第20話 本屋に行ったよ!
「ああー!!」
教室に声が響く。
「ええ?こはちゃんどうしたの??」
「デッサン本の発売日なの!!買いに行かないと!!」
「あー、あの毎月買ってるやつ??」
「うんうん!そうそうそれ!!」
そわそわと落ち着かない様子で立ち上がる。
「ふふ、私も行こうかな」
「勿論だよ!!玲奈ちゃんが一緒に来てくれるなんて嬉しい!!」
くるっと振り向く。
「あっ、そーだ!!」
「ねーねー!榊原君も一緒に行こうよー」
一瞬だけ目が合って、
すぐに逸らされる。
「駄目?嫌?嫌ならいいの。ごめんねー??」
少ししゅんとする。
ほんの少しだけ間があって、
小さく頷いた。
「……行く」
「ほんと!?いいの!!?わーい!!」
ぱっと表情が明るくなる。
「強引なんだから、無理してない?」
こくりと頷く。
「ふぁ」
後ろから気の抜けた声。
「あ!紫苑ちゃん紫苑ちゃん!!」
「んー?なにー?」
「本屋に行こ!!」
「いや、直球すぎでしょ!?」
「おけまる」
「よーし!!じゃあ4人で行くぞーー!!」
「おー」
相変わらずの棒読み。
「え?このメンバー?不安しかないけど」
静かに歩き出す。
一瞬だけ小春を見て、
すぐに前を向いた。
⸻
本屋に入った瞬間、
小春の目がきらきら輝いた。
「あったー!!!これだよこれー!!」
「見つかってよかったわね」
「るんるんるーん!!」
「ウケる」
「こはちゃんは可愛い正解よ!」
「り」
静かな店内に、小さな声が広がる。
「榊原君は何か買う??付き合ってくれたお礼に買うよー??」
「……別に」
「ええー??遠慮しないでいいのにー!!」
本を手に取り、ぱらぱらとページをめくる。
「何あれ、あの関係性でよく誘えるわね」
「スルーで草」
「もう!榊原君は優しい人だよ!!助けてくれるし!」
「はいはい、こはちゃんがそういうならそうね」
「ほんとだよー!!ねー?」
視線を向けると、
小さく頷いた。
「肯定してて草」
「どんな関係なのよ!?」
⸻
「あっ!この本も、あー!これも!!」
気になる本をどんどん抱えていく。
「わぁ!!これも参考になりそう!!選べないよー!!」
「……」
ひょい、と自然に数冊持つ。
「あっ、軽くなった!!」
「ありがとう!!助かったよー!!」
「こんなにいる?」
「いるいる!!絵を描くため!!もっとすばばーん!とした絵にしたいの」
表紙をちらりと見る。
「絵、好きかな??」
少しだけ間。
ふっと笑う。
「……好き」
「わあ!!やったー!!嬉しいな!!」
ぱっと笑顔になる。
「あれ、絶対そうよね」
「わかりみがすぎる」
「罪な女」
「ウケる」
⸻
会計を終えて外に出る。
「みんな!今日は付き合ってくれてありがとう!!」
「いつでも付き合うわよ!!」
「玲奈ちゃん!!だーいすき」
ぎゅー
「ふふ、荷物落とすわよ」
ぽん、と頭を撫でられる。
「ワンコ」
「紫苑ちゃんもぎゅー」
「キュン死」
「テンション変わってないわよ」
「……帰っていい?」
「榊原君もありがとう!!大好きー!」
ぎゅー
「……っ!?」
一瞬だけ固まる。
「こはちゃんアウトーー!!」
「撤収」
「ええ!?何で??みんな大好きのハグなのにー!!」
少しだけ目を細めて、
ふっと笑う。
「また」
それだけ言って歩き出した。
「またねーー!!」
大きく手を振る。
新しい本を抱えて、
なんだか少しだけ胸がわくわくする。
知らなかったことを知れる瞬間も、
みんなと過ごす時間も、
どっちもすごく楽しい。
次はどんなことがあるのかな。
早く続きが描きたくなってきた。
そう思った、
こはちゃんだった。
貴重なお時間ありがとうございました!




