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恐岳。それは、下手をすれば、町一つ分を超える大きさの山。ただ、山と言っても広大な敷地の小高い場所。開発しようと何回か試みたが、不幸な事故や行方不明者のうわさなどで結局断念することになった山。
開発も何も進んでいないということは車どころか徒歩でも進むのは大変なので
「あれからもう少し調べてみるためにドローンを飛ばしてみたんだけどダメね」
敵の本拠地でも分かればと有希ちゃんに連絡を取ったのだが返ってきたのはこのような回答。ドローンが飛ばせないような妨害電波が飛ばされているらしい。
「ただし、私がそこを本拠地にするのなら、監視カメラやトラップでも仕掛けるものだけれどね。もしもそれがオンラインならハッキングをすることも出来ると思う」
ハッキングするためのツールはこっちからドローンで届けるし、と追記する後ろではカタカタとキーボードを叩く音がする。
それで届いたのは、吸盤式で設置するアンテナみたいなものが数個。偽装されているから、怪しいと思ったところに付けて、当たれば御の字らしい。
「鼻が利くやつもいるし、直感に優れた人もいるし当たるでしょ」
八巻と黒田さんのことだ。
一番近くの恐岳のふもと。標高が高い山のわけではないので、ふもとであっても高くはない。
だから、山に入る場所も高くはないのでむしろ住宅のある近くから入れる。多くのひとが行き来できるところにある。つまりはいろんな人から見られる可能性が高いということだ。
「何よこれ」
「んだよ。こりゃあ」
「なんすかね」
ついつい目の前の光景には、開いた口がふさがらない。
人が入らないように門があるのは分かる。
しかし、目の前の門には大きく
<ようこそ>
と書かれた横断幕が下げられている。
「盲点だったわ」
ついさっきからつないでいる携帯からは有希ちゃんの声がする。
「だって、気づくわけないじゃない。まさかこんな堂々としているとは思わなかったし、上空からのデータだし、そもそも古いデータだし」
特に何も言ってはいないのだけれど、有希ちゃんは饒舌に早口にまくしたてる。
「アハハッ。まぁ、私にここの話をしたときに誇らしげにしていたからかな」
笑いながら、黒田さんが理由をバラす。
つられてほかのみんなも笑うが、切り替えるように切り出した。
「まぁ、とにかくここであることは間違いないみたいだし、ここから先は慎重にね」




