2 機械仕掛けの体
六時過ぎ、ようやくバイトが終わった。
タイムカードを切り制服から私服に着替える。
今日は珍しくマンイーターはあの一匹のみだった。
それでも死体回収の手続きだったりがあったせいで全然大変だったけどね。
ロッカーからリュックを取り出し店を後にした。
「風香さーん。先上がりまーす」
レジでスマホを弄っている女性に声をかける。
彼女はチラリとこちらを見て気怠そうに返事をする。
「ん?おう、お疲れ」
そうして立ち去ろうとしたら引き止められた。
「てか銃ってどこやった?一丁置いてあったろ」
カウンターの下を覗きながら尋ねてきた。
「え?ないっすか?」
「ないよ。翔太おまえどうやってたんだよ」
「俺は自分のあるんで」
そう言いながら俺はスカジャンのポケットから拳銃を取り出す。
「それ貸してよ」
「はぁ?……壊さないでよ」
「わーってるって」
銃を奪い取るように取っていった。
「これって弾道アシストついてるん?」
薬室を覗きながら尋ねてきた。
「ないけど」
「はーっよくこんな大口径の奴を無しで使えるな」
最近の銃の中には弾道アシストとかエイムアシストとか呼ばれる機能が備わっているものがある。
例えば反動を抑えたり、高級な銃だと弾自体が自ら目標に飛んでいったり。
生憎俺のはそんなものついてないけど。
「俺は手に補助システム入ってるんで」
そう言いながら半分機械化した手をみせる。
「私もそういうの入れたほうがいいのかな。それ幾らしたの」
「十数万だった気がする」
「案外安いね。私の足なんてそれだけで車が買えるのに」
「そりゃ足丸ごと切り落として作り替えてるんだからそうなるでしょ。俺は手だけなんで」
俺の手と彼女の足には機装と呼ばれるものが搭載されている。
最近開発された技術でまだまだ発展途上ではあるがなかなか便利なものである。
みんなタトゥーみたいなノリで入れてるが、副作用もあり体に合わないと結構大変なことになるらしい。
自分はそういうのなったことないから分かんないけど。
「まいいや終わったらポストに入れとくわ」
そうして今度こそ店を後にした。
まだ六時だというのに街は馬鹿みたいにうるさい。
マンイーターを殺すために銃撃戦をしてる奴ら、街を走る暴走車両。
ここら辺は東京でも蚊に刺されるより弾に当たるほうが多いと言えるほど治安の悪い地域だ。
こんなとこさっさと離れなければ。
駐車場に停めた車に乗り込み、ドアを閉めてエンジンをかける。
すると今度は電話がかかってきた。
スマホの画面には改造屋と表示されている。
『起きてるか?』
電話に出ると若い男の声が耳に響いた。
だが声色に現れるほどやけに興奮していないようだった。
「今度は何だマーカス」
『なんだ?機嫌悪いのか?それより聞いてくれよ。珍しいのを手に入れたんだ』
「へえ」
電話を聞きながら車を動かす。
『まだ市場に流れてないやべぇ代物だ。とりあえず来い』
そしてぷつっと切れてしまった。
「めんどくせぇな……仕方ねえ行くか」




