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その声には聞き覚えがあった。それはそのはずでその声と同時に姿を現した男の姿にも見覚えがあった。
「黒幕の登場ってわけね」
前回見たとき同様に白衣を着ている。ポケットに手を突っ込んでいるが背筋は伸びていて、映像では分からなかったが身長も高そうだ。
「思っていたよりも早いご到着だったわけだが……感想でも教えに来てくれたのかな?」
「正気の沙汰じゃないよ。あなた」
「そうっす。何を考えているんすか」
「忌憚のない意見ありがたく頂戴するとして、その質問に答えるとしようか」
しまっていた手を取り出すのを見て、警戒を強める。
「そんなに警戒しなくとも結構。ただ、スマホを取り出すだけだとも」
取り出されたスマホも一瞬、触っただけだった。
「さて、質問の答えだが私は人の進化を見たかっただけだ。動物が進化していくのは君たちも知っているだろう。私たちも進化してきたとされているわけだしね。いつかこの状態から進化するかもしれない。でも、見れなかったら意味がないわけだ。そこで私は考えた……自分で作ればいいとね」
その時、サイレンが鳴り響いた。何の音かと思うがいい予感はしない。サイレンと共に赤い光、それと大量のドローンが姿を現す。さらには、例のガラス管の方からも何やら音がする。
見れば、中の様々な色の液体の嵩が減っている。
「姉貴、やっぱり動きそうっすよ」
いらんことは言わなくていいと心の中で悪態をつきながら、何が起こってもいいように備える。
「もう少しおしゃべりをしてもいいんだけど、思っていたよりも早い君たちにはあまり付き合ってあげようとは思えなくてね。だって、この進化について何も考えや仮説なんて何もないのだろう?研究者としてはその過程にも目を向けてほしいところだ」
元凶の男はそこまで言うと、後ろに振り返り奥へと行こうとする。それを突破させないようにドローンが行く手を塞ぐ。
ドローンには小型の銃が取り付けられており、それはいつ発砲してもおかしくはない。
「ドローンが動かせるってことは電波が出てる。電波が出ているのなら私の領域よ。機械の方は私に任せなさい」
有希ちゃんの声は少し頼りがいを感じられた。
「では、機械の方は皆さんにお任せします。私は元凶を」
「まぁ、追って来ればいいさ。私の可愛い可愛い娘の屍を乗り越えてね」
入れ替わるように一人の少女が出てくる。私よりも幼い。有希ちゃんくらいだろうか。しかし、その顔には生気を感じられず、人喰いと同じような雰囲気を感じる。
先に進むためにはガラス管の人型とドローンを突破する必要があった。私は一番近くにいた人型へとドロップキックを繰り出す。
「まずは一つ」
とはいったが、戦闘不能までの手ごたえを感じない。しかし、戻ってくるまでの時間はあるだろうと一人考え、ドローンも一つ二つと殴りつける。こちらはしっかりとした手ごたえを感じた。
「姉貴、後は俺たちに任せるっす」
「未来ちゃん一人に任せるのは心苦しいけど頼んだ」
頷いて返事をする。いくら私でも銃弾の雨を乗り越えられるとは思わなかったから、今壊したドローンを利用することにした。
ドローンを弾除けに弾雨を越える。その際も八巻や日暮さんが違う個体をいくつか使えないようにしているのが見えた。
少女の横を通ったが、彼女が私を止めるそぶりは見せなかった。




