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第2話 朝から寝てる子がいたよ!

「あっ!!」


窓の外を見ていた小春が、小さく声を上げる。


「こはちゃん何見てるの?」


「玲奈ちゃん玲奈ちゃん見てみて!!」


小春が指差した先。


校門から校舎へ向かってくる二人の姿が見えた。


一人は、少し焦った様子で。

もう一人は――とてもゆっくり歩いている。


ふわっとしたミディアムボブの髪が揺れていて、どこか眠たそうに見える女の子だった。


「ん?あー、あの二人よく一緒にいるよね」


「仲良しさんだよねー!」


「ふふ、そうね」


「でも、あれ大丈夫なの?前の子、寝てるように見えるけど」


「歩けてるから大丈夫だよー」


「いや、そういう問題じゃないわ」


ゆっくりと、二人の姿が校舎の中へ消えていく。


「……間に合うのかな」


「ギリギリっぽいねー」


少しして。


廊下の向こうから、慌てた足音が近づいてきた。


ばたばた。


がらがら。


「ちょ、ちょっとひより!?起きてくださいー!」


「……うぅ、起きてる起きてるよ〜」


「起きれてないですよー!」


「……ぅん。透いるからへいき〜」


「もう、仕方ない人ですね」


教室に入ってきた二人に、ちらほらと視線が集まる。


「あっ、おはようございます」


銀色の短い髪がさらりと揺れる。

一瞬、女の子かと思うくらい整った顔立ちだった。


「……ぐぅ」


「寝てね?」


「……うみゅ、ぐぅ」


「おはようー!」


「こはたんおっはー!」


「あっ、おはようございます」


「すぅ」


「あはは、寝てるー。春だもんねー」


「ちょ、待ってよこはちゃん」


(行動力!!こはちゃんらしいけどさ)


小春はそのまま二人の前へ歩いていく。


「あー、ごめんごめん」


「まだ話したことないなーって思って」


「えっと、水瀬さんでしたよね?」


「ええ?うん!すごい覚えてくれてたの?」


「その言い方だと、前からの知り合いみたいね」


「ふふ、自己紹介の時印象に残ってたので」


「あっ、名乗らずにごめんなさい」


ぺこりと頭を下げる。


「僕は、一ノ瀬透です。この子は花野ひより」


ゆさゆさ。


「うん?だーれー?」


ゆっくり顔を上げる。


少し眠たそうな垂れ目が、ぼんやりこちらを見る。


「初めまして!水瀬小春だよ!」


「小春ちゃん、よろしく〜」


のんびりとした声だった。


「もっちろん!!」


「こはちゃんのコミュ力高ー」


「あっ!ひよりちゃん!この子は玲奈ちゃん!」


「私の大親友!仲良しなんだー」


「玲奈ちゃん、よろしく〜」


「うん、よろしくね。ひよりちゃんでいいのかしら?」


「好きに呼んで〜」


「おっし!任せろ!!」


びしっと指をさす。


「ひよりん!!」


「勝手にして〜」


「どうどう??こはたん!よくない?」


「俺のセンス最高だろ??」


「ひーくん、あだ名つけるの上手!!」


「私もひよりんって呼んじゃお!!」


「なんで、本名より長くなるのよ」


「なんだよ、れいれい!れいれいもどうだ?ひよりんいい響きだろ?」


「私はひよりちゃんでいいわ」


「ふふ、みなさん仲よくて素敵ですね。」


「一ノ瀬君も友達だよー?」


「ぼ、僕もですか?」


「あっ!そーだ!透ちゃんって呼んでもいいかな?」


「ええと、僕は男なんですが」


「あっ、ごめんね。仲良くなりたくてつい」


しゅん、と小春の肩が少し下がる。


「あっ、いえ、嫌じゃないですよ!?」


「本当?嫌なら、やめるからね?言ってね?」


「はい、改めて水瀬さんよろしくお願いします」


「あくまでも敬語なのね」


「透ちゃんらしくていいと思う!」


「全肯定マシーンなの?」


「とおる、とお、とーやん!」


「とーやん!どう??」


「え、ええと、はい!呼びやすいように呼んでください」


「んじゃ、よろしく!とーやん!」


「いや、あだ名いる?」


「なんだよれいれい!ヤキモチ?」


「それだけは絶対ない!!」


「あはは、みんな仲良しだー」


「ふふ、そうですね」


気づけば、ひよりは机に突っ伏していた。


すぅ、すぅ、と規則正しい寝息が聞こえる。


ふわふわした髪が机に広がっている。


見ているだけで、なんだか眠くなりそうな空気だった。


本当に、自由な人だと思う。


教室のあちこちから、くすっと小さな笑い声がこぼれた。


窓から入る春の風が、カーテンをふわりと揺らす。


誰かの笑い声。

椅子を引く音。

まだ少しぎこちない会話。


新しいクラスなのに、不思議と居心地が悪くない。


なんとなく、やわらかい。


なんとなく、安心する。


この空気、好きかもしれない。


そんなことを思いながら、小春はそっと前を向いた。


まだ始まったばかりだけど。


ここならきっと、大丈夫。


そう思った、こはちゃんだった。

読んでくださりありがとうございます!!

貴重なお時間ありがとうございました!!

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