第18話 席替えしたよ!
「はーい!みんな注目ー!!」
教室に、真琴の明るい声が響いた。
ざわざわとした空気が、ゆっくり前へ向く。
「そろそろクラスにも慣れてきた頃だろー?ということで」
どん、と机の上に箱が置かれる。
「席替えをしまーす!」
一気に教室がざわついた。
「おお!!いいじゃんいいじゃん!!後ろ行きてー!」
「どうせ寝るためでしょ」
「れいれいわかってる!!」
くじ箱が回ってくる。
「水瀬からー!」
「1番前の席の特権!!よーし!いい席来いこーい!!」
がさ。
「うびゃ!?席変わんないよおー??」
「ははっ、残念だったなー」
「うへぇ、またこの席ーー!?」
次々とくじを引いていく。
喜びと悲鳴が入り混じる。
⸻
新しい席に座り、小春は周りを見渡した。
「榊原君!お隣よろしくね!!」
「ん」
短い返事。
それでも、ちゃんと頷いてくれた。
くるりと後ろを振り向く。
「話したことない人だーー!!」
「ん?あー、うん」
「紫苑ちゃん!!よろしくねー!!」
「ウケる、知ってるん?」
「もちろん!!クラスメイトの名前は頭にインプット済みだよー!!」
「よろ〜」
「わーい!!仲良くなれそう!!」
「え?今のどこに?」
桃花がぼそっと呟く。
「桃花ちゃん!!斜めだねー!!」
「うん、よろしく」
「石田君だー!!同じ列!!」
「うるさい」
「よろしくよろしくー!!」
「鬱陶しい!!」
「振り回されてて草」
「おい、俺の扱いどうなってんだよ」
教室に、少しずつ笑いが広がる。
⸻
「普段何してるのー?」
「占い、やる?」
「ええ!!すごーい!!」
「手、貸して」
「はーい!!」
紫苑が小春の手をじっと見つめる。
「ふーん」
「どうかな??」
「モテモテ〜」
「ふえ??」
「運命の相手4人もいるの草」
教室の空気が一瞬だけ変わった気がした。
「ええ!?運命の相手ーー??」
「近くにいんね」
ちらり、と視線が流れる。
小春はぱっと顔を上げた。
「運命の相手って大親友になれるってことだよね!!」
「なる」
「なるほどを略さないでよ」
「伝わってんならいいじゃん〜」
⸻
「こはたーん!!」
「ひーくん!!」
「席変わったのはいいけどよー!こはたんと離れるの嫌だわー」
「あはは、休み時間に行くよー!!」
「突撃こはたんアターック」
ぎゅー。
「うおっ!?」
「こはたん!!」
「……近」
「ウケる、距離感お化け」
「嬉しいけどさ、あんま男に抱きつくなよー?」
「??」
「嫌だった?」
「いやいや!嬉しいから!」
「よかったー!ひーくんに嫌われたらやだもん」
陽向は一瞬だけ黙る。
ぽん、と頭に手を置いた。
「嫌わねーよ」
「えへへ!ありがとう!だーいすき!!」
「……お、おう」
「ふーん?」
紫苑が小さく呟いた。
⸻
その言葉は、
冗談みたいに軽かったけど。
誰も気にしていないようで、
誰かは、ちゃんと聞いていた。
運命の相手が四人。
そんなの、ただの占いのはずなのに。
なぜか、
その言葉だけが、
少しだけ、
心に残った。
貴重なお時間ありがとうございました!




