくんは私の事すっーごく理解してるね!!だーいすき」


「何だよ急に。別にいつも描いてるから描きたくなったんだなって思っただけだよ」


「うん!ひーくんはひーくん!!」


「もう、落ち込んでませーん」


「ほんとー??」


ベンチに並んで座る。


夕方の風が静かに通り過ぎた。


ぽすっ


陽向がそっと、小春の肩に頭を預ける。


「こはたん」


「なーにー??」


「これからも……」


言葉が少しだけ途切れる。


目を閉じたまま、小さく呟く。


「一緒に…いて」


「あはは、もちろん!!」


「ひーくんの事1人になんてさせないからね!!」


「ひーくんが嫌がっても側にいるよ!!」


「うん」


静かな時間。


いつもの賑やかさが少しだけ遠くなる。


触れそうで触れない指先の距離が、


どこかもどかしかった。


それでも、


今はこの距離が心地よかった。


そう思った、


こはちゃんだった。


貴重なお時間ありがとうございました!

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