表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/27

第13話 雨の日にみんなで帰ったよ!

「ええ!?今日って雨降るの??」


朝の教室で、小春が驚いた声をあげた。


「うん、降水確率90%」


玲奈がスマホを見ながら答える。


「ええ!!絶対降るやつ!!」


慌てた様子で立ち上がる。


「やばいどうしよ、傘持ってきたっけ……」


ぶつぶつ言いながら廊下へ向かうと、


見覚えのある黒髪の姿が目に入った。


「あっ!榊原君!!おっはよーー!!」


ぴたり、と足を止めて声をかける。


蒼真は一瞬だけ視線を向けて、


小さく会釈をした。


それだけ。


でも。


今日は少しだけ、目が合った気がした。


「ばいばーい」


手を振る小春。


「何あれ?挨拶ぐらい返せばいいのに」


玲奈が小さく眉を寄せる。


「ええ?会釈してくれたよー?挨拶じゃん?」


「こはちゃんがそれでいいならいいけど」


「今日は目も合わせてくれたよ!!榊原君はいい人!!」


「私なら挨拶できないわ、なんで挨拶してるの?」


「玲奈ちゃん、挨拶は礼儀だよ!大切ー!!」


「まあ、そうだけど。返してくれないとしたくなくなるじゃない」


「うーん、言葉じゃなくてもいいんだよ!」


「会釈してくれるだけでも!挨拶、受け取ってくれてるもん!!」


玲奈がふっと優しく笑った。


「ほんと、いい子なんだから」



ざー。


放課後。


窓の外は、朝の予報どおりしっかり雨が降っていた。


「ふぇー!!雨ー!!」


小春が窓に顔を近づける。


「なんだよこはたん、雨ぐらい降るだろ??」


「今日、傘持ってきてないのーー!!」


がくん、と膝から崩れ落ちた。


「え??水瀬さんどうしたんですか??」


「とーやん、こはたん傘忘れたんだって」


「あっ、それなら僕の傘入って帰りますか?」


「俺のでもいいぜ!!こはたんカモーン!」


「2人とも!!優しい!ありがと!体分裂して2人の傘に入る!!」


「無理に決まってるでしょ」


「玲奈ちゃん!!」


「ちなみに、私の傘に入るよね??」


「うーん、じゃあ!3人に分身する!!」


「なんでよ!?」


「透〜」


「ひより、どうしました?」


「おんぶ」


「えーと、雨だから流石に無理かと」


「むぅ、寝る」


「いやいや!寝ないでください!?」


「ひよりんは傘持ってきてるのー??」


「すぅ、すぅ」


「ふぇー!!私だけ持ってきてない!!」


「いや、天気予報で雨だって言ってたじゃん?」


「今日は寝坊して見てなかったのー!!」


「あちゃー、そりゃ忘れるわ」


そこへ。


「みんなで何してるの?」


「桃花ちゃん!!傘忘れたー!!」


「はぁ!?今日、雨だってみんな知ってるわよ」


「寝坊したんだもーん!!」


桃花が少しだけ困ったようにため息をつく。


「うーん、そういうとこ小春ちゃんらしいかも」


「それな!ももちー、わかってるー!」


「は、はぁ!?か、勘違いしないでよね!別に仲良くなんてないから!!」


「いや、仲良しじゃん」


「う、うぅ。わ、私、塾あるから!!ばいばい!!」


「桃花ちゃん!ばいばーい!!また明日ねー!!」


「うん!」


いつもより、少しだけ明るい声だった。


「白石さん、明るくなったわね」


「桃花ちゃん、緊張が解けてきたみたい!嬉しいな!!もっと仲良くなりたーい!」


「こはちゃんならできるわよ」


「玲奈ちゃん!!」



昇降口。


外は土砂降りだった。


「ざーざーだよー!!」


「おー!!土砂降りー!走ってくー?みんなで濡れれば怖くねーぜ!」


「馬鹿なの?風邪引くわよ!」


「ひより、起きてください。帰りますよー」


「ふみゅ、めんどくさい」


「あーあー、雨やだなー。絵にするならいいけど」


「デッサンしながら帰る??」


「それだ!!ひーくん賢い!!」


「スケッチブックがぐちゃぐちゃになるだけよ!!」


「あっ、そっか!濡れちゃうねー!!」


「何この馬鹿コンビ」


「ふふ、雨でも濡れない紙あれば素敵なんですけどね」


「透君天才だよ!!そんな紙があればいくらでもお絵描きできちゃうね!!」


「水瀬さん、あくまでもたとえですよ??」


玲奈が傘を広げる。


「帰りましょ、こはちゃん入る?」


「こはたんこはたん!俺の方が身長あるぜ!濡れないぜ!」


「あっ!確かにー!!」


「そういえば、あんた背高いわよね何センチ?」


「176センチ!!」


「うわぁ!!高ーい!!」


「こはたんは小さくて可愛いな!」


「うぅ、まだまだ!成長期はこれから!!」


「こはたん何センチなん?」


「152センチ!!」


「可愛い!理想の身長よね!」


「ええ、もっと高くなりたかったー!」


「ああ、じゃあ。今度おんぶでもしましょうか?肩車の方がいいですかね?」


「楽しそう!!肩車!あっ、でも私重たいかも!?痩せなきゃ!!」


「こはたん太ってないだろ?気にすんなよ」


「無理なダイエットはしない方がいいわよ」


「僕はこう見えて筋肉ありますから、気にしないでください。それにほら、ひよりをいつもおんぶしてますし」


「そのせいで筋肉ついてんじゃない」


「そう、かもしれません」


「ひよりん筋トレ!!楽しそう!!私もひよりん背負えばムキムキに!?」


「いや、こはちゃんがムキムキになってどうするのよ!」


雨の音の中でも、


いつも通りの会話。


なんだか少しだけ安心する。


特別なことがなくても、


こうしてみんなで帰る時間があるだけで、


十分楽しいのかもしれない。


雨はちょっと苦手だけど。


こういう帰り道なら、


たまには悪くないかも。


そう思った、


こはちゃんだった。


貴重なお時間ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ