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第31話 応援隊、出動!

「みんながんばれーー!!」


グラウンドに、小春のよく通る声が響いた。


体育祭に向けた練習が本格的に始まり、

校庭には走る音や歓声が広がっている。


その中で、小春は一人、

とても楽しそうに声を張り上げていた。


「あっれー?こはたん何してんの??」


振り向くと、陽向が不思議そうな顔をして立っている。


「応援!!れんれん来るまで私何もやれないから応援しようと思って!!」


「何だそれ!最高じゃん!!俺のことも応援してくれよ!!」


「もっちろんだよ!!ひーくん頑張れーー!!」


「おう!!行ってくるわ!!」


陽向は勢いよく地面を蹴り、走り出した。


風を切るようなスピードで、一直線にゴールへ向かう。


「わあ!ひーくん、足早ーい!!チーターみたーい!!」


小春の声援が届いたのか、

陽向はさらにスピードを上げた。


「しゃあ!!一位!!」


「ひーくん!!すっごーい!!かっこいいー!」


「だろー?もっと褒めてくれていいぜ」


胸を張って得意げに笑う。


「凄い!かっこいい!!最高!!ひーくん最高!!」


「何してんだよ」


呆れた声とともに石田が現れた。


「あっ!石田君!!ひーくんの応援してたんだよー!!」


「応援というか褒め称えてないかそれは」


「あっ!石田君も頑張れ頑張れー!!」


「今かよ!?せめて走ってる時にしろよな」


「あはは、もちろん!!その時も応援するよーー!!」


「うるさっ!?」


「ひどーい!!応援だよー!!」


グラウンドの空気が、少しだけ柔らかくなる。



「透ちゃんー!!頑張れー!!ファイトー!!」


「水瀬さん、応援ありがとうございます」


振り返った透の頬は、少しだけ赤かった。


「透ちゃん風邪??お顔赤いよ??」


小春が心配そうに手を伸ばし、

そっと額に触れる。


「へ?あ、いえ。これは大丈夫な奴なので!」


透は慌てて一歩下がった。


「無理しちゃダメだよ!!体が1番大事!!健康体で優勝だー!!」


「はい、そうですね」


小春は満足そうにうなずき、また次の場所へ向かう。



「榊原君!!頑張れー!!いけるよーー!!」


玉入れの籠へ、

蒼真が淡々と玉を投げ入れていく。


迷いのない動きで、

次々と赤い玉が吸い込まれていった。


「凄い凄い!!何であんなにひょいひょい入るのー!私全然できないよー!」


「別に普通だけど」


「そんな事ないよー!!才能だよ!才能だよ!!榊原君は天才だ!!」


「ふっ、何それ」


ほんの少しだけ、口元が緩む。


「えへへ!応援隊だよー!!」


「ん、やる気出た」


短くそう言い残し、蒼真は静かに持ち場へ戻っていった。


「役に立てたかなー??よーし!次行くぞー!!」



「あれ?こはたんまだ応援してたん??」


「ひーくん!うん!応援隊してたー!!」


「楽しそー!!俺も参戦するぜ!!」


「さっすがひーくんだね!!行くぞー」


「おーー!!」


自然な流れで、陽向が隣に並ぶ。


そのまま肩を組み、二人で歩き出した。


「頑張れ!!頑張れ!!」


「いけるぞー!!走れ走れー!!」


元気な声が二つ重なる。


「何してんのよあれ」


「組体操なってて草」


「暑苦しっ!!」


「相性抜群すぎてヤバ過ぎ」


クラスメイトたちが思わず苦笑するほど、

二人のテンションはぴったりだった。



「ふぃ、疲れたー!!」


一通り回り終え、小春はその場にしゃがみ込んだ。


「お疲れ様ー!!こはたん!ほれ」


差し出されたペットボトル。


「ひーくん!!ありがとーー!!」


冷たい水が喉を通り、ほっと息が漏れる。


「こはたんが応援してくれたからやる気出たってみんな言ってたぜ」


「えへへ!やったー!役に立てて嬉しいなぁ」


小春は本当に嬉しそうに笑った。


その笑顔を見て、陽向は少しだけ目を細める。


「こはたんは真っ直ぐだよな」


ぽつりと零れた言葉。


「んー?そうかなー??思うがままに行動してるだけだよ!!特別なことなんて何もしてない!」


屈託のない笑顔。


「うん、でも」


陽向は立ち上がり、

くるっと振り返る。


太陽の光を背に受けて、

いつものように明るく笑った。


「そうやって、いつだって変わらず接してくれるから。」


「俺が助かってる!ありがとな!こはたん!」


「うん!!ひーくんの役に立てて嬉しいよ!!」


楽しそうに笑う小春。


その様子を少しだけ眩しそうに見つめながら、

陽向は小さく呟いた。


「そのまま、変わらないでくれ」


その声は、

小春には届かないほど静かだった。


ほんの少しだけ、

寂しそうな表情を浮かべていたことにも、

誰も気づかなかった。


貴重なお時間ありがとうございました!

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