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第29話 れんれんを紹介したよ!

「ふんふーんふーん」


上機嫌な鼻歌が、朝の教室にふわりと広がる。


「こはちゃんご機嫌ね。そういえば鬼塚君とは会えたの?」


「うん!!とってもいい人だったよ!体育祭も出てくれるってー!二人三脚の練習もしてくれたよ!!」


「さすがこはちゃんね!!」


「えへへ!」


「いや、授業には出てないんだが!?」


「石田君!!おはよー」


「どうせなら授業に出るように言ってくれればいいのに」


「もー!それは私が説得する問題じゃないよ!出たくないのにも理由があるんだから!!」


「まともな意見をどうも」


「でも!石田君は優しいね!!来てないれんれんのこと心配してるんだもんね!」


「いやまて、誰だそのれんれんって」


「ええ?れんれんはれんれんだよ??」


「落塚蓮だかられんれん」


「単純かよ!?」


「ええ!?あーあだ名じゃないかなー??」


「何だ何だ??何の話ー??」


「ひーくん!!あだ名の話だよ!鬼塚蓮だかられんれん!!」


「こはたん!最高じゃん!!俺もれんれん呼びにしよっかなー」


「いや、勝手に決めるなよ」


その時。


教室のドアが開いた。


少しだけざわつく空気。


視線が一斉に向く。


ゆっくりと歩いてくる姿。


どこか近寄りがたい雰囲気。


けれど――


「れんれんだーー!!」


勢いよく駆け寄る小春。


そのまま、ぎゅー。


ぴくりと指先が震える。


「小春、今日は?練習どうする?」


「もちろん!!目指すは優勝だよー!!れんれんがんばろーね!!」


「おう」


「何あれ?大型犬が尻尾を振ってるようにしか見えないんだけど」


「あんな、いかつそうな人なのに」


「あっ!れんれんも一緒に話そうよー!!楽しいよ!!」


「小春がそういうなら」


やわらかく笑う。


「……完全に落ちてるわね」


「わんこで草」


「みんなー!!れんれんだよーー!!」


「何だよその紹介、フルネームだろそこは」


「こはちゃんらしいわね」


ふいっと目を逸らす。


少しだけ落ち着かない様子。


「れんれんきんちょうしてるのー??」


「小春以外興味ない」


「あはは!!お兄ちゃんみたーい!!れんれん面白ーい」


そっと小春の隣に立つ。


自然と距離が近い。


「何だよー!れんれん俺らとも仲良くしようぜー??」


ぎろり。


一瞬だけ鋭い視線。


「うわぁ!?人殺せる目つき!!強そー!!かっけー!!俺もできればなー」


「いや、何を目指してるのよ」


「……」


視線はずっと小春の方。


「なんか、強烈だね」


「白石さんがそれいう??」


「みなさん集まってどうかされたんですか??」


「すぅ、ふみゅ」


「あー!透ちゃん!ひよりん!!紹介するねー!れんれんだよー」


「あくまでもあだ名で紹介するのね」


「小春ちゃんらしいけどね」


「わあ!会えたんですね!よかったです!心配してました」


「透ちゃんありがとーー!!大好きー!!」


ぎゅー


「あ、えと」


がしっ


引き離される。


「あわわー!!れんれんどうしたのー??」


そっと小春の頭に顎を乗せる。


「あはは!立つの疲れちゃったのー??こはちゃんの頭の乗せ心地はどうかなー??」


「乗せやすい」


「よかったー!!」


「……嫉妬の嵐ね」


「波乱の予感」


「ええ!?た、台風でもきちゃうの!!避難??」


「ウケる」


「大丈夫よ、こはちゃん。比喩よ比喩」


「何だーよかったー!!こんなにいいお天気なんだから雨なんて降ったら困っちゃうよー!」


「雨降ったら濡れないように守るからな」


「うわーい!!れんれん優しいー!!ありがとう!!」


「おう」


さっきまでの鋭さが嘘のように、穏やかな表情。


「さっきと大違いなんだけど」


「れんれん、いい奴じゃん!!俺とも仲良くしよーぜー??」


「断る」


「おいおい!!即答かよ!!」


「癖が強い」


「何してるの?」


「榊原君!!れんれんの紹介してるのー!!」


「?」


軽く会釈。


それに応えるように、静かに頭を下げる。


「あっ、根はいい奴なのね」


「不器用ワンコで草」


「うぅ、シンパシー」


「みんな!仲良しやったね!!」


「えーと、どうなんでしょうか?」


「すぅ、ふみゅ、ふぅ」


「ひよりちゃんだけ、平常運転なのは何なのよ」


教室には、いつもと変わらない賑やかな空気が流れていた。


ただひとつだけ違うのは、


少しだけ視線の方向が増えたこと。


体育祭に向けて、


またひとつ関係が増えていく。


そう思った、


こはちゃんだった。


貴重なお時間ありがとうございました!

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