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こちらの世界がどうやら、夢じゃないと思い始めてはや数週間。目立つのが嫌だからと多少徒歩で動いたのがいけなかったのか。
いやいや、あの後、案内するはずだった、セイランが国王に呼ばれたとかで、なんだか一人にされたのを焦って、(ドラゴンの谷なんて、目に見えてるんだからって)びゅーって空飛べば早いじゃんって、王城を飛び出してみたら、谷には、王城からの手紙がなきゃドラゴンマスターでも安易に入れないってのを後から聞いたのが悪かったのか。
手紙のないマスターは谷に正面から入らなあかん言われて、途中から、ドラゴン2匹と赤ドラちゃんを携えて楽しくハイキングなんてしゃれ込んでいたのが悪かったのか。
自問自答しても答えは出ない。
「なんで?」
暗い岩穴。
光の指す方向には鉄格子。
「なんで?」
『どうしてでしょう?』
私の疑問に疑問で返すな、エルア。
首を傾げても、ゴツゴツした岩肌はお尻が痛い。
一人で世を渡ってきたんだから、交渉ごとだってある程度できると思っていた。
確かに、谷に入る時に立っていた茶ドラゴン二匹には、赤ドラちゃん達をつれてきた経緯を話して、取り次いでもらえた。
別に王様に会うのは次でもよかったんだよ、セイランがいなきゃ話にもならないと思ってたし。
とりあえず、赤ドラちゃんを預けることができれば・・・。
なのに、
「なんで?」
『そうですね、どうしてでしょう。』
だから、疑問を疑問で返さないでよ。
今、私の近くに黒銀も紅姫もいない。
谷の門を抜けて、暫く歩いて関所みたいな所で別々にされた。
初めてのところだし、エルアもも一つ谷の事情とかは知らないみたいだったから、素直に従ったらこれだ。
『ここは、特殊な岩牢ですね、私の魔力も暁様の魔力も半減してます。』
自分の手を見つめて言うエルア。
「魔力うんぬんは、分からないけど、私は変わらないよ。にしても、何で投獄されなあかんねんっ!!こっちは、親切心で赤ドラちゃん達を届けてやった言うのに!」
興奮すると言葉が荒くなるな。
何故だろうと頭を捻っていると誰かの気配を感じて身構えた。
岩牢だから響くんだよね。
現れたのは、結構なイケメン。
誰?
『国王がお前に話があると仰っている。』
頭に響く感じ。
こいつは、ドラゴンだな。
見事なまでの青い髪。
ドラゴンって人型を取ると美形になるのか?
「黒銀と紅姫は?」
『我々がドラゴンに危害を与えるはずがない。少々暴れたので、今は眠ってもらっているがな。』
男は私に腕輪を差し出した。
『我が王に危害を加えられては溜まらんからな。お前の魔力を封印させてもらう。』
自分の魔力がどういったものか分かってないのに・・・。
私は受け取ると腕に入れた。
と、後ろにいたエルアが消えた。
「えっ?」
『精霊にも黙っていてもらおう。』
自力では外れない腕輪。
どうやら、エルアも封じられたらしい。
なんだが、嫌な予感しかしないんだけど?
セイラン?
とっとと来やがれってんだっ!!
彼を待てなかった自分を棚の高いところにあげたまんま、セイランを罵ってみた。
つづく




