第23話 お家でまったりしたよ!
「ただいまーー!!」
玄関の扉を開けると、いつもの落ち着く匂いがふわっと広がった。
リビングの方を見ると、見慣れた人影が目に入る。
「こはちゃん、おかえり」
「悠真君だーー!!遊びに来てたの??お兄ちゃんは??」
「朝陽なら買い物行くって出ていったよ」
「あはは、悠真君がお留守番してくれてたんだ!!ありがとう!」
「ふふ、いいよ」
ぽん、と優しく頭に手が乗る。
その手つきは、昔から変わらない。
「えへへ」
「こはちゃんも高校生かー。同じ高校なのに会う機会ないなー」
「確かに!学年違うからかなー??」
話しながら、自然とソファへ向かう。
小春はぴょこんと座った。
「あ!そうだ!私美術部に入ったんだよ!!悠真君は何部なのー??」
「俺は文芸部だよ」
「わあ!!悠真君らしいね!!私まだ持ってるよ」
ごそごそとカバンを探る。
「あった!」
取り出したのは、小さな熊のぬいぐるみがついたキーホルダー。
「悠真君がくれたクマちゃん!!」
「大事にしてくれてるんだね、ありがとう」
よく見ると、少しだけ糸がほつれている。
「あ、でもほつれてるね。直そうか?」
「あー!!本当だ!!悠真君ごめんなさい!!」
「これをプレゼントしたの、もう3年も前だよ?むしろこんなに綺麗な方が凄いよ」
優しくぬいぐるみを撫でる。
「だって!貰ったものだし!!嬉しかったから!!」
「その髪飾りも、朝陽からのプレゼントだったよね」
ポニーテールの結び目で、小さな星が揺れる。
「うん!!お兄ちゃんからの初めてのプレゼント!!」
「うん、星が似合うね。こはちゃんは」
「えへへ!!ありがとう、悠真君」
ふわっと笑う。
「そっか、こはちゃんがこの家に来てもう何年経つんだろ」
「んー?何年かなー??でも!」
ぱっと表情が明るくなる。
「大好きなお兄ちゃんとお母さんとお父さん!」
「あと!悠真君と玲奈ちゃん!!みんな大好き!!」
ぎゅーっと抱きつく。
悠真は少し驚いたように目を丸くしてから、優しく頭を撫でた。
「俺も大好きだよ、こはちゃんのこと」
「嬉しいー!!悠真君大好きーー」
その言葉に、自然と笑みがこぼれる。
すると。
ガチャ。
玄関の扉が開く音。
「小春!?お兄ちゃんは??お兄ちゃんの事は??」
「あっ!おかえりなさーい!」
「朝陽、おかえり」
両手に買い物袋を抱えた朝陽が、すぐに小春の方へ近づいてきた。
ぎゅっと抱きしめる。
「可愛い可愛い、小春??お兄ちゃんのことは好きだよな?なー?」
「あはは、大好きだよ!!世界一大好き!!」
「俺も宇宙一大好きだぞー!!」
「大袈裟ー!!でも、ありがとうお兄ちゃん!」
「ほら、朝陽。こはちゃん潰れちゃうよ」
「……」
名残惜しそうに手を離す。
「お兄ちゃん、何買いに行ったの??」
「夕食の材料をな!今日は俺の料理当番の日だし」
「わあ!!お兄ちゃんのご飯!!何作るのー?私も手伝うよ!!」
「小春は本当にいい子だなー!じゃあ一緒にカレーを作るとしますか!」
「やったー!!お兄ちゃんのカレーだー!!悠真君も食べていってよ!!泊まる??」
「あはは、泊まりはしないけど。ご飯は食べていこうかな。俺も手伝うよ、唐揚げでも作る?」
「おー!いいな、任せるわ」
「はいはーい!玉ねぎ切るよー!!」
「涙でぐしゃぐしゃになるぞー?」
悪戯っぽく笑う。
「うぅ!ならないよ!もう習得したもんねー!玉ねぎ切っても涙出ない方法を!!」
「おっ!それは頼もしいなー」
わしゃわしゃと頭を撫でられる。
「ひゃーー!!」
楽しそうな笑い声が、部屋に広がる。
キッチンからは、少しずつ料理のいい匂いが漂い始めた。
包丁の音と、他愛ない会話。
当たり前の時間なのに、
なんだかとても大切に感じる。
「本当、仲良し家族だね」
「えへへ!自慢の家族だよー!!」
今日も、あったかい一日だった。
そう思った、
こはちゃんだった。
貴重なお時間ありがとうございました!




