第22話 パン屋さんに行ったよ!
「こはたーん」
名前を呼ばれて振り向くと、得意げな顔が目に入る。
「ひーくん!どうしたの??」
「じゃーん!!」
目の前に差し出されたのは、数枚のチケット。
「パン屋さんの割引券!!」
「ふふーん、いいだろ!最近できたパン屋なんだってさ!母ちゃんに貰った!」
「いいな!!パン!美味しそう!!甘くてふわふわで〜」
想像しただけで、自然と顔がほころぶ。
「あはは、こはたん最高。行こうぜ?」
「ええ??行ってもいいの!!行く!勿論!!」
「うっし!んー。割引券3枚あんのよね、あと1人」
きょろきょろ。
二人同時に周囲を見渡す。
「あー!!透ちゃんだー!!」
声をかけると、穏やかな笑顔が向けられる。
「水瀬さん、陽向さん」
「とーやん!パン!!」
「はい?」
「今からパン屋さんに行くんだよー!!透ちゃんも行こー!ひーくんが割引券持ってるって!!」
「僕もいいんでしょうか?」
「何だよ!とーやん!友達だろ??行こうぜ!!」
「ふふ、そうですね。はい、勿論」
「よーし!!じゃあみんなでパン屋さんへゴー!!」
「おーー!!」
「ふふ、ゴーです!」
⸻
パン屋の前に立った瞬間、
ふわっと甘い香りが漂ってきた。
「ふぁー!!いいにおーい!!お腹空いちゃうよー!!」
「わかるわー!!腹減ったー」
「パンの匂いはずるいですよね。食欲をそそられます」
「あー!!メロンパンだ!!食べたーい!!」
「うっし!はいろーぜ!」
「ふふ、はい」
店内には、焼きたてのパンが並んでいた。
きらきらしていて、全部美味しそうに見える。
「ひーくんひーくん!見てみて!!お魚パン!!」
「うおっ!?まじだ可愛い!!買おっかなー」
「水族館楽しかったもんねー」
「おう!また行こうぜー!」
「うん!!行く行く!!」
「お二人で水族館へ?」
「うん!休みの日にたまたまひーくんと会ったんだ!」
「そうそう!チケット余っててよー」
「ふふ、お二人は本当に仲がいいですね」
「透ちゃんとも仲良しだよー!!」
ぎゅー
「へ?あ、あの」
「こはたん!俺も俺も混ぜてー!」
「いえ!止めてください!!お店にご迷惑ですー!!」
⸻
「ううん!美味しい!!」
ほっぺいっぱいに頬張る。
「ふふ、水瀬さんは本当に美味しそうに食べますよね。お昼の時も思ってましたけど」
「だって!美味しいもん!あっ、ひーくんも食べるー??」
(これは間接キスになるのでは??)
「えと、水瀬さんが食べてください」
「ええ??美味しいよー??」
「とーやん!俺のは?うまいぜ!焼きそばパン!!」
「炭水化物オンリーですね」
「腹持ち良くて好きなんだよ」
にっと笑う。
「いえ、僕は遠慮しておきます。自分の買ってますし。お二人ともありがとうございます」
「焼きそばパン!!美味しそう!」
「おお!こはたん、食べる?」
差し出されたパンをそのままぱくり。
(自然に食べてる、僕が意識しすぎ??)
「ふわぁ!!美味しい!!」
「だろー!!うまいよな!!」
「じゃあ私のもあげるよー!!はい」
差し出されたメロンパン。
ぱく。
「おお!?甘くてうめー!メロンパンもいいな!!買えばよかった!!」
「へへ!美味しいよねー」
陽向が止まる。
(……ん?)
(よく考えたら間接キスじゃんね!?)
口をぱくぱくさせる。
「美味しいなー!ねー!透ちゃん!!」
「ふふ、そうですね。あっ、」
「んー?なーに??」
「水瀬さん、少し寄りますよ」
「はーい!!」
そっと頬に触れる指先。
「とれました」
「えへへ、透ちゃんには取ってもらってばっかりだねー!」
「そうですね」
⸻
「また、公園行きたいな!!透ちゃんの写真も見たいし!絵も描きたい!!あっ!!」
ぐいっと近づく。
「中庭の桜!!すっごく綺麗なの!!写真向きだよ!今度一緒に行こう!!」
(桜を見て僕の事考えてくれてたんだ)
「いいですね、是非行きましょう」
「なーなー!俺も!俺も行きたーい」
「勿論だよ!そーだ!ひーくんは絵のモデルさんになってもらったらいいかも!!桜とひーくんは相性バッチリ!!」
「おう!任せとけ!どんなポーズでも取ってやるぜ!」
「ふふ、写真のモデルも頼みたいですね」
「俺も選ぶなんてとーやんセンスあるー!!まかせろ!満足するまで付き合うぜ!!」
「頼もしいー!!ひーくんかっこいいー!!」
「あったりまえよ!!」
「ふふ」
パンの袋を抱えながら歩く帰り道。
甘い匂いがふわっと残っていて、
なんだか気分まで甘くなる。
美味しいものを食べる時間も、
みんなで笑う時間も、
どっちもすごく幸せだなって思った。
次はどんな場所に行けるかな。
そんなことを考えながら、
また一つ、楽しみが増えた
こはちゃんだった。
貴重なお時間ありがとうございました!




