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第21話 放課後の中庭でお昼寝したよ!

「今日も楽しくスケッチしましょ!!」


スキップしながら中庭へ向かう。

ポニーテールがふわふわ揺れて、星の髪飾りが光を反射した。


「わあ!!桜が綺麗!!ここだ!!ここにしよう!!透ちゃんも好きそう!今度誘おー!」


春の空気はあたたかくて、少し眠たくなるくらい心地いい。


ベンチの近くに座って、スケッチブックを開く。


「ふんふーん、ここはどどしゃーん、そしてそしてごーん!!」


鉛筆がさらさらと紙の上を走る。


夢中になっていると、


かすかな声がした。


「ふぁ、んー?」


ベンチの上で誰かが身じろぎする。


「こはちーじゃん」


「んん??あっ!!紫苑ちゃんだーー!!」


「ウケる、テンション爆上げ」


「全然気付かなかったよ!!ごめんね!!」


「寝てたし、おけ」


少し眠たそうに髪をかきあげる。


長い銀髪がさらりと揺れた。


「えへへ、今日はポカポカしてるもんねー!」


「それな」


「うん!いい感じー」


また鉛筆を走らせる。


今日はなんだか、いつもより集中できる気がした。


「ふぁ」


ゆっくりと近づいてきて、


ぽすん、と肩にもたれる。


「えへへ!紫苑ちゃんのベッドにもなれちゃった!!ひよりんにもよくお膝を貸してるよ!!」


「ウケる、じゃあ」


ごろん。


自然な動きで膝枕の体勢になる。


「ん、最高すぎて草」


「あはは、描くから揺れちゃうかもー??」


「おけまる」


さらさらと絵を描く音だけが静かに響く。


風が少しだけ桜の花びらを揺らした。


「……」


少し離れたところで足が止まる。


見慣れた黒髪。


状況を理解しようとしているような、静かな視線。


かさっと音が鳴った。


「あれー??榊原君だ!!」


「んー?あー、ども」


「……どういう」


「あっ!私が絵を描いてて!紫苑ちゃんがお昼寝してたんだよー!!榊原君もどう??」


「どう?とは」


「さかきーも寝る?こはちーの膝、ばりくそいいよ」


「……」


小さくため息。


「うんうん!眠い時は寝るのが1番!!榊原君も混ざろう!!」


「いや、眠いわけじゃ」


「問答無用」


ぐいっ


どさっ


「……!?」


突然視界が揺れる。


気づけば膝の上。


「わあ!?びっくりした!!」


「ふふーん!どうかな?こはちゃんの膝ベッドの感想は??」


「いや、起きたい」


「そんなー!!今までみんな無理して高評価してたの!?」


「いや、最高」


「よかったー!!安心したよー!!」


「起きていい?」


「ええ??早いよ!!お昼寝しようよ!あっ、そーだ!お顔描いちゃおー」


「ウケる」


「勘弁」


「わあ、ちょっと赤い?」


「照れてて草」


「……」


諦めたように小さく息を吐く。


ゆっくりと目を閉じた。


「えへへ、おやすみ〜」


「じゃあ、私はこっち」


肩に重みが増える。


「あはは、いーよいーよ!使ってー!!」


左右に体温。


春の風。


さらさらと鉛筆の音。


なんだか不思議なくらい静かな時間。


気づけば、ふたりとも本当に寝ていた。


寝息が小さく重なる。


小春は少しだけ微笑んで、


またスケッチを続ける。


いつもより静かで、


でもなんだか楽しい。


「……ん」


小さく動く気配。


「あっ!おはよー!!」


顔をのぞきこむ。


距離が近い。


「!?」


びくっと起き上がる。


「ごめん」


「寝心地よかったー??」


こくり。


素直な反応に、思わず笑ってしまう。


「ふぁ、んん?」


「紫苑ちゃんもおはようー!」


「はよ」


「行く」


立ち上がって、少しだけ服を整える。


「あっ、うん!!お昼寝参加してくれてありがとうー!!」


ふっと小さく笑う。


「何それ」


それだけ言って歩き出した。


「リゴーン」


「なになに?何の音??」


「ときめきスイッチオン」


「何それ??ゲーム??」


「うん、前途多難」


「ええ!?難しくてわかんないよーー!!」


空を見上げると、桜の花びらがゆっくり落ちてきた。


今日はいっぱい描けたし、


なんだか静かで楽しい時間だった。


中庭って、


こんなに気持ちよかったんだな。


またここで描こうかな。


そう思った、


こはちゃんだった。

貴重なお時間ありがとうございました!

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