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その爆発はそのまた近くにあった車も巻き込み、より大きな爆発を起こした。
「乗り込みます」
火もまだ消えていなかったがそこに群がっている数が減っているうちにバスで追撃をかける。
「衝撃に備えてください」
車の先頭から警告の指示がかかる。警告の指示に従いつつ、次の動きが取りやすいように椅子の握りをつかみ、来たる衝撃に備える。
ドンッ、ドンと鈍い音と共にぶつかった衝撃が私たちに伝わる。強化された肉体でなければ、すぐに倒れてしまっていただろう。
適合者ではない黒田さんや消耗した日暮さん、運転席の金剛さんは席には座っていたけれど。他は私と同様に立っていた。
その後も衝撃は大小はあるが途絶えることなく続き、見えてきた人喰いの列の終わりと減速している感じ、そして不穏な揺れを感じる。
横転。頭をよぎった言葉をわずかに反芻した頃には車体は傾き始めた。
「八巻!」
瞬時に声をかけたのは自称弟分の八巻。伝わったのか判断する間もなく、横に倒れ始めるバスで平衡感覚もずれている中、行動を起こす。
一番遠くの非適合者の二人。黒田さんと金剛さんの方に駆け出す。斜めになる車体で床だけでなく、背もたれも床替わりに走る。
完全にバスが倒れ込むときには二人に追いつき、シートベルトを取る作業には取り掛かっていた。ぐずぐずとしているとやつらが来る。
そんな思いも抱えながらもまず、入れ替わり天井となった入口のドアを殴りつける。2度3度殴りつけると元々そのように開くかのように吹き飛んでいった。
「失礼します」
二人を抱え込み、バスを飛び出していく。青砥さんも木戸さんも日暮さんを抱えた八巻も後に続く。着地した後も足は止めない。
ようやく抜けた人喰いの列の少し先、開いた空間に移りながら見るバスにはさらに集まっていく人喰いの姿。
「日暮さん!」
「分かってるよ」
続けて、日暮さんの能力―――火の玉がバスに飛んでいく。
さっきと同じように正確にガソリン部分に衝突した瞬間、激しい光と音が辺りを覆う。
その余波は少し離れている私たちでも五感で感じられるほどであった。
「とにかく、侵入は成功かな」
とはいえ、まだ多く残されているであろう関門の一つを乗り越えたに過ぎない。
「何よこれ?」
つい、バスの方を見てしまっていた私たちの後ろから聞こえる見知らぬ女声。
「あんたたちがやったのね。ここは私の楽園よ。誰にも渡さない」
いや、私は知っているこの声を、
「私のものだもん」
振り向きながら、その女をにらみつける。
私も親友の美羽も裏切った女。長嶋夏代子がそこにいた。




