第11話 みんなで宿題したよ!
「玲奈ちゃーん!!わかんないよー」
放課後の教室に、小春の声が響く。
机いっぱいに広げられたノートと教科書。
真剣な顔で問題を見つめているけど、眉が困り顔になっている。
「こはちゃん、落ち着いて?ここはほら、さっきの公式をいれたら」
玲奈が隣からノートを指差す。
落ち着いた声で、ゆっくり説明してくれる。
「ほら、この形になるでしょ?」
「あーー!!なるほど、こうなるのねー!!」
ぱっと表情が明るくなる。
「さすがこはちゃん!優秀優秀」
「えへへ!!玲奈ちゃんありがと!」
嬉しそうに笑う。
そこへ。
「あれ、宿題してるの?」
少し控えめな声。
振り向くと、金色の髪がふわりと揺れた。
「桃花ちゃんー!」
「白石さんも一緒にやらない?」
玲奈が自然に声をかける。
「え?い、いいの?」
少し迷ったように視線が揺れる。
「勿論だよ!!」
「でも、私は全然わかんなくて玲奈ちゃんに助けてもらってるけどー」
あはは、と頭をかく小春。
「ふ、ふん。参加したくないけど今回だけその、うん。」
そろっと椅子に座る。
「ふふ、じゃあ再開しましょ!」
「よーし!片付けちゃうよーー!!」
「お、おーー!」
「何これ、やるべき?お、おー!!」
少しぎこちない掛け声に、くすっと笑いがこぼれる。
そこへ。
「あっれー??みんなで何してんの??」
元気な声が近づいてきた。
「ひーくん!宿題だよー!難しくてできないからみんなでしてるの!!」
「そーだ!!ひーくんも参加しない??」
「うへぇ、でも楽しそうだしやろう!!」
「いや、宿題すんのよ」
「ふん、勝手にすれば」
「こはたん以外冷たいんだけど!?」
「ひーくん大丈夫だよー!2人ともひーくんの事大好きだよ!!」
ギロっ。
玲奈と桃花の視線が陽向へ向く。
「全く好意的じゃねーけど!?」
「ええ?そんな事ないよ!ねー?」
「ねー!」
「うん!」
「俺だけ悪者扱いじゃんね!!」
そんなやり取りをしていると。
「あれ?水瀬さん、みなさん」
穏やかな声が聞こえた。
「透ちゃーん!!」
「透ちゃんも宿題一緒にやろーよ!!」
「宿題ですか?いいですね、参加させてください」
「やったー!!好きなとこ座ってー!」
「はい」
透は小春の隣の席へ座る。
自然な流れだった。
「そういえばひよりんは?」
「ひよりなら寝てますよ」
すっと指をさす。
窓際。
机に突っ伏しているひより。
「ひよりん相変わらずだなー」
「いつ起きてんのよ」
「マイペースさんね」
「ひよりん宿題終わるのかなー?起こすのかわいそうだよねー」
「ひよりなら、宿題おわらせてましたよ」
「はぁ!?さっき配られてたじゃん!!嘘だろ!?」
「ひよりは頭がいいんです」
「いや、頭いいなんてレベルじゃないんだけど」
「すごーい!!ひよりん天才!!」
すやすや。
まったく起きる気配はない。
「うーん、ここどうするのー??」
「ここは、こうですよ。ほら、」
さらさら。
透がノートに式を書く。
分かりやすく整理された字。
「すごーい!!透ちゃん天才!!頭いい!!かっこいい!!」
「え、えと。ありがとうございます」
少しだけ困ったように笑う。
「とーやん俺にも教えてー!!」
「どこですか?」
「全部!!」
「あはは、どこから教えれば……」
「だー、宿題なんかいらねーって!!なー?」
「ひーくん、それすっごくわかる!!」
「はいはい、文句言っても宿題は消えないわよ!」
「うわー、こんなの無理だってー!!」
「うーん、ここはそうだ!!」
小春がぱっと顔を上げる。
「石田くーん!!勉強教えてーー!!」
「いや、急に何?」
振り向いた恒一が少し驚いた顔をする。
「ここわかんない」
「は?さっきやったとこじゃん」
教科書を指差す。
「ほら、ここ当てはめて」
「そのあとがわかんない!!」
「だから、こうなるの」
「なるほど!!わかった!!石田君ありがとう!!優しい!大好き!!」
「はいはい、頑張れ頑張れ」
少し呆れながらも、ちゃんと教えてくれる。
「うん!!頑張る!!石田君も参加してよー!」
「は?なんで?」
「頭いいから!!」
「はぁ、ちょ!わ、わかったから引っ張るな!!」
腕を引かれて、席へ。
「みんなー!石田君も参加してくれるって〜」
「言ってないんだけど」
「こう!ここ!ここわかんない!!」
「お前、そのあだ名やめろ」
「いいじゃん!こうはこう!!」
「ややこしいんだよそのあだ名!」
「うんうん!仲良し!!」
「嫌がってるように見えますけどね」
透が小さく笑う。
教室には、
鉛筆の音と、
小さな笑い声が混ざっていた。
わからないところを聞いたり、
少しふざけたり、
助けてもらったり。
一人でやるより、
なんだかずっと楽しい。
こういう時間も、
悪くないかも。
そう思った、
こはちゃんだった。
貴重なお時間ありがとうございました!




