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第24話 美術室で描いたよ!

「うーん、どうしようかな??」


放課後の美術室。


窓から差し込む光の中で、小春はキャンバスの前に座りながら、珍しく頭を抱えていた。


「こっちー?いやでもー」


色のチューブを並べて、何度も見比べる。


青と銀。


どちらも綺麗で、決めきれない。


「水瀬、何してるの?」


静かな声に、びくっと肩が揺れた。


「わあ!びっくりしたー!!榊原君!!」


振り向くと、いつの間にか隣に立っていた。


「えへへ!話しかけてくれて嬉しいなー!!えとね、どっちの色がいいかで迷ってたの!!」


並んだ色を指さす。


蒼真は少しだけ身を屈めて、じっとキャンバスを見た。


そして、


「ん」


青色を指した。


「わあ!確かに青色かも!!ありがとう!!」


ぱっと表情が明るくなる。


「ふふーん、ここはさらさらっとぐるぐるぽーん」


迷いが消えた筆は、軽やかに動き始めた。


蒼真は何も言わず、ただその様子を見ている。


ふと、小春の動きが止まる。


「どうしたの??何かついてるー??」


蒼真は小さく首を振る。


そして。


そっと目を閉じた。


気づけば、静かに小春にもたれかかっていた。


「あはは、榊原君おねむ〜??」


「ん」


小さく返事。


目は閉じたまま。


「揺らさないようにして描くねー!!」


美術室に、鉛筆の音だけが響く。


さらさら、と。


静かな時間。


「あれ?水瀬さんと、榊原さん」


柔らかい声がした。


「わっ!!透ちゃんだ!えへへ」


振り向くと、透が少し驚いた様子で立っていた。


「あっ、榊原さん。寝ていらしたんですね」


声のトーンを少し落とす。


「うん!ぐっすりさん!!気持ちよさそうだよねー!ひよりんみたーい」


「……信頼されてるんですね、きっと」


透は小さく微笑む。


「そうかなー??仲良くなれてるなら嬉しいな!!目指せ友達100人!!」


「友達……そうですね。少なくとも僕は友達です」


「勿論!!透ちゃんも榊原君も友達ー!!」


透は少しだけ寂しそうに笑った。


「そうだ、これ」


差し出されたのは、数枚の写真。


「わあ!!ワンちゃんの写真がいっーぱい!!」


「陽向さんが、水瀬さん犬が好きだと言っていたので撮ってみました」


「えへへ、ひーくんは覚えててくれたんだねー」


「質問大会の時にお話ししてたんだよー!」


「あ、あの時の。ふふ、小春さんは動物が似合いますよね」


「そうかな??なんでも好きだよ!!」


写真を眺めながら、嬉しそうに笑う。


「それにしても透ちゃん!写真やっぱり上手!!写真家になれちゃうよ!!」


「ふふ、そうですか。ありがとうございます」


「ん、」


小さな声。


蒼真が目を開けた。


「榊原君!!おはよー」


「おはよ」


「ふふ、寝ているところ初めて見ました」


「一ノ瀬、いつの間に」


「僕が来た時には寝ていましたからね」


「気づかなかった」


透は少しだけ意味ありげに笑う。


「それにしても、もう平気なんですか?」


「水瀬は別に」


「ふふ、そうでしたか」


「ええ??なになにー??何の話ー??混ぜて混ぜてー!!」


ぐいっと顔を近づける。


「なんでもない」


「ふふ、水瀬さんには榊原さんからいつか話してくれますよ」


「ほんと!?本当に本当!?」


さらに近づく。


「まあ、そのうち」


視線を逸らす。


「やったー!!楽しみだなー!榊原君のお話しー!!」


「ふふ、よかったですね」


「うん!!透ちゃんもありがとー!!」


「僕は何もしてませんよ、ふふ」


小春はぱっと思い出したように声を上げた。


「あっ!そうだ!ねーねー!2人のこと描きたいんだけどいいかなー??」


蒼真は小さく頷く。


「僕でいいならどうぞ」


「わーい!!ありがと!!ちょっとだけ立っててくれる??」


「この辺ですか??」


「うんうん!オッケー!!」


さらさらと迷いなく描いていく。


夕日に照らされながら、黙々と描き続ける小春。


いつもより少しだけ、大人びて見えた。


透の鼓動が、静かに速くなる。


蒼真は何も言わず、小春を見つめていた。


「かんせーい!!見てみてー!!」


ぱっと笑う。


「色、綺麗だな」


「えへへ!!ありがと!!2人のイメージカラー!!青と銀!!」


「わあ!凄い、影の描写も繊細で美しいです」


じっと絵を見つめる。


「俺、こんな顔?」


「ふふ、かっこいいですよね」


「一ノ瀬だろ、それは」


「ええ?2人ともかっこいいよ!!絵のモデルすっごくなる!!またお願いしたーい!!」


「ふふ、水瀬さんはブレませんね」


蒼真が小さく笑う。


「そうだな」


放課後の光が、ゆっくりと傾いていく。


描きたいものも、


一緒にいたい人も、


少しずつ増えていく。


絵を描く時間って、


やっぱり楽しいな。


そう思った、


こはちゃんだった。


貴重なお時間ありがとうございました!

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