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「私たちも早く移動しましょう」
まだ状況を理解できていない黒田さんたちに向けて、声をかける。
「あ、あぁ、そうだね。あの人喰いたちがこちらに来る前に撤退した方がいいね。」
私の意見に賛成してくれたのでその場を離れることにする。
「この人たちも連れて行かないといけないね」
美羽の弟、環くんも含めた――人喰いではないが美代子の魅了下にあった人たちに動きがあまりない。
「俺たちですら、まだ頭がぼんやりするからな。そいつらは意識自体は寝てるんじゃねえか」
日暮さんの言葉を裏付けるかのように、環くんも上を向いたまま微動だにしていない。
「しょうがない。僕がこの人たちの護衛をしましょうか。大人数なので姿を隠しながらになりそうですし、けが人が出てもいいように青砥さんも連れていきたいですけど」
「俺は構わない」
「それじゃあ、戦力的には少し心配だけどそのようにしようか。その人たちの中にも適合者はいそうだし。頼んだよ」
市民会館にすぐに戻ろうと思うとさっきまでの爆発現場や人喰いの群れを通ることになってしまうので、違う道を通るのだろう。
「環くんをよろしくお願いします」
一人だけ特別扱いはできないだろうが、それでも伝えずにはいられなかった。
「善処はするよ。このご時世だから、確約は出来なくてごめんね」
むしろ重荷を背負わせてしまったことに罪悪感を感じながらも、感謝を告げる。
「うん。とにかく行こうか。人数が少なくなってしまったのは痛いけれど、時間をかけるわけにもいかないからね」
「行きましょう、姉貴」
こうして、メンバーを減らしながらも最後の目標が待つ恐岳へと向かうのだった。




