第14話 図書室で本を探したよ!
「さーて!今日は何を描こうかな〜」
朝の教室で、小春はスケッチブックをぱらぱらとめくっていた。
新しいページの白さを見ると、なんだかワクワクする。
「次はどんな絵にしようかなー」
立ち上がって廊下へ出ると、見覚えのある黒髪の姿が目に入った。
「あっ!榊原君!!おっはよーー!!」
声をかけると、蒼真が一瞬だけこちらを見る。
「……おはよ」
「……っ!!」
思わず固まる。
でもすぐに顔がぱっと明るくなった。
「うんうん!おはよーー!!」
すたすたと歩きながら、思わず小さく呟く。
「えへへ!やっぱりいい人!!」
⸻
放課後。
「うーん、ここのデザインもっと勉強しないとなー。」
スケッチブックを見つめながら考え込む。
「そーだ!図書室にならいい本あるかも!!」
ぱっと顔を上げる。
「よーし!レッツゴー!」
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図書室。
静かな空気。
ページをめくる音だけが小さく響いている。
「えーと、デザイン、えーと」
本棚の前で背伸びをする。
「あっ!あった!!」
目当ての本は、少し高い場所にあった。
手を伸ばす。
「んぐぐ!あと、もうちょ――ひゃあ!?」
バランスが崩れる。
「転ぶ転ぶー!!」
ぎゅっと目をつぶった瞬間。
誰かに腕を支えられた。
「い、痛くない??」
振り向く。
蒼真が立っていた。
「榊原君!!ありがとー!!」
蒼真は何も言わず、小さく頭を下げる。
「榊原君も本を読みに来たのー??」
「……まあ」
「へぇ!!本好きなの??よく読むのー??」
「普通」
「えへへ、そうなんだ!!教えてくれてありがとー!」
もう一度、本を取ろうと手を伸ばす。
すると、後ろからすっと手が伸びて本を取ってくれた。
「ん」
「ありがとーー!!取れなくて困ってたんだよ!!脚立あればいいのに」
「……そうだな」
「榊原君がいてくれて助かったよ!!ありがと!!」
蒼真が小さく息を吐く。
「……ふっ」
「え?なになに??私何かしたー??」
「何回、お礼言うの」
少しだけ笑っているように見えた。
「ええ!?感謝は大事だよ榊原君!」
「そうだな、うん。」
ふっと表情が緩む。
「えへへ!笑った顔初めて見たー!!」
「水瀬が変だから」
「酷い!!」
蒼真は軽く手を上げた。
「じゃ」
「あっ、うん!!本とってくれてありがとー!!」
何も言わず、そのまま本棚の奥へ歩いていった。
「うん!優しい!!大好き!!」
静かな図書室での、小さな出来事。
でも、
なんだか少しだけ距離が縮まった気がした。
⸻
教室。
「ふんふん、なるほどなるほど!」
借りてきた本を開きながらスケッチブックを広げる。
「つまりここはじゃきーんのずばばーん!!」
さらさらと鉛筆を走らせる。
「あれ?水瀬さん」
振り向くと、透が立っていた。
「あっ!透ちゃん!!」
「新しい絵ですね!」
「そうなのそうなの!!見てみてー!!」
透がスケッチブックを覗き込む。
「わあ、すごい綺麗な景色。実際にあるところでしょうか?」
「うん!お気に入りの公園!」
「透ちゃん、今度一緒に行く??写真映えしそうなとこあるよー!」
「本当ですか!?それはぜひご一緒したいです」
「じゃあ!今度一緒に行こうね!!」
「はい、必ず!」
「やったー!!透ちゃんとお出かけ楽しみだな〜」
「そうですね、お出かけ」
透が少しだけ微笑む。
「あっ!そうだねーねー透ちゃん!」
「何ですか?」
「また!写真見せて欲しいな!!私のインスピレーションにも繋がるし!!」
「僕のでよければ何枚でもお見せしますよ」
「ほんと!?やった!楽しみー!!」
「僕もです」
「ふんふふーん、透ちゃんとお出かけふんふーん」
「ふふ、ご機嫌ですね」
「うん!大好きな透ちゃんとお出かけできるの嬉しい!!」
「そ、そうですか。」
「ふふ、僕も楽しみです。いつ行きますか?」
「透ちゃんに合わせるよ!私はいつでも大丈夫!!」
「それなら、今週末とかどうですか?」
「いいね!土曜日と日曜日どっちがいーい?」
「土曜日ですかね」
「よーし!!じゃあ、土曜日!」
「何時かな?10時くらい??」
「僕はそれで大丈夫ですよ」
「決まりー!!校門前で待ち合わせでいいかな??」
「はい、では今週の土曜日に!」
「ひゃー!!楽しみー!!」
「ついでだから遊ぼうよ!!公園行って、美術館とか行くー?」
「ふふ、楽しそうですね。行きましょう」
「よーし!決まりだー!!早く土曜日にならないかなー!!」
今日は
新しい本も見つかったし、
新しい約束もできた。
少しずつ、
できることも、
行きたい場所も増えていく。
こうやって
好きなことが広がっていくのって、
すごく楽しい。
明日はどんな一日になるのかなって、
ちょっと楽しみになった、
こはちゃんだった。
貴重なお時間ありがとうございました!




